和室の減少でふすまのリフォームをネット販売 大手IT企業出身の3代目が磨いた顧客提案力
ふすまを洗練されたデザインに
入社後はまず現場を知るため、ふすまや建具の施工管理と営業を主に担いました。売上高に占める割合が大きいゼネコンやハウスメーカーなどの担当です。住宅の新築現場に出向き、ゼネコンなどの担当者と打ち合わせながら、図面を引いて必要なふすまや建具などを手配するという基本動作を繰り返しました。 その過程で谷元さんは課題に気づきます。建具は日々新しい素材やデザインの商品が開発されるのに対し、ふすまは昔から同じ紙と木による製造で、デザインも地味なものばかり。「新しいことを仕掛け、ふすまをおしゃれなイメージに刷新したい」と考え始めました。 入社2年目のころ、ふすまに洗練されたデザインやイラストをプリントしてみたら「売れる商品になるかも」と、大型のインクジェットプリンターを購入しました。一男さんからも「新しいことはどんどんやってみたらええ」と後押しされました。 デザインはパソコンで画像処理をし、印刷データも自分で製作。ただ、ふすま紙にインクがにじむなど最初はうまく印刷できませんでした。パソコン上で表現した色が想定通り発色されないという苦労もありながら、試行錯誤を重ねて商品化。展示会にも出品しましたが、谷元さんは「あまり売れませんでした」と振り返ります。
ネットショップをスモールスタート
入社から5年ほど経ち、施工管理や営業が何とかできるようになったタイミングで、一男さんから「交代しようか」と持ちかけられました。 一男さんは65歳を一つの区切りと考えていたそうです。「自分は早く社長を譲ってもらいたかったが、50歳くらいまで実現しなかった。だから亨には早く譲ろうと思っていた」とも明かしました。 一男さんは承継前、専務として長く経営の実質的な責任者でしたが、祖父が社長にずっと留まってたそうです。 谷元さんも「ぜひやらせてほしい」と応え、2008年に社長に就任しました。 同じ頃、ふすま業界の知人から「ふすまをインターネットで販売する事業を譲りたい」と相談されます。個人などへの販売実績もそれなりにあるネットショップでした。 それまでの谷元フスマ工飾は個人への販売・施工、いわゆるBtoC事業を八尾市周辺に限っていました。売り上げの大半を占めるゼネコンやハウスメーカー向け(BtoB)に比べると営業効率が悪く、あまり注力していなかったのです。 インターネット販売なら効率的に売り上げを伸ばせる可能性があると考え、谷元さんは事業譲渡を快諾。2008年から「マジキリヤ」のサイト名でネットショップ事業を始めました。 既存のふすま・建具製造事業に影響が出ないよう、谷元さんと事務と兼任のスタッフの2人による「スモールスタート」でした。