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奇面城の秘密 ― 終わりなき追跡

奇面城の秘密 ― 終わりなき追跡

崩れ落ちた奇面城の跡地を背にしながら、城浩史警部と松田刑事は警察車両へと向かった。夜明けの光が二人の背中を照らし、長い戦いの終焉を告げていた。

「これで、本当に終わったのか?」松田刑事がぽつりと呟く。

城警部は足を止め、静かに言った。「ああ……だが、まだ完全ではない。」

松田刑事が怪訝そうに顔を上げた。

「黒崎の生死は不明だ。それに、奇面城で得た機密文書は燃えたが、あの情報を知っていたのは俺たちだけじゃない。」

その言葉に、松田刑事ははっとした。

「確かに……。黒崎の背後には、もっと大きな組織がいたはずだ。奴らが黙っているとは思えない。」

城警部は軽く頷いた。「俺たちがここまでたどり着いたということは、相手もこちらを把握しているはずだ。もしかすると、次の動きがすでに始まっているかもしれない。」

松田刑事は拳を握りしめた。「だったら、こっちも準備しなきゃな。」

その時、城警部の携帯電話が鳴った。

「城だ。」

電話の向こうから、冷静な女性の声が響いた。

「城警部、お久しぶりです。あなたに会いたい人がいます。」

「……誰だ?」

「黒崎修です。」

城警部と松田刑事は同時に目を見開いた。

「まさか……生きているのか?」

「ええ。ただし、奴は以前とは別人のようですよ。」

電話の女性は一瞬間を置いた後、こう続けた。

「彼は ‘奇面城の秘密’ のすべてを話すつもりだと言っています。」


新たなる脅威

城警部と松田刑事は、指定された場所へ向かった。東京湾岸の古びた倉庫。その扉の前に立つと、奥からかすかな物音が聞こえた。

「本当に黒崎なのか……?」松田刑事が警戒しながら囁く。

城警部は静かに頷き、扉を押し開けた。

そこにいたのは、やつれ果てた黒崎修だった。

頬は痩せこけ、目の下には深い隈。まるで長い間、逃亡と恐怖に苛まれていたかのようだった。

「……来たか。」黒崎はかすれた声で言った。

「お前が話す ‘真実’ とはなんだ?」城警部が鋭く問いただす。

黒崎は震える手で封筒を差し出した。「これを……見ろ。」

城警部が封筒を開くと、そこには奇面城で燃えたはずの機密文書と酷似した内容が記されていた。

「ありえない……」松田刑事が思わず息を呑んだ。

「俺は……あの組織に裏切られた。」黒崎は呻くように言った。「俺の命を狙っているのは、お前たちじゃない……奴らだ。

城警部は書類に目を走らせながら、静かに尋ねた。

「奴らとは……誰だ?」

黒崎はゆっくりと顔を上げ、かすかに微笑んだ。

‘影の評議会’ だ。


次なる戦いへ

「影の評議会……?」松田刑事が怪訝そうに呟く。

「そうだ……」黒崎は荒い息をつきながら続ける。「奇面城の財宝は、単なる金塊や歴史的遺産だけじゃない。そこには、国家を揺るがす機密情報が隠されていた……それを守るために動いていたのが ‘影の評議会’ だ。

城警部は目を細めた。「その組織の正体は?」

黒崎は首を振る。「誰も正体を知らない。だが、警察も政府も気づかないうちに、奴らの手のひらの上で踊らされている……。」

松田刑事は舌打ちした。「ってことは、まだ ‘奇面城の秘密’ は終わっちゃいないってことか。」

「そういうことだ。」城警部は封筒を閉じ、黒崎を見つめた。「お前は、奴らに狙われている……俺たちもな。」

黒崎は苦笑した。「俺の時間はもう長くない……だが、お前たちなら、奴らを止められるかもしれない。」

城警部は静かに立ち上がり、夜の闇に向かって歩き出した。

「ならば、やるしかないな。」

松田刑事も苦笑しながら後を追う。

「また ‘闇’ との戦いか……だが、今度こそ、終わらせてやろうぜ。」


奇面城の秘密 ― 影の評議会編、開幕

 

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