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2015年6月5日
ASIJ保護者、評議員、卒業生、教員及びASIJコミュニティメンバー各位
ASIJ理事会
前略 2014年6月に、ASIJ理事会は法律事務所のRopes & Gray LLP(「Ropes」)に対し、ASIJ
において1962年から1984年まで教員を務め、また1984年から2000年まではコンサルタントを
務めたジャック・モイヤー(Jack Moyer)による、ASIJの生徒に対する性的虐待に関する調査
を依頼しました。Ropesは2015年5月18日にこの調査を完了し、報告書を作成しました。ここ
に、Ropesの調査にご協力いただいた全ての皆様に対し御礼申し上げます。
2015年5月31日から6月3日まで、当理事会は、モイヤーの虐待被害者の方々からお話を伺うた
めにオレゴン州ポートランドに3名の代表を派遣しました。被害者の方々から直接お話を伺っ
たことで、本件についてより深く理解することができました。当理事会は2015年6月15日まで
にRopesによる独立調査報告書を公表する予定ですが、何より大切なのは、これによって被害
者の方々の声を世間に伝えることができるということです。被害者の方々が、ASIJをより良
い学校にし、このような悲劇が二度と繰り返されないようにという願いをもって自らのお話
を全て公表することに同意されたことに敬服し、感謝申し上げるとともに、その内容を全面
的に支持いたします。
まず何よりも、私どもは一連の事実関係を知り、非常に心を痛めております。ジャック・モイ
ヤーによる生徒虐待の被害は甚大であり、モイヤーの虐待行為に関する情報を得ていた者の
中には、学長、運営幹部及び教員も含まれていました。被害者の方々が何度も虐待の実態の
暴露を試みたにもかかわらず、学校側がこれを撥ね付け、又は無視したという事実について
は、当理事会として恥じ入るところです。私どもは、過去及び現在の当理事会を代表して遺
憾の意を表するとともに、生徒をその責任において守れなかった教員及び運営者が引き起こ
した多大な被害について謝罪申し上げます。また、被害者として名乗り出るとともに、ASIJ
が子どもの虐待防止や報告に関するプログラムの模範となるよう求めていらっしゃる方々の
勇気に感服いたします。
次に、被害者の方々におかれましては在校生や今後の入学者の安全、学習環境に大きな懸念
をもたれていることから、当理事会は次の措置を講じることにいたしました。
· 認証と助言を提供するKeeping Children Safeという独立機関を利用し、レベル1認定手
続きを行なうこと(2015年3月に完了)
· Keeping Children Safeのレベル2認定を獲得するために最善の努力をすること
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· 教職員の雇用にあたり、事前に犯罪歴を調査すること
· 新規に生徒の保護に関するハンドブックを作成・実施すること
· Tokyo English LifeLineに依頼して、運営者、教員、保護者及び生徒が虐待について認
識するための研修を行うこと
当理事会は被害者の方々全員のカウンセリング費用を負担しておりますが、これを今後も継
続することもお約束しております。
被害者の方々との協議を踏まえ、当理事会は次の事項を行うことも確約いたします。
1. ジャック・モイヤーによる虐待の説明、当該虐待が行なわれた旨のASIJへの申立、他
のASIJ内での虐待と疑われる行為に関する申立の内容及び学校方針に関する協議内
容を含むRopes and Grayの独立調査報告書を公表すること
2. ASIJをより良い学校にし、このような悲劇が二度と繰り返されないようにという願い
をもって、被害者の方々は、寛大にも、ASIJに対して送られた報告書や通知書等を含
め、自らのご発言の全てを公表することをお申し出いただきました
3. 現在の子供の安全を守る作業部会(Child Safety Task Force)を拡大し、理事及び評議
員並びに被害者グループのメンバー各1名を加えること
4. 上記の作業部会が虐待の疑いについて、安全に、かつ、匿名で苦情申立てや懸念の表
明を行える方法を確保すること
5. 危険に晒された生徒の学業や行動によるサインを見逃さないためのプロトコルを見
直すこと
6. 日本の当局が潜在的な日本人被害者と連絡を取る手助けとする目的で、報告書の翻訳
を作成し、当局に提供すること
最後になりますが、ASIJに代わり、被害者の皆様及びASIJコミュニティに対し、ASIJが本来
行うべき適切な対応を行わなかったことを、心より謝罪申し上げます。今後もこのような事
態の防止に取り組むべく皆様と力を合わせていく所存です。そして、在校生や今後の入学者
に可能な限り最も安全な環境を確保し、ASIJの暗い過去を明らかにした皆様のご尽力に応え
るべく、全力を尽くすことをお約束いたします。
草々
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<被害者の方々の声>
ASIJ コミュニティの皆様
ジャック・モイヤーによる性的虐待の被害者である私たち 13 名は、新たな一歩を踏み出した
ASIJ 理事会による極めて重要な取組みを歓迎します。この取組みは被害について理解・対処
したうえで ASIJ の在校生や今後の入学者に危害が及ばないようにすることを目的としてい
ます。理事会メンバー各位の心よりの謝罪とご対応に、言葉では言い尽くせないほど心を動
かされました。
また、ASIJ コミュニティの皆様にも深く感謝しております。皆様の温かく絶え間ないご支援、
そして Crew Janci の弁護士の方々の素晴らしいお導きがなければ、このような解決をみるこ
とはできなかったと考えております。これまでのご尽力誠にありがとうございます。共にこ
のような経験を経たことで、ASIJ は、今後、より強固で安全なコミュニティへと生まれ変わ
ります。そして、私たちは再び、誇りをもって「私たちは ASIJ の卒業生です」と言うことが
できるのです。
感謝を込めて、ASIJ 被害者一同(13 名)