プロジェクトマネジメントが向いている人・向いていない人
プロジェクトをはじめたいが、PMがいない
PMがまったく採用できない
PMがなかなか育たない
いま、大PM不足時代
近年、IT業界に限らず、製造業やサービス業、さらには地域の活性化プロジェクトなど、ありとあらゆる場面で新しい取り組みやイノベーションの推進が求められています。そこで、複数のステークホルダーを束ねて、プロジェクトを成功に導くPMの存在は不可欠です。
しかしながら、世の中では圧倒的にPMが不足している状況にあります。なぜなら、組織内部にPMのノウハウがない企業が多いことや、PMの需要が増え続けているのに対して、育成が追いついていないという現状があるからです。
事業拡大や新規事業の推進、DX(デジタルトランスフォーメーション)などが求められる一方で、実務ベースでプロジェクトを取り仕切れる人がいない
PMとしてのキャリアパスが明確ではなく、育成計画をしっかり立てている企業がまだまだ少ない
求職市場でもPMを募集してはいるが、そもそもの応募数が少なく、企業側も「どうやってPMを探していいか分からない」状態
このような背景から、世の中は慢性的なPM不足に陥っていると言われています。
大手企業やコンサルが高待遇でPMを採用する理由
「では、PMが不足しているはずなのに、なぜ大手企業やコンサルにはPMがたくさんいるんだろう?」と思うかもしれません。確かに、一流企業やコンサルティングファームでは、高待遇でPMを迎え入れるケースが増えています。これは、彼らが持っているプロジェクトの規模が大きく、なおかつ責任も重大だからこそ、実績あるPMが必要不可欠なのです。
大手企業は、M&Aやグローバル展開、新製品の大規模開発など、プロジェクトのインパクトが非常に大きい
コンサルファームは、クライアント企業から大きなプロジェクトを請け負い、成功させることで大きなビジネス価値を生む
優れたPMは限られた資源なので、高待遇によって一気に採用しようとする
その結果、市場に出てくるPM候補を大手企業やコンサルが先に獲得してしまうわけです。これは企業間競争の構造上、ある意味仕方のない流れとも言えます。
社内でPMを育てて、やりたいことを推進してほしい企業も多い
とはいえ、すべての企業が大手並みの高待遇を用意できるわけではありません。人材獲得競争に敗れて、「もうPMがいないならしょうがない…」と諦めてしまうのはもったいないですよね。実際、多くの中小企業やスタートアップでは、「社内でPMを育てて、自社のやりたいことをスピーディーに進めたい」と考えています。
自社の事業や文化を深く理解した人材を、社内でPMとして育てたい
外部から引き抜くよりも、社内でゼロから育てた方が長期的な利益につながる
内部でナレッジを蓄積し、社内全体のプロジェクト推進力を底上げしたい
このように、PMを外部から雇うのではなく、社内で育成したいというニーズは非常に高まっています。だからこそ、「誰がPMに向いているのか」「どうやって見極め、育てるのか」という話題が重要になってくるのです。
そもそもPMに向き不向きはある? 誰でもなれるわけではない
「プロジェクトマネージャーなんて、経験を積めば誰でもできるのでは?」と思う人もいるかもしれません。もちろん、PMという仕事は経験を通じてスキルアップする部分が多く、一朝一夕でできる職種ではありません。しかし、同時に向き不向きがあることも事実です。
なぜなら、PMとは単にスケジュールを管理する人ではなく、組織やチームのモチベーションを維持し、経営陣や他部署との調整を行い、リスクを先読みし、チーム全体が成功へ向かうよう総合的に動かしていく存在だからです。そうした役割をこなすには、ある程度の素養が求められる側面があります。
PMとして必要な能力はPMBOKを見れば書いてある…でも抽象的でわかりにくい?
プロジェクトマネジメントについて体系的に学びたい場合、真っ先に名前が挙がるのが「PMBOK(Project Management Body of Knowledge)」です。これは、プロジェクトマネジメント協会(PMI)によって編纂された知識体系で、以下のような内容がまとめられています。
さらに、品質管理やリスク管理、調達管理など、多岐にわたる知識エリアが整理されています。PMBOKは、PMに必要とされる能力を網羅的に学ぶ際に非常に役立つのですが、内容が抽象度高めで、はじめのうちは「これ、実務でどうやって使うんだろう…?」と思うこともしばしばです。
「プロジェクトのステークホルダーを明確にしましょう」と言われても、具体的にどう整理すればいいの?
「リスクマネジメントを計画しましょう」と言われても、どこまで想定すればいいの?
「品質管理が大事」と言われても、実際に何をすればいいの?
このように、PMBOK自体は大切な知識をまとめてくれていますが、読み解くのが意外と難しいと感じる人が多いのです。
私が考える、PMが向いている人の特徴は2つ!
そこで、ここからは私の経験や周囲のPMを観察してきたなかで、「この人たち、PMとしてうまくやっていけそうだな」「これはPMの素養だな」と感じた特徴を紹介します。あくまで私見ではありますが、かなり的を射ていると思うので、よければ参考にしてみてください。
1. 飲食店でも「もっと良い接客導線にすれば売上アップできそう」と考えられる人
まず1つ目は、日常生活の中で「これ、改善できるんじゃないか?」と全体を俯瞰して考えられる人です。たとえば、飲食店に行ったときに、こんなことを感じた経験はありませんか?
「ここ、注文を取るタイミングを変えたらお客さんの満足度が上がるのでは?」
「席の配置をこう変えたら、スタッフさんの動線がもっとスムーズになるんじゃないかな?」
「ランチタイムとディナータイムで、メニューやオペレーションを変えたらもっと効率良くなる気がする」
こうした視点を持てる人は、全体最適を常に意識し、課題を見つけるアンテナを張っていると言えます。プロジェクトマネージャーの仕事では、チームメンバーの動き、予算やリソースの使い方、外部との連携など、あらゆる要素を俯瞰して見通す力が求められます。いわゆる「大局観」のようなものですね。
全体を見渡して「今、ボトルネックになっているのは何か」を見抜く
チームが最大限パフォーマンスを発揮するにはどうすればいいか考える
具体的なタスクの細部だけではなく、全体構造を意識して判断する
このように、「細かいところはもちろんだけれど、常に全体を見渡して改善点を探す」姿勢を自然と持っている人は、PMとして非常に強みを発揮します。
2. 「運がいい」と言い切れる人
二つ目の特徴は、「自分は運がいい」と素直に言える人です。これは意外に思われるかもしれませんが、プロジェクトマネージャーの仕事をしていると、やはり最後の最後は「運が左右する」場面が出てきます。特に大きな案件であればあるほど、世の中の情勢やタイミングなど、コントロールしきれない要因がたくさんあるのです。
もちろん、「運だけでプロジェクトが成功する」わけではありません。しかし、「自分は運がいいから大丈夫!」と信じられる人には、以下のような傾向があります。
過去に成功体験があるからこそ、前向きに捉えられる
運を味方につけるために、行動や準備を怠らない
失敗やトラブルに直面しても、ポジティブに捉え直せる
周囲の人に助けを求めることに抵抗が少ない(結果として運が向きやすい)
特に大切なのは、「運がいいと信じられる人」は自信を持って行動できるという点です。自信があるからこそ、周囲に応援をお願いしたり、サポートを仰いだりすることができる。そうしてチームの協力を得られれば、プロジェクトがうまく転ぶ可能性が高まるというわけですね。
また、PMがポジティブで前向きなオーラを出していれば、チームのメンバーにも良い影響を与えられます。ネガティブな雰囲気の中で仕事をするよりも、やはり「ちょっと大変だけど、なんとかなる気がするよね!」という空気感の方が、チームは活気づくでしょう。
PMは経験値でスキルアップする職種…でも素養はある程度重要
もちろん、プロジェクトマネージャーは実務経験を積むことで着実にスキルアップできる職種です。実際にプロジェクトを回してみないとわからないことがたくさんあるので、「最初は不安だけど、やりながら身につけていこう!」というスタンスも大切です。
ただし、先ほど挙げたような「全体を俯瞰する力」や「運の良さを信じて行動に移せる姿勢」は、ある種の素養と言っても良いかもしれません。完全にゼロから身につくものというよりは、もともと持っている考え方や性格的な要素が大きいからです。
プロジェクト全体を俯瞰して考えられない人が、急に広い視野を持つようになるのは難しい
常に自分はツイてない、どうせうまくいかない…と思っている人が、急に「自分は運がいい!」と信じられるようになるのもハードルが高い
ただ、これは「才能の有無」の問題というよりも、物事に対する意識や日頃の過ごし方に近い部分でもあります。もしPMを目指したいと思うなら、以下のようなマインドチェンジを図るのも一手です。
日常の小さな改善点に気づく習慣をつける(家の中の動線、スマホのアプリ配置などでもOK)
自分の過去の成功体験を棚卸しして、「自分、意外と運がいいのかも?」と考えてみる
失敗やトラブルが起きたときでも、笑って乗り越える工夫をする(周囲の人に相談するとか、気分転換に何かするとか)
向いている人材を見極めて、育成をスタートしよう
ここまで読んでみて、「この人はPM向いていそうだな」という人材像が少し浮かんだのではないでしょうか。今後、企業がプロジェクトマネジメント能力を持つ人を確保していくには、早めに『向いている人』を見極めて育成をスタートすることが重要です。
まずは現場レベルで小さなプロジェクトを担当させてみる
OJTで先輩PMがサポートしながら、実際にプロジェクトを回してもらう
必要に応じてPMBOKなどの知識体系を学習させ、理論と実務をリンクさせる
プロジェクトが終わるごとに振り返りを行い、成長ポイントを明確にする
こうしたサイクルを回す中で、PMとしてのセンスや素養がより研ぎ澄まされていくはずです。最初は小さな案件からスタートして、徐々に難易度の高いプロジェクトへステップアップしていくことで、企業としてもリスクを抑えつつPM人材を育成できます。
一方で、「向いていないかも…」と思ったらどうする?
もちろん、PMとして活躍するには相応のプレッシャーや責任感がついて回るので、「自分には合わないかもしれない…」と感じる人も出てくるでしょう。では、そうした場合はどうすればいいのでしょうか?
無理にPMを続けさせるのではなく、適性を別のポジションで活かせる可能性を検討する
PM経験で得られた視点やスキル(コミュニケーション力や調整力など)は、他の業務にも応用できる
人材が流動的に配置される組織であれば、「PMの補佐をやりたい」「アシスタントとして関わりたい」などの関わり方を模索する
PMに求められる能力は幅広いですが、それゆえに「合わないな」と思ったら別のキャリアパスを探してみるのも悪くありません。企業としては、一度PMに挑戦した人材が別の役職で力を発揮するというケースを柔軟に受け止められるような仕組みが必要かもしれません。
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