皇国の風   作:cutepenguin

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日本の馬を海外でも勝たせたいって考えて書いたので、海外馬で推しがいる人は回れ右することをお勧めします。あと年代はあらすじで現実の年代を使っていますが結構適当なので凝った設定が好きな人もご注意ください


始まりの風

日本競馬の海外遠征の歴史

それは大東亜戦争が起こる前から始まった。記録上の最古のレース記録はロシアのウラジオストクで開催された日露大競馬会。だがこれ以降大東亜戦争が終わるまで海外遠征をすることはなかった。

 

戦後の海外遠征の戦績フランスにおいてレーヌ賞、クリスチャン・ド・レルミト賞という2競走を制し、ヨーロッパにおける日本馬の初勝利を挙げた。これ以降日本の馬が勝利を挙げることはなかった。スピードシンボリの凱旋門賞の挑戦。シンボリルドルフの失敗。シリウスシンボリの敗北。

 

皇国の敗北の歴史。だがそれも今日までだ。

 

[フォルスストレートを越えて先頭はサガス!最後の直線先頭はサガスだ!サガス凱旋門賞二連覇なるか!?レインボークエスト懸命に追いかける!もう先頭はサガスとレインボークエストのみだ!コゾナとサマリーが続いているがグングン離して行くぞ!____上がってこない中団で燻っている!やはり外国の壁は厚かったか!?]

 

先頭のウマ娘が決まり、勝負の行方を予想できるようになった頃。その黒鹿毛のウマ娘は前を虎視眈々と狙っていた。自分の末脚が刺さる一番良い頃合いを。そして、フォルスストレートの前に後方の外側から中団まで行き、先頭までの間合いを詰めていた。そして後方で一人のウマ娘の末脚が炸裂した。その音は力強く、先頭のサガスとレインボークエストまでも届くほどだった。

 

[サガスとレインボークエストが二人で競り合っている!もう二人だけの世界だ!いや!二人の世界に待ったを掛ける!_____が上がってきたぞ!中団の外から先頭に向かって突撃している!強いぞ!中団を抜け出しコゾナを捉えた!そのまま並ばずに切り捨てていった!日本一の末脚がロンシャンの地でも炸裂している!残りは二人!____届くのか!?残り200m!先頭までは残り一バ身!]

 

そのウマ娘は鬼の形相で前を追いかける。死をも厭わないという気持ちで、決死の覚悟で走る。そして、その覚悟が体の許容限界を越えさせた。

 

[____が加速した!そして先頭の二人を捉えた!そのまま並b…並ばない!そのまま二人を追い越したぞ!他とは末脚のものが違う!サガスが欧州のプライドにかけて追うが関係ない!____が皇国の敗北の歴史に終止符をうちにきた!日本のウマ娘は決して弱くなかった!祖国の強さを証明したぞ!____が一着でゴォォーーール!]

 

そのウマ娘は皇国の敗北の歴史に終止符を打った。これで外国に取り憑かれた日本の競馬は終わった。日本は世界に認められる競馬先進国だと胸を張って言えるようになった。

 

(やっと…やっとだ…おじいちゃん…皇国よ…萬歳)

 

[スピードシンボリの挑戦から始まった凱旋門賞が今ここで終わりを迎えた!日本で初の凱旋門賞を制覇したのは___だ!万歳!!]

 

万歳!!

 

[万歳!!]

 

万歳!!

 

凱旋門賞を観にきた観客全員が手を上げて日本のウマ娘の初の凱旋門賞制覇を皆で喜んだそれは日本人だけではなく、世界の人もその様子を見て祝福した。

 

そうして皇国の敗北の歴史に終止符を打ち、新しい時代を始めたことからこの出来事は

 

皇国最後の反攻

 

そしてそのウマ娘は

 

皇国の風

 

そう呼ばれるようになった。

 

 

###

 

まだセミが泣き空気が揺れて見える季節。私はおじいちゃんと一緒にベランダに座っていた。おじちゃんは礼儀とか心構え、日本がどれだけすごいか。いろんなことを私に教えてくれた。ダメなことをすると体罰をしてきたけど、守るとちゃんと褒めてくれた。私はそんなおじいちゃんが好きだった。あるとき新聞を見ていたおじいちゃんが顔を顰めていた。私はなんで顔を顰めたかわからず尋ねると

 

「レースの一着をまた日本以外のウマ娘が獲っていてな…日本のウマ娘はやはり海外にはかなわないのか…」

 

と新聞に目を落としながら悲しそうな顔を浮かべて言ってきた。

 

当時の私は何故悲しそうなのかよくわからなかった。走るだけで楽しいからいいじゃん。そう思い首を傾げているとおじいちゃんは笑いながらシワシワの手で雑に頭を撫でてきた。そのせいで髪の毛が乱れたがその全てが心地よかった。

 

私はよくわからなかったが、ただ一つのことはわかった。

 

「ん…じゃあさ!私がそのレースで一番になるよ!」

 

そういうとおじいちゃんは嬉しそうに顔を綻ばせて、笑いながらもっと激しく頭を撫でてきた。

その日から私の目標はそのレース…ジャパンカップで勝つことだった。そしておじいちゃんに勝つところを見せてもっと褒めてほしかった。

 

それは叶わぬ願いになった。

 

おじいちゃんは私が小学生六年生の三月卒業式が終わったあとに心臓麻痺でこの世を去った。

 

おじいちゃんの遺産相続となったとき。おじいちゃんは所持品が少なくミニマリストというやつだった。残っていたのはおばあちゃんが余生を暮らすには十分な貯金と最低限の生活必需品とおじいちゃんが軍隊で働いていたときに書いていた日記とおっきな戦艦の下で撮った集合写真みたいなものと軍服だった。

 

私はおじいちゃんと仲が良かったからとおばあちゃんがお金以外の全ての物を引き取らせてもらえた。日記にはレースのことがいっぱい書いてあった。日本のウマ娘が海外遠征をして勝利を納めた。やはり日本は素晴らしい。などなど。だがそれ以降勝ったという文字を見たことはなかった。日記を読み進めていくと日本のウマ娘が外国のウマ娘より弱いのか?やはり外国とはまだ対等ではないのか?などの日本と外国の差を嘆く文が増えていった。

 

私はこの日記を読み決意した。おじいちゃんの心残りを晴らすためにジャパンカップに勝つ。そして外国のウマ娘への反攻を。

 

だから私はトレセン学園で外国のウマ娘に負けないぐらい強くなって。そしておじいちゃんが好きなこの国のウマ娘は外国のウマ娘に負けないぐらい強いって証明する。そのためにジャパンカップで外国のウマ娘を打ち倒し、凱旋門賞を皇国に捧げる。

 

これが私の走る理由と目標だ。

 

 

###

 

まだ若干の寒さがのこっている季節。日本ウマ娘トレーニングセンター学園、いわゆる中央トレセン学園の校門の前で一人の一つの乱れもない綺麗な黒鹿毛のウマ娘が立っていた。中央トレセン学園とは総敷地面積は東京ドーム17個分、総生徒数2000人の超マンモス校だ。そして校門の前で立っていると全体的に緑の人?が声をかけてきた。

 

「おはようございます。新入生の方ですか?」

 

「はい、そうです」

 

「なるほど。では自己紹介から始めましょう!私の名前は駿川たづな。トレセン学園の理事長秘書を務めています。困ったことがあったら頼ってくださいね」

 

たづなと名乗った女性が頭を下げると黒鹿毛のウマ娘も頭を下げて自己紹介をはじけた

 

「私はヤマトです。これからよろしくお願いします。」

 

 

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