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      セキシュウサイを術で倒す奴は無粋だ

      『ロマンシング サ・ガ2』に「セキシュウサイ」というキャラクターがいる。江戸時代辺りの日本をイメージしていると思しき「ヤウダ」という国の練達の武人――武将或いは旗本もしくは家老と呼ぶべきかもしれない――で、「アト」という王に仕えている。先代からアト王を託されたと語っているところから、ヤウダ王家の旧臣と見て差し支えない。
       相手の武器を奪って反撃する秘剣「無刀取り」と強力な両手剣技「清流剣」の達人であるセキシュウサイのモデルは、言うまでもなく、同名の奥義を体得した柳生石舟斎こと柳生但馬守宗厳だ。このセキシュウサイはとにかく優れた人物として描かれており、『ロマンシング・サ・ガ大全集』(デジキューブ編、デジキューブ、一九九七年)の「ヤウダ王国」の項で「衰退する王国を支えているのが、先王からアトを託された忠臣、セキシュウサイである。王国の興廃は、もはや彼の清流剣にあるといってよい。」と讃えられ、「セキシュウサイ」の項では「アト王に仕えるあらゆる技に通じた剣豪。主に最後まで忠節を貫き、皇帝と悲劇的な対決をする。『無刀取り』の名手。」と記されている。
       一方、忠臣セキシュウサイを無駄に使い潰した暗君として多くのプレイヤーが記憶しているであろうアト王は、『三国志』に登場する蜀漢の第二代皇帝劉禅だろう。劉禅はその幼名を阿斗といった。この人物は前掲『ロマンシング・サ・ガ大全集』の「アト」の項で「ヤウダの王。皇帝にワグナス打倒のの協力を頼むが、影ではワグナスと皇帝を戦わせ、共倒れの計略を練る卑劣漢。」と散々なことを書かれている。
       プレイヤーキャラクターである皇帝と彼らの関係性は敵対だ。
       皇帝が統治するバレンヌ帝国は、七英雄という集団と敵対している。アト王がセキシュウサイの反対を押し切って、その七英雄のリーダー、ワグナスと皇帝の共倒れを図ろうと陰謀を巡らせたことから、バレンヌ帝国とヤウダ王国は敵対することとなり、開戦に至った。
       アト王のこの無謀な決定は、家臣達の中にも少なくない離反者を出したが、セキシュウサイだけはアト王を見捨てようとはしなかった。アト王を見限るよう勧めようとした皇帝に対し、セキシュウサイは次のように答えている。

      セキシュウサイ
       陛下! それ以上おっしゃいますな!
       私、先王よりアト様のことを託された身。二君に仕えずと言う言葉もございます。
       次は戦場で相見えましょうぞ。

       こうしてバレンヌ帝国とヤウダ王国は戦争へと突入した。
       開戦後、皇帝はアト王が座すチョントウ城に攻め入り、城内に駐屯するワグナスの配下を殲滅していった。皇帝はここでワグナスの配下から、ワグナスが、ヤウダとの同盟は表面上のものであり、いずれはアト王を殺してヤウダを奪取する腹積もりでいることを聞き出す。
       ワグナスの配下を殲滅した皇帝は、セキシュウサイに護衛されたアト王の元に歩を進める。皇帝は、城に残っているのはセキシュウサイと王だけであると告げ、降伏を促すが、セキシュウサイはそれに応じず、アト王を最後まで守り抜くため、一騎討ちを挑んでくる。

      セキシュウサイ
       ・・・・かの名高き皇帝が相手とはこの一戦、わが生涯の誉れ!
       アト王が臣、セキシュウサイ、参る!

       この一騎討ちは敗北してもゲームオーバーにはならない。このイベントの決着は敗北と勝利とがある。
       まずは皇帝が敗北した場合から見ていく。

      セキシュウサイ
       勝てた・・・・
       アト様、どこへなりともお逃げください。
       すぐに帝国の第二波が襲来します。

      セキシュウサイ
       これで思い残すこともない。
       陛下、しっかりしてください。陛下!
       アト様は私が逃がしました。すべての責任は私が負います。
       では陛下、お見届けください。

       皇帝に勝利したセキシュウサイは、その隙を突いてアト王を落ち延びさせることに成功するが、その後、全ての責任を取って自害する。残されたヤウダ臣民のことを考えない無責任な態度との批判を免れることはできないが、それでも、そこには人の心を打たずにはいられない――あってはならない不愉快な――浪漫がある。
       なお、この「しっかりしてください」というのは、敗北した皇帝に対するものだ。
       続いては皇帝が勝利した場合を見る。

      セキシュウサイ
       見事・・・・
       さすがは皇帝陛下、私の力もおよびませんでした・・・・
       陛下、なにとぞ王の命だけはお助けください。
       武人の最後の願いです。なにとぞ、なにと・・・・ぞ・・・・

       皇帝に敗北したセキシュウサイは、死を迎えつつある中で、皇帝に主君の助命を嘆願する。ここでは、最期の言葉までもが主君のために使われた。
       ここに自分の命を捨てることで皇帝の心を動かそうという打算があったかどうかは定かではない。武力のみならず、識見、人格共に格別の武人であるセキシュウサイだから、その可能性を否定しきれない。しかし、仮にそういう打算があったところで、セキシュウサイの死に傷はつかない。むしろ、計算ずくの死である方が、自覚的な殉死である以上、より強力に忠誠心が表現されていると考えられるかもしれない。
       こうした背景を残らず呑み込んだ上で、セキシュウサイとの一騎討ちを考えたい。
       人物としての能力はともあれ、敵キャラクターとしてのセキシュウサイは、清流剣と無刀取り以外の技を持たない。プレイヤーキャラクターのHPの最大値が九百九十九である中、七百超のHPを持っている点は驚嘆に値するが、敵として登場した場合は、はっきり言って雑魚でしかない。一騎討ちであること、物理攻撃を回避し反撃する奥義である無刀取りを習得していることなどは確かに脅威ではあるが、そんなものは術の前には意味を成さない。反撃不能な攻撃術法で吹き飛ばしてしまえば、皇帝は掠り傷一つ負うことなくセキシュウサイに勝利することさえ可能だ。
       軍事作戦として見た場合、また効率的なプレイという観点から言えば、この戦法は妥当だ。
       だが、ゲームで効率を重視するということは、ゲームを単なるデータとフラグの集積物として眺めることに等しい。そうやって、フラグスイッチを入れ、各種数値を変動させ、より優れたデータを作成することに楽しみを見出す者が少なからず存在することは想像に難くない。
       このこと自体を否定する気はない。ゲームの楽しみには、多かれ少なかれ、こういったことも含まれている。
       しかし、ゲームとは――特にこの手のRPGは――決してそれだけのものではない。そこにはドラマがある。ある種、人形劇を演出し、鑑賞するような楽しみもそこにはある。
       そういう観点で考えるのであれば、重厚な背景を背負った魅力的なキャラクターであるセキシュウサイを術で嬲り殺しにするが如きは、明らかに無粋と言える。粋ではない。野暮の極みだ。



      このエントリーのタグ: サガシリーズ ゲーム
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      4:No title by ちな on 2011/04/14 at 21:43:50 (コメント編集)

      セキシュウサイの敗北が計算済みという考え方をしたことはありませんでした…綺麗すぎるかもしれないけど、新鮮な捉え方有難うございますmm

      セキシュウサイとの一騎打ちは火山イベント後の皇帝のセリフ、倉庫のコッペリアを見る時以上に自分にとっては思い入れのある場面です。
      SFCのRPG、特にこのロマサガ2はストーリーを押し付けず、創造力を働かせる余地が多くて大好きなRPGです!!

      5:Re: No title by 幸茸 on 2011/04/15 at 00:26:14 (コメント編集)

       セキシュウサイの台詞や行動からすると、どのみち死ぬ気だったように思えますからね。
      「誰かが死なねば収まらない。ならば自分が死ぬ」という武士道的な自己犠牲と、「自分の首には一国を救うだけの価値がある」という武人の自負、そして「自分の死は皇帝の心を動かし得る」という老獪な計算が感じられます。
       この潔さと誇りと狡さの同居したところに、老武人セキシュウサイの魅力があるような気がします。

       火山やコッペリアもいいですね。特にコッペリアは切ない感じで見るたびに物悲しくなります。セキシュウサイとは別ベクトルで心を打たれます。

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