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情熱大陸
鳥海 修(書体設計士・#1345)
MBS毎日放送
3月23日(日)放送分
3月30日(日)22:59 終了予定
「水のような空気のような」文字を
70歳で辿り着いたフォントデザイン
この男がデザインした「文字」を、誰もが目にしたことがあるだろう。
手がけた書体は、ゆうに100を超える。代表作はヒラギノフォント、游書体シリーズ。
2000年に発表したヒラギノ明朝体の「愛」の字は、あのアップル創業者スティーブ・ジョブズを「クール!」と唸らせ、「Mac OS X」への搭載が決まった。
生み出される文字の数々は、今では私たちが毎日使うスマホやPC、書籍、街の看板……あらゆる場所に息づいている。
長野の自宅兼作業場は、山々の麓にある。だが窓から眺めることができる北アルプスの威容には目もくれず、熱い視線をむけるのはひらがなにカタカナ、漢字……数万に及ぶ文字、文字、そして文字。
専用ソフトを使い、陽が暮れるまで「あ」の曲線を太くしたり、「国」の縦線を細くしたり。我々が目を皿のようにしてもわからない文字のわずかな違和感を、鳥海は見つける。そして、嬉しそうにニヤリと笑って修正を重ねるのだった。
目指すのは「水のような、空気のような」書体。デザインそのものを主張するのではなく、個性を抑制して自然に目に入る文字を目指しているという。
この道40年、今年古希を迎えるその歩みは止まることがない。次世代育成のための私塾「文字塾」は11年目を迎え、企業からはコーポレートフォントの制作依頼が舞い込むなど、仕事は年々増している。
そんな鳥海が、取材中にこっそりと見せてくれた書体の下書き。70歳を機に新たな書体作りを始めようという……。誕生日にひとまず基本となる文字ができ上がる。果たしてその姿とは――
1955年3月山形県生まれ、70歳。多摩美術大学卒業後、大手フォントベンダーに入社。
1989年に有限会社字游工房を設立する。「ヒラギノシリーズ」などを委託制作する一方、自社ブランドとして游明朝体、游ゴシック体など、ベーシック書体を中心に100書体以上の書体開発に携わる。2012年から「文字塾」を主宰し、現在は「松本文字塾」で明朝体の仮名の作り方を指導している。2024年長年の日本語文字文化への貢献が認められ、第58回吉川英治文化賞を受賞。
©MBS
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