高校教科書の検定では、先の大戦中に行われた朝鮮半島から日本本土への労働者動員について「連行」したとする記述に意見が付き、改めて歴史認識の課題が浮き彫りになった。戦後補償や領土問題についても、政府の立場と異なる記述が確認され、修正を求められるケースが目立った。
「連行」と記述したのは、教育図書の「政治・経済」。労働者動員に関し、政府は令和3年に閣議決定した答弁書で、移入の経緯はさまざまだとした上で、「『強制連行された』『強制的に連行された』『連行された』とひとくくりに表現することは適切ではない」と指摘している。
教育図書の編集担当者は「単純に表記があいまいだった。政治的な意図を持って入れたというより、用語の使い方で確認を怠った」と説明。解決済みとする政府の立場と異なる記述をした戦後補償についても、同様の認識だったと認めた。
この教科書は、日本固有の北方領土を「ソ連によって占領され、その領有が現在まで続いている」と記述。検定で指摘を受けて「領有」を「不法占拠」に改めた。
領土問題を巡っては、竹島(島根県隠岐の島町)と尖閣諸島(沖縄県石垣市)について、学習指導要領で求められている「固有の領土」と明記されなかったケースが確認され、いずれも指摘を受けて修正された。