人のふり見て、演技に活かせ。
俳優って、ついつい自分の内側ばかり掘り下げようとしがち。
過去の経験や感情、自分の痛み――それらを使ってリアリティを生み出すのも大切だけれども、それだけじゃ限界がある。
引き出しの中が、自分のことでいっぱいになって、狭くなるからね。
けれども、外に目を向けてみると、本当にすごい素材がゴロゴロしているよ。
駅で怒鳴ってる人。
居酒屋でずっと聞き役に回ってる人。
やたらと間が長い人。
笑い方がクセ強めの人。
みんな、役になる。
ぜんぶ、宝の山。
飲み会に行くなら、ただ楽しく酔っ払って帰るだけじゃもったいない。
観察して、吸収して、自分の引き出しにそっとしまっておく。
そうすると、いつか役を作るときに、あのときの“誰か”が、自分の中から出てくる。
「そんなの、自分じゃない」って?
あのさ…。
演じるって、“自分じゃない何か”になること。
それがイヤなら、自伝でも書いてればいい。
俳優って、誰かの人生を一瞬だけ生きる仕事。
だったら、他人の生き方にもっと貪欲になっていい。
目の前の誰かが、自分の演技を変えるかもしれないんだから。