参院予算委 集中審議 物価高対策や観光政策などめぐり論戦

国会では参議院予算委員会で集中審議が行われ、物価高対策や観光政策、それに防衛費の増額などをめぐり論戦が交わされました。

新年度予算案の審議が大詰めを迎える中、参議院予算委員会では、石破総理大臣も出席して集中審議が行われました。

公明党の宮崎勝氏は資源の回収や再利用などを進める循環経済について「資源小国のわが国で持続可能な社会を実現するには、循環経済への移行は喫緊の課題だ。新しい成長の実現やカーボンニュートラルの達成、地方創生の視点からも不可欠だ」と指摘しました。

これに対し、石破総理大臣は「循環経済への移行は廃棄物を資源として最大限に活用しながら付加価値を生み出し、新たな成長につなげる極めて重要な取り組みで、地方創生、環境問題、産業競争力、経済安全保障、多くの面で寄与する。今国会にも資源有効利用促進法の改正案を提出しており、可決してもらいたい」と述べました。

日本維新の会の柳ヶ瀬裕文氏は観光政策について「訪日外国人観光客は、この10年間でおよそ3倍になった。観光庁は2030年までに6000万人を目指すとしているが、オーバーツーリズムの弊害はそこかしこにある。数を追いかけるのではなく、都市から地方に分散させるよう、目標を変えていくべきではないか」とただしました。

これに対し、石破総理大臣は「東京、京都、大阪、富士山などという『ゴールデンルート』に観光客が偏ってるために、こんなことが起こるということだ。いかにして地方に分散するか、インフラをどう整備するかということに注力していきたい」と述べました。

国民民主党の礒崎哲史氏はガソリン税の暫定税率について「総理は新年度予算案の成立後に強力な物価対策に取り組むと発言した。総理が言う対策として総動員するあらゆる政策に、暫定税率の廃止は含まれているか」と迫りました。

これに対し、石破総理大臣は「暫定税率は廃止することが決まっている。その時期は、インフラ整備にあてる恒久財源をいかに見いだすか、各党の意見もいただきながら、なるべく早く結論を出してしかるべきだ。暫定税率がなくなることで、ガソリン価格が消費者にとって歓迎できるようなものになることは期待される」と述べました。

共産党の大門実紀史氏は防衛費の増額をめぐり「なぜこんなに急に軍事費を拡大する必要があるのか。総理は防衛大学校の卒業式で『こんにちのウクライナはあすの東アジアかもしれない』という話をした。ロシアのウクライナ侵攻があるから急拡大が必要なのか」とただしました。

これに対し、石破総理大臣は「ウクライナ侵攻があるから軍事費を増やすという論理ではない。『バランス・オブ・パワー』というのは大事なことで、わが国の安全保障環境は、かつてなく厳しいという事実がある中、この地域で軍事均衡が崩れることは、どうしても避けなければならない」と述べました。

れいわ新選組の木村英子氏は「重度訪問介護」のサービスの対象範囲を定めた厚生労働省の告示の解釈をめぐり「多くの自治体が告示を根拠に、重度障害者が政治活動を行うことは、社会通念上、不適当な外出にあたるとしている。政治活動に参加する資格はないと、らく印を押すのに等しい著しい差別と言える。告示を見直してほしい」と求めました。

これに対し、石破総理大臣は「障害をお持ちの方々の政治参加を進めることは重要な問題だ。政治活動のための外出であることのみをもって、一律に、社会通念上、適当でない外出にあたるものではないと考えており、厚生労働省が自治体に対し広く周知した。解釈の明確化を図っていかねばならない」と述べました。

石破首相 米 トランプ大統領との電話会談「排除せず」

また、石破総理大臣はトランプ大統領に対し、電話会談などで直接、日本政府の考えを伝えるよう求められたのに対し「それも排除はされない。新年度予算案が成立した暁にいろんな日程を調整したい」と述べました。

また、先の大戦で激戦地となった硫黄島で行われる日米合同の追悼式に出席するアメリカのヘグセス国防長官と30日会談する意向を明らかにし「いろんなルートから、あらゆる可能性を追求して、トランプ大統領に伝わるようにしたい」と述べました。

再修正の動議提出 締めくくりの質疑

28日の参議院予算委員会では集中審議のあと、自民・公明両党から、高額療養費制度の負担上限額の引き上げ見送りに伴って新年度予算案を再び修正する動議が提出され、予算案とあわせて、締めくくりの質疑が行われました。

この中で、立憲民主党の小沼巧氏は「『楽しい日本』を掲げた総理は参議院予算委員会は楽しかったか。予算案の成立後に強力な物価高対策を打ち出す考えを示していたが、国民生活に寄り添う、必要な対策をなぜやらないのか。補正予算案の編成を考えているのか」とただしました。

これに対し、石破総理大臣は「野党の方々と話し、示唆を受けるところはたくさんあった。楽しかったかは別に非常に充実した思いはある。物価上昇を上回る賃金上昇をまず実現しなければならず、何としても、この予算案を成立させてほしい。今の時点で補正予算案を考えているなどという不見識なことは申し上げない」と述べました。

委員会では、週明け31日に討論が行われたあと、新年度予算案と自民・公明両党が提出した再修正案の採決が行われる予定です。

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