和室の減少でふすまのリフォームをネット販売 大手IT企業出身の3代目が磨いた顧客提案力
DIYとネットをかけ合わせる
事業開始後からしばらくして、BtoC事業が加速するきっかけがありました。ある現場で施工管理をしていた際、発注主の賃貸住宅のオーナーから「和室は洋室より借り手がつきにくい。安価でリフォームできないものか」という悩みを聞いたのです。 谷元さんは和室の需要が本格的に衰えていることを改めて実感すると同時に、「和室から洋室に安くリフォームしたい」という需要が今後は大きくなりそうだと感じました。 そうした顧客の課題を、当時の谷元フスマ工飾の技術・ノウハウで解決できないか――。谷元さんは前職で学んだ「課題解決ソリューション」を実践します。 既存のふすまの枠に合わせつつ、洋風でデザイン性が高いドアや引き戸、間仕切りをつくり、ネットショップで販売するという方法は早い段階で思いつきました。 ただ、部屋によって微妙に寸法が異なるふすま枠をどう測るか、という点がネックとなります。ふすまにはドアや窓枠のような規格がなく、大工が枠を組み立ててからその寸法に合ったふすまを製造するのが一般的でした。 さらに、寒冷地だと防寒のためにふすまが厚くなるなど微妙な地域差もあります。状況が異なる顧客の家に毎回寸法を測りに行くのもコストがかかり過ぎます。 谷元さんらは悩んだ末、「お客さん自身に測ってもらい、商品の取り付けも自分でやっていただこう」と思いつきました。当時流行り始めていたDIYを、インターネットと掛け合わせるビジネスモデルです。 現場の職人からは「お客さんが測った寸法でつくって、ちゃんと収まるのか」、「クレーム・返品になるんと違うか」などと反対の声も出ました。それでも谷元さんは「まずはやってみよう」と説得し、事業を始めました。 顧客のどんな課題を解決できるかが直感的にわかるよう、サイト名も2011年に「和室リフォーム本舗」へと変更しました。
売り上げゼロから重ねた改善
当初から販売が順調だったわけではなく、売り上げゼロの月もありました。それでも谷元さんは、少しずつサイトなどの改善を重ねました。 例えば、建具の写真がたくさん並んでいるだけに見えるページに、「ふすまの枠に入れられる」、「安く自分でリフォームできます」という説明書きを目立たせました。現場が当初懸念したクレームや返品がないよう、ふすま枠の採寸方法も丁寧にガイドにまとめました。 ふすま枠の採寸に関するやり取りも当初は電話やメールで行っていましたが、間違いがないよう縦・横・幅などのサイズを定型フォームに入力できる仕様にしました。 時折、顧客が測った寸法におかしな点があっても、谷元フスマ工飾は長年ふすまや建具を作ってきた知見からすぐ気付きます。その後、電話やメールでサポートすればほとんど解決できるのが強みです。 次第に、返品はほぼなくなり、オンラインショップのレビューも、5点中4点台の後半を常に維持しています。 「長年ふすまや建具を製造するだけでなく、納入時に建築現場の住宅に行って枠にきちんと収まるよう調整してきたノウハウが蓄積されています。現場にきちんと足を運んでいる当社だからこその強みです」 賃貸住宅関連の展示会などリアル会場での販売促進も進めました。出展はバイヤーとの商談にもつながり、大手ホームセンターの全国30店舗で和室リフォーム本舗の商品のミニサンプルやチラシを並べてもらうことができました。 その後も、ふすまのリフォームを説明する2分ほどの動画を制作・配信したほか、現在はインスタグラムなどSNS発信に注力したり、賃貸住宅のオーナーが購読する雑誌に広告を出したり、認知拡大に注力しています。