お茶会
これのどこが美味しいのだ?
イルドゥンは不思議だった。渋すぎる。香りがない。出がらしのような薄い色。
イルドゥンお気に入りをけなしたゾズマに、ためしに満足いくものを持ってこさせたのだが。
目の前で上機嫌に自分で注いだ茶を飲む男をちらりと見た。
・・・はっきり言ってこれは不味くないだろうか?
そんなことを考えていたイルドゥンはゾズマと目が合ってしまう。
奇妙な沈黙だった。
言葉に変換すれば『なんで男二人でお茶を飲まなくちゃならないのだ』であり、『こいつの眉間の皺って深すぎだね、溺れちゃう』というところだ。
「アセルス、どっか行っちゃってつまらないな~」
ゾズマは切なそうに言う。
「こんな不安定なときにファシナトゥール空けちゃいけないのにね~。あまり寂しいから、ボクがリージョン占めちゃいたくなるよね、まったく・・・」
イルドゥンは何も返事してくれないので、さらに喋る。
「アセルスは勿論、ボクの第一寵姫だね。ボクは優しいから君も入れてあげるよ、第七ぐらいかな。・・・オルロワージュも欲しかったんだけどね」
名前を出されてイルドゥンが視線を上げた。
「・・・指輪の君はご健在だぞ」
「あいつはいらない」
嫌そうに顔を顰めた。
「あいつは実に喰えない。どう考えてもよくない」
そう思うでしょ?と同意を求める男に、イルドゥンは
「私は喰えるのか?」
と聞いた。
「まぁ、大丈夫でしょ。たっぷりと香辛料がいるけどね」
テーブルの上に茶器を置いた。かちゃりと大きな音がした。
アセルスの統治より安定するよ、ボクだったらと、ゾズマはにっこりと笑った。
「どう思う?」
「オルロワージュさまと違って罪悪感が沸かなくていい」
即答の内容は、好戦的なものだった。
イルドゥンはたったそれだけを言うと、再びお茶を口にする。好みに外れたものを早く飲み干してしまいたいのだ。
「・・・つまらなすぎる。泣いて止めようとしてくれなきゃやる気がでないよ」
非常に退屈だった。
「アセルス、早く戻ってくるといいな~」
「そうだな」
返事が返ってきてゾズマはちょっと驚いた。空になったカップをテーブルの上に置いて嬉しそうなイルドゥンともう一度目が合った。
20130710改
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