近隣住民は「もう長い間、人が出入りするのを見ていない」と口をそろえる。
北海道帯広市の住宅街。その一画に、薄いピンク色の建物がある。外壁には、丸いロゴと文字盤が掲げられたままになっている。
「宗教法人 天地正教」
1987年に認証を受け、今も宗教法人格は存在し続けている。文化庁の「宗教年鑑」(2023年版)では「諸教」に分類される。
実は、この団体は世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の管理下に置かれている。
旧統一教会の勅使河原秀行・総務局長は3月上旬、取材に対して「確かに天地正教は当教団の中にある」と述べ、傘下にあることを認めた。
今、この天地正教を巡り、ある懸念が浮上している。
<主な内容>
・祭壇に文鮮明夫妻の写真
・宗教法人法の規則に落とし穴
・直撃取材に代表者は…
広大な所有地は旧統一教会の手に
24年9月、帯広市の西にある清水町で「聖火式」なるイベントが開かれ、旧統一教会の信者たちが集まった。
草原の中に設けられた広場で声を張ったのは、田中富広会長だ。数百人の信者を前に教義に基づく「使命」を語り、最後は気勢を上げた。
「国のために生きる私たちの姿を見て、本当にこの教団を解散させることができるでしょうか」
2万坪を超えるこの土地は、かつて天地正教のものだった。今は「聖火の郷」と呼ばれる旧統一教会の慰霊施設になっている。
「統一教会に乗っ取ら…
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