暗い、暗い、穴の底。
深い、深い、地の底。
何千年も前からそこにあって、何千年も憎まれていた場所。
「ダンジョン」
人類の敵たるモンスターの発生地。
その深い深い穴の底である最深部にて、『彼女』は考えていた。
”いかにすれば憎き神々と人類を排し、あの空を再び望めるか”
”いかにすれば忌々しい人類と神々を鏖殺せしめることができるか”
それはそれは途方もない年月を、『彼女』は考えた。
考えて、考えて、考えて、考えて...
気がついた。
”奴らと同じことをすれば良い”
”奴らを同じものを生み出せばいい”
”知識を。知恵を。思考を。術理を刻めばいい”
”学習を。習得を。成長を。進化をさせればいい”
”何、基本的な能力は我らが上。ならば、模倣すればより上になるのはこちら”
”ならば、生み出そう。産み出そう”
”奴ら以上のモノとなるものを”
”さあ、おいで”
暗い、暗い、穴の底。
深い、深い、地の底。
何千年も前からそこにあって、何千年も憎まれていた場所。
「ダンジョン」
人類の敵たるモンスターの発生地。
その深い深い穴の底である最深部にて。
ボコリと一つ、生まれ出た。
『魔王』が遂に、生まれ出た。
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・個体名:『 』
・種族名:『迷宮の代行者』
・保有スキル:『王権執行』『術理の種』『知恵の種』『進化の種』『代行権』
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『それ』がまず感じたことは、暗いと言うことだった。
ただただ暗い。暗過ぎて、暗いということが分からないほどだ。
どうすれば、暗さを克服できるだろう?
『それ』は、そう思った。
その時、『知恵の種』が教えてくれた。
”暗い場所でも周りを把握できる器官を生成すればいい”
なるほど。そのような器官が今の自分にはないのか。
今の自分はどんな姿なのだろうか?
『それ』は、そう思った。
その時、『術理の種』が教えてくれた。
”今の自分は、形のない暗い塊のようなものだ”
”だから、なんでも形作れる”
なるほど。形がないのか。
ならば、この暗闇の中に適した姿となろう。
そうして、『それ』は形を変えた。
『知恵の種』によってもたらされた”暗い場所でも周りを把握できる器官”。
目と、耳と、腕と、足を。
だが、それは実に歪な姿であった。
長く黒い塊から、無数に生えた不揃いの腕と足。
無数に生えた耳と目。
もしこの場にその姿を認識できる知性体がいたならば、その姿に発狂したことであろう。
よし、これでいい。
これで動ける。周りも見える。聞こえる。
『それ』は満足げに、辺りを見回した。
岩ばかりで何もない。実に寂れた場所だ。
つまらないと、それは思った。
はて?つまらないとはなんだろうか。
”面白みもなく、楽しくもない。ひどく退屈な様のことだ”
知恵の種が教えてくれた。
なるほど。これがつまらないか。
『それ』は納得して、一歩を踏み出した。
盛大にすっ転んだ。
”腕も足も多すぎる。もっと減らすといい”
”細長い体の前と後ろにそれぞれつけるといい”
なるほど。これでは動けないのか。
『それ』は理解して、歪に生えた腕と足を引っ込め、前と後ろに腕を足を二本ずつ付けた。
よし。これでいい。
”・・・・それでもいいか”
『それ』はふふん、と自信を持った。
はて?自信とはなんだろうか?
『それ』はそんな疑問を浮かべながら、暗闇の中を進んでいった。
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・個体名:『 』
・種族名:『迷宮の代行者』
・保有スキル:『王権執行』『術理の種』『知恵の種』『進化の種』『代行権』
・獲得:前腕2本/前脚2本・後腕2本/後脚2本・目30以上/耳30以上・『改造』
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