中1男子いじめ被害を教員把握も「自殺は予見できず」 大阪地裁、学校側の賠償責任を否定

大阪地裁
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大阪市立中学1年の男子生徒が自殺したのは学校でのいじめが原因として、両親が大阪市と教員ら4人に計3800万円超の損害賠償を求めた訴訟の判決が27日、大阪地裁であった。土井文美(ふみ)裁判長は大阪市に計110万円の支払いを命じた。

判決は、担任教員がいじめを把握していたことなどは認めたが、自殺までは予見できなかったとして自殺についての賠償責任を否定。生徒が生前に感じた精神的苦痛への慰謝料のみを認定した。

判決によると、生徒は同級生からLINE(ライン)で「死ねや」などといわれたり、先輩にプロレス技をかけられたりするいじめを受け、平成30年1月に自殺した。

判決理由で土井裁判長は、生徒はいじめ被害を訴えていたのに、担任教員が十分に対応せず、逆にクラスで生徒をからかっていじめを助長させたこともあったと指摘。しかし、いじめが長期間繰り返されていないことなどを踏まえ、担任教員が「自死することまでを予見し得たとは認められない」と判断した。

市の第三者委員会は令和2年3月、いじめが自殺に至る要因の一つだと認める報告書を公表していた。

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