ダンまちに幻想体がいるのは間違っているだろうか?


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作:はない人
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新種とドロップアイテム


バチッという音と共に草花が焼かれ灰に変わる。

刃物のように鋭い何十もの足の一つがそれを踏み潰し、次いで巨体が草原であった場所を焼き焦がしながら進んだ。

 

「なんなんだよあの新種は!?」

「私が聞きたいわよ! とりあえず逃げるしかない…この階層で出現するにしては強すぎる!」

 

青みがかった鋼鉄の様な殻、複数の瞳孔の無い赤い目、全長5M程の巨体、そして全身から迸る青い雷。

ムカデに酷似した姿をしたモンスターは無差別に雷を放出し周囲を灰に変えながら目の前の獲物を追跡する。

 

迷宮19階層、[大樹の迷宮]と呼ばれている内の一つは現在、そこかしこで火の手が上がる空間へと変わっていた。

これはムカデの姿をした新種により引き起こされたものだ。

 

「クッソ硬いしガードしても雷でダメージ受けるしで理不尽だろあれぇ!」

「いいから足動かすッ」

 

男の冒険者は燃える森に向かいそう吐き捨て女の冒険者は逃走の邪魔になる魔石袋を捨てて走った。

 

そんな獲物の小細工を嘲笑うかのように新種のモンスターは雷を迸らせながら加速する。

進行方向にあった木の数々は足止めにすらならず根元から粉砕された。

広間の一部を火の海に変えるほどの威力を持つ雷、同階層のモンスターを一撃で絶命させる力、そして並の攻撃を寄せ付けない硬く鋭い殻。その3つが合わさりただ移動するだけ、それだけでそのモンスターは絶大な破壊力を生み出していた。

 

「ぜぇ…18階層まで…あとどれくらいある?」

「まだ少し!」

 

逃走を開始し数分、いくらランクアップを果たした身とはいえノンストップで走り続ければすぐに限界は来る。疲労を滲ませながら男が聞けば女は叫ぶようにそう返した。

 

「…こうなったら俺が足止めをして…」

「ダメッ、さっき戦って分かってるでしょう!」

 

剣を抜き足止めをしようとする仲間の腕を女は慌てて引っ張った。最初に奇襲された際2人が協力して不意を突くことで何とか逃げる隙を作ることのできた相手、一人で正面から挑んでも十数秒耐えられれば奇跡だ。

 

「けどこのままだとッ…」

 

男はその後の言葉を飲み込んだ。モンスターとの距離がまた少し縮む。

彼女もわかっている、このままだと追いつかれると。10Mあったその差も既に4M程まで詰められている。

 

だが女は仲間を犠牲にするという決断を下せずにいる。

そうしている間にもモンスターは一切の慈悲なくさらに加速させた。

 

4Mが3Mに、3Mが2Mに、そして…

 

二人の間を銀の光が大気を裂きながら通り抜けた。銀の光は音の壁を越えモンスターの頭を正確に貫いた。

 

モンスターは断末魔を発する時間すら与えられず青色のコートとブラックジャックを残し灰となる。

 

「今のは…」

 

「すまない、何があったのか詳しく聞かせてもらえないだろうか?」

 

「なっ…ブッ…勇者(ブレイバー )!?」

 

銀の光…槍を投擲した主、ロキファミリア団長フィン・ディムナは二人の冒険者に問いかけた。

 

 

 

 

 

 

ダンジョン全域で突如起こった新種のモンスターの連続出現という異常事態( イレギュラー)は冒険者を、そして神々を震撼させた。新種のモンスターが短期間に多数発見される、それだけなら偶然という話で終わらせることができた。

だが新種たちは既存のモンスターとは違う特徴を[共通]で持っていたのだ。

 

まず1つ目に異様な、神の放つ神威とは似て異なる気配を放っていること。

そして2つ目、倒すと魔石ではなくそのモンスターを模した武器・防具・アクセサリーを必ずドロップし、ドロップアイテムを装備したままステイタスを更新するとなんとステイタスにドロップアイテムの効果の詳細が記されるという点だ。

 

このドロップアイテムを落とす点がより未知を好む神だけでなく冒険者をも湧かせた。

ドロップアイテムは特殊武装の様にギミックのあるもの、ステイタスを上げるものなどがありその価値は数千万にも及ぶ。

 

冒険者達はドロップアイテムと情報を求め血眼になってダンジョンを駆け回り、神々は久しぶりの未知という名の娯楽に歓喜した。

 

 

それは闇派闘が疾風の手によって壊滅してから1年後のことだった

 

 

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