閉校式で校歌を合唱する出席者=能登町小木中

 能登町小木中の閉校式は30日、同校で行われ、住民や卒業生、教職員ら約400人が78年の歴史に幕を下ろす学びやに別れを告げた。漁師町で多くの人材を育てた校舎は、昨年の能登半島地震では避難所ともなり、住民らは何度も「ありがとう」を口にした。

 石岡安雄記念事業実行委員長が式辞、眞智富子教育長が告辞を述べ、小原正義校長があいさつした。大森凡世町長、金七祐太郎町議会議長が来賓あいさつした。

 生徒代表の坂口明帆さん(2年)が能登半島地震で校舎が避難所となったことに触れ「震災後、小木中で続けてきた防災活動の意味を実感した。今後も地域の一員として活動を続けたい」と誓った。出席者全員で校歌を斉唱した後、小原校長が眞智教育長に校旗を返納した。

 地元の御船太鼓保存会が太鼓演奏、小木中応援団の卒業生らが応援歌を披露。PTA企画として母親が小木中卒業生の大相撲の炎鵬が訪れ、トークショーや餅つきで盛り上げた。

 会場には用意された座席数を大幅に超える住民が詰めかけた。卒業生の後田拓巳さん(37)は「さみしい気持ちもあるが、感謝の方が大きい。震災の避難所として活躍し、最後に地域を守ってくれてありがとうと伝えたい」と話した。生徒が地元の祭礼のために作った高さ約20メートルの「とも旗」や、この1年間の学校生活の様子を収めた写真も掲示された。

 小木中は1947(昭和22)年に開校し、5641人の卒業生を送り出した。新年度、能都中と統合するが、一部の生徒は松波中に通う。校舎は今後、町教委が利活用を検討する。

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