私はたづなさんとの顔合わせを終えた後、体育館に入学式をしに向かい生徒会長と理事長の話を聞いた。理事長は私の身長よりも少なく、まだ小学生くらいの歳に見えた。あれは本当に理事長なのかまだ疑問が残るが、まぁそんな理事長の話も生徒会長の話も全て右耳から入って左耳から抜けていった。
これが普通だよね?あんな長い話を真面目に聞く人なんていないよね?少なくとも私の席の周りには一人もいなかった。そうして、私の入学式は特に何事もなく終えた。
入学式を終えた後はクラスの発表があり、私はそれをさっさと確認して指定されたクラスの教室に向かった。
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教室に入り顔を机の上に突っ伏して担任が来るのを待っていると隣の席の方から声をかけられた。
「お隣さんだな」
私は声の主を確認するために声の方向を向くとそこには栗毛のウマ娘が立っていた。
「私はビゼンニシキだ。ニシキと呼んでくれ。よろしく」
「私はヤマト。よろしく」
そのウマ娘の印象はキリッとしていて女受けの良さそうな顔をしていた。背丈は私より高いが…胸の方は…とても運動に適している慎ましいお胸だった。そんな邪なことを考えているとバレたのかビゼンニシキがこちらの胸を恨めしそうに睨み講義の声を上げた。
「私の胸はまだ成長期に入っていないだけだ…本格化をすれば…お前のような豊満な胸に…まだ希望は残っているんだ…」
「まぁ…うん…頑張って…慎ましい胸が好きって人もいるからさ!」
私はビゼンニシキノのあまりにも悲惨な様子を見てそれ以外声をかけてあげることができなかった。まだビゼンニシキノ胸には伸び代があるから!うん!本番はこれからだから!
「お前には私たちの気持ちが一生わからないだろう…その胸についた贅肉を揉ませろ!」
「え!ちょっと待って!んっ…やめっ…そこ…よわい…から!」
ニシキの指が制服の上から私の胸をいやらしい手つきで揉んできた。誰にも触られたことのない私の胸はニシキの理不尽な怒りによって敏感になってしまった。
「クソっ!柔らかい!こんなものをぶら下げてレースを走るつもりか!」
そんなこんなでクラスメイトとの初の顔合わせは担任が教室に入ってくる直前までセクハラをされて終わった。ビゼンニシキノ認識は私の中で中年親父に変化した。
担任からは今後の予定を話してクラスメイトとは解散になった。
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トレセン学園には2つの寮があり、基本的には二人一部屋で同室の相手は同期の場合が多い。これほど心躍るイベントはあるか?いいや…ない!私はスキップしそうな気持ちを落ち着かせて自室となるところに向かった。
そして遂に部屋の前に着いた。心を落ち着かせてドアを三回ノックして、失礼しますと言いながらドアを開けた。その先には児童代表で入学式の時に前に出ていたシンボリルドルフ。その人がいた。
シンボリルドルフ。入学する前から度々メディアで取り上げられているところを見たことがある。曰く、全ウマ娘の幸せにすることが目標なのだとか。
私がそう頭の中に浮かべているとシンボリルドルフが心配そうな顔をしてこちらの顔を覗き込んできた。
「大丈夫か?さっきから声をかけても返答がないが…」
「ああ!大丈夫!心配無用だよ!」
「そうか?ならば自己紹介をしよう。あと三年間一緒の屋根の下で暮らす仲間なのだから。」
「私はシンボリルドルフ。ルドルフと呼んでくれ。目標は無敗の三冠だ」
「ん?全てのウマ娘を幸せにすることじゃないの?」
そう言うとシンボリルドルフは少し指で頭を掻き、困ったように苦笑をして言葉を続けた
「弱いウマ娘がなにを言おうとそれはただの夢物語だろ?だから私はこいつならできる。そう思わせるためにそれに合った実績を見せつけてやるのさ」
「はへぇ〜よく考えてるんだ。あっ!私はヤマト。」
「ヤマトの目標は?」
ルドルフと私の目標を比べるとだいぶチンケに感じるけど…まぁルドルフだけっていうのも可哀想だから言うか…
「大したことじゃないよ?ただ外国に日本のウマ娘は世界と対等に渡り合えるぐらい強いんだぞ。って証明すること。」
「ほぉ〜それはまた…なぜ?」
「おじいちゃんとの約束なんだ。ジャパンカップで一着を獲るって」
「君も充分大した目標じゃないか。お互い目標に向かい邁進だな」
「そうだね!ルドルフが目標達成したらケーキ作ってお祝いしてあげるよ!」
「ふふっそれは楽しみだな。けど、まずは荷解きをしないとな」
「あっ」
完全に忘れていた。だけど私もおじいちゃんの影響であまり物を持つタイプでもなかったので荷解きする量も少なく、ルドルフよりも早く終わった。ルドルフの様子を見ると高級そうなThe・お嬢様って物が多く手こずってる様子だった。私は暇だったのでルドルフの方も手伝おうと腰を上げた。
「ルドルフ手伝うよ?」
「ん、ああすまない…予想に反して荷物が多くてな…頼む」
「あいよ〜」
そうして荷解きを二人でやるとさっきよりも早く進み、この調子だと後一時間もかからずに終わると考えたとき。ふと一冊の本が目に留まった。それをよく見てみるとアルバムのようだった。気になったのでルドルフに聞くことにした。
「ねぇルドルフこの本ってルドルフが小さいときのアルバム?」
「……!待て!見ないでくれ!」
ルドルフが必死の形相で手に持っているアルバムを取ろうとしてくるので、私の被虐心が燻ってしまった。
「あっごめんもう中身少し見ちゃった」
そう言うとルドルフは頬を赤く染めて崩れ落ちていった。「ルドルフ?」そう声をかけたが呻き声しか上げない。心配になったので近くによると…
「捕まえた」
ルドルフの両手が私の肩と腰を掴み絶対に逃さない意思を感じられた。私は危機を感じ抜け出そうとするがルドルフの力の方が強く全然抜け出せない。
「お前はなにも見ていない…いいな?」
ルドルフが私の方に顔を近づけてきた。
「いや…見まし「いいな?」はい…」
ルドルフの圧には勝てなかったよ…
こうして…私の入学初日がおわった