作:生まれてきてくれてありがとう
▼ページ最下部へ
契約の儀が終わると同時に、あれほどまでに張り詰めていた神聖な気配は、徐々に──まるで潮が引くように──穏やかな温もりへと変わっていった。
まるで神話の幕がひとまず閉じられたかのように。
木造の家の居間に流れ込むのは、懐かしい“日常”の香りだった。
丸卓の上で揺れる湯気。開け放たれた窓の隙間からは、涼やかな風がそっと吹き込む。
カーテンが優しく揺れ、風鈴がかすかに音を鳴らすその光景は──ほんの数分前、神と剣士の間にかわされた契約の重さを忘れさせるほど、穏やかだった。
「──よし、それじゃあ……ついでだ、お前らも久々にステイタスを更新していくか」
唐突に響いたオグマの声に、丸卓の空気がふわりと揺れる。
仮面の奥では、いつものようににやけた笑み。だがその声音には、観測者としての研ぎ澄まされた眼が潜んでいた。
「ユーの初期値が“アレ”だった分な……逆に気になってきただろ? お前らの“今”も、ちょっと覗いてみたくなったわけよ」
膝を叩きながら立ち上がる神に、ツッコミ混じりの声が飛ぶ。
「ついでって何だ!? デリカシー皆無か、神ィ!」
「ふふーん♪ じゃあ、その“ついで”のトップバッターはあたしね。今のうちにプリティー指数が跳ね上がってるか、しっかり確認させてもらうわよ、オグマ様!」
ウィンクと共にくるりと回転、軽やかに背中を差し出すスコット。その背に、陽気な空気が宿る。
「いや、それは測れんが」
「はぁ!? そこが一番重要でしょ!? 冒険者たるもの、外見美も含めて戦力よ! 戦・力!」
くだらない、けれど微笑ましいやり取りに、居間の空気がじんわりと和らいでいく。
オグマは針を器用に弾きながら、ため息まじりに肩をすくめ──
だが、その指先に宿る動きは、寸分の狂いもなく研ぎ澄まされていた。
「……ったく、口のほうは絶好調だな。ほら、じっとしてろ。さくっと終わらせてやる」
「やだ、なんか信頼できる熟練の職人さんみたいな響き。よろしくお願いしまーす♪」
いつものようでいて、どこか誇らしげな──そんな空気が、そこにはあった。
冗談まじりのやり取り。軽口の応酬。
けれど、そのひとつひとつの言葉の端には、仲間としての歩みを確かに感じ取れる、ささやかな温度が滲んでいた。
そして、結果はというと──スコットの【ステイタス】は全体的に微増。
能力値は小さく成長していたものの、新たなスキルや魔法の発現は見られなかった。
「……ん〜、まあ、こんなものよね〜。想定の範囲内って感じ?」
肩をすくめ、気怠げに笑いながらも、その顔にはどこか満足げな色が浮かんでいた。
進んでいる。わずかでも確かに、自分の足で──
そんなスコットの背中に、オグマが仮面越しにぼそりと呟く。
「むしろお前は“喋り”のステイタスだけ天井突き抜けてんじゃねーのか……?」
するとすかさず、スコットがウィンク交じりに返す。
「それ、“スキル”じゃなくて“スキャンダル”ってやつかもね?」
その一言に──
「言い得て妙すぎるっ!」
「いやもう、逆に怖ぇよ……その自覚……」
ガイルとモルドが思わず吹き出し、居間には朗らかな笑い声が咲いた。
つい先ほどまで神威が満ちていた空間とは思えないほど、柔らかな空気が広がっていく。
そして、次に進み出たのはガイルだった。
無言のまま、少しだけ首を回し、静かに背中を向ける。
その動きに迷いはなく、余計な言葉もない。
ただ、積み重ねてきたものを、受け止めるだけの覚悟がそこにはあった。
オグマの指が流れるように動き、神の血が再び小さく背に刻まれる。
やがて貼り付けられた羊皮紙が、すっと剥がされ、
「──まあ、こんなもんだな。……日々の積み重ねってやつだ」
結果に一喜一憂することなく、ガイルは小さく頷いた。
その横顔には、確かな自信と、揺るぎない実直さが浮かんでいて。
そして──最後に、残されたのはモルドだった。
「……ちっ、どうせ何も変わっちゃいねぇってのによ……」
不満げにぼやきながらも、その歩みは止まらない。
ガイルの隣にいた足を一歩前へ出し、観念したように背を向ける。
その姿に、オグマは針を持った手をそっと見下ろすと──ふと、静かに、けれど確かに呟いた。
「……いや。今回は、ちょっと違う気がしてんだよな」
その一言が落ちた瞬間、室内の空気が僅かに震えた。
それは、いつもの軽口でも、神の気まぐれでもない。
仮面の奥からにじみ出るのは、絶対者としての本能。
ただの予感ではない──これは、神託に近しい“確信”だった。
針が皮膚をかすめ、神の血が一滴──滴る。
淡く滲む紅の輝きが、背に神威の軌跡を描く。
オグマの指が舞うように動き始め、神聖なる文字が刻まれていく。
──だが。
その瞬間。
ぴたり、と。
空気が、凍りついた。
まるで時の流れが唐突に止まったかのように。
動いていた神の指先が、そこで沈黙した。
「……ん?」
低く漏れる一音。
だが、その一音には、明らかに“何か”を察した響きがあった。
背を向けたままのモルドが、眉をひそめる。
その様子に、スコットとガイルも、直感的にただならぬ気配を感じ取り、無言で身を乗り出す。
──そして、静かに。
「……そうか」
オグマが呟いた。
仮面の奥から発せられたその声は、驚きではなかった。
歓喜でもない。
それは──安堵の声だった。
「ようやく……お前も、“変わる時”が来たか」
声には、遊びの色がない。
仮面の下にあるのは、冗談を愛する神の顔ではない。
そこにあったのは──
“父”としての眼差し。
そして、“神”としての微笑み。
「……オグマ?」
訝しげな声を漏らすモルド。
その背中越しに、スコットとガイルも、緊張の面持ちで差し出された羊皮紙を覗き込む。
そして──
「……!」
三人の目が、同時に見開かれた。
それは、ただの“成長”ではなかった。
“上昇”ですらない。
そこに刻まれていたのは、かつての自分を越え、“今”の自分すら突き抜ける、明確な──
“覚醒”。
モルド・ラトロー
Lv.1
『力』 :C 693
『耐久』:E 429
『器用』:F 379
『俊敏』:E 487
『魔力』:I 0
《魔法》
【】
《スキル》
【
・追憶の顕現
・肉体の
そのスキル名を、目で追った誰もが息を呑んだ。
それは、どこまでも詩的で、どこまでも重たく、そして美しい響きを持っていた。
“追慕”──
それは、過去への憧憬。
“憧景”──
それは、己が追い求める存在の残影。
スキルの文言すら、彼という男の心を映す鏡のように、静かに佇んでいた。
「……っ」
スコットが息を呑んだ音が、妙に大きく響いた。
隣でガイルが、まるで雷にでも打たれたように硬直する。
そして──その視線の先にいた、モルド本人。
ただ、立ち尽くしていた。
まるで、自分の名を刻んだ墓標でも目にしたかのように。
目の前に掲げられた【ステイタス】──
そこに、初めて刻まれた“何か”を、彼は黙って見つめていた。
それは、決して数値の増加でも、能力の向上でもない。
──“存在の証明”。
誰かを追いかけ、背中の中で芽吹いた、祈りにも似た想い。
それが、いま初めて形になったのだ。
その名は、
──【
ただの力ではない。
ただの能力ではない。
それは彼の心が紡いだ、奇跡だった。
──そして、神が口を開く。
「……下界の子供たちは、やはり面白い」
ぽつりと零されたその声は、嘲笑でも戯れでもない。
仮面の奥で細められた眼差しには、確かな喜びと──慈しみが宿っていた。
「たったひとつの想いが、魂の構造を変える。それはまるで──繭を破り、羽を広げる蝶のようだ」
神としての探究心。
そして、親としての誇り。
その両方が綯い交ぜになった声音に、誰も何も言葉を返せなかった。
ただそこにいたのは、静かに、けれど確かに、“一歩を超えた者”だけ。
「モルド……あなた、まさか……」
スコットの声色が変わっていた。
軽妙な皮肉や冗談の響きはどこにもない。
そこにあるのは、確かな敬意と、揺るぎない真剣さ。
ガイルは沈黙のまま、羊皮紙に刻まれた文字をじっと見つめ──やがて、息を吐くように小さく笑った。
「……すごいな。ホントに、出るんだな……スキルってのは」
その声は驚きではなく、どこか、祝福に似ていた。
苦楽を共にしてきた仲間だからこそ分かる、その“重み”。
そして、オグマは何も言わず──ただ穏やかに微笑んでいた。
仮面の奥に浮かぶその笑みは、決して大げさなものではなかったけれど。
それだけで、誰の胸にも伝わるものがあった。
それは、誇りだった。
誰かの背を追いかけ、歯を食いしばり、足を止めずに走り続けた男が──
ようやく辿り着いた、『自分だけの証明』。
ただ憧れたわけじゃない。
ただ羨んだだけでもない。
心の底から、傷だらけの手で、祈るように伸ばし続けたその先で。
──ようやく手にした、“形”。
「……あの時から……」
ぽつりと漏れた呟きが、静寂の空間に波紋のように広がっていく。
「……あの時から、俺の中には……ずっと、あんたがいたんだな……」
それは、言葉という形を借りた、想いの奔流。
理屈ではなく、ただ心が震えたまま零れ落ちた真実。
モルドの頬を、静かにひとしずくの涙が伝う。
それを拭おうともせず、彼はゆっくりと顔を伏せた。
すぐ隣で、スコットが無言のままそっと背に手を添えた。
ガイルもまた、何も言わずその横に立ち、ただ静かに寄り添う。
──何度、追い抜かれただろう。
──何度、心が折れかけただろう。
それでも歯を食いしばり、必死に這いつくばって、足を踏み出し続けてきた。
目を逸らし、心をごまかし、それでも前へ進むしかなかった。
でも……今、ようやく。
ほんの少しだけ、自分のことを、誇ってもいい気がした。
──あの背中に。
誰よりも遠く見えたその背に。
いま、ようやく“向き合う覚悟”が、己の中に芽吹いた気がしたから。
そして──
「………………よくやったな」
ぽつりと、オグマが呟いた。
それは神託ではなかった。ただの言葉。
だがその声音には、父のような温もりが宿っていた。
威厳でも命令でもなく、静かに寄り添うような響き。
仮面の奥から紡がれたそれは、“神”ではなく、“親”としての在り方だった。
モルドの肩が、僅かに揺れる。
──その一言が、どれだけ彼を救ったのか。
けれど──
その静かな余韻を、真っ向からぶち壊すのもまた、神である。
「──なぁに泣いてやがんだ、モルドぉ!! これってつまり、そういうことだよなァ!?」
豹変。
慈しみの仮面は一瞬で剥がれ、仮面の奥から飛び出したのは、豪快極まりない軽口と嘲笑のミックスボイス。
さっきまでの“しんみりタイム”はどこ行った!?
──いや、誰もが心の中でツッコんだ。が、声に出す暇もなく。
「ユーの奴に憧れちまったんだろ!? 追いつきてぇって思っちまったんだろ!? 過去を知りてぇ、そう願っちまったんだろォッ!?」
畳みかけるような言葉に、ぐいぐいと詰め寄る神。
モルドの顔が、怒りと羞恥でみるみるうちに茹で上がる。
「いい歳こいた成人男子がよォ! しかもゴリッゴリの戦士型がなァ! 初対面の男にメソメソしながら惚れてんじゃねぇッ!! 気色悪ィィィッッ!!」
もはや悪意を通り越して、謎のハイテンション芸にすらなっていた。
「──てめぇぇぇぇぇッッッ!!!」
ついに臨界突破。モルドの拳が唸りを上げて振り上がる。
「うわっ! ちょ、待った待った! 顔は! 顔はやめてっ! 仮面がッ!! この仮面、演出の生命線なの!! 壊れたら神威が半減すんのォォ!!」
「知らんわ! まとめて木っ端微塵にしてやるッ!!」
「いやいやいやいや! いくら神って言ってもな!? 肉体は一般人ベースなの!! ファルナ持ちの本気パンチ食らったら、普通に俺、成仏しちゃうのおおおぉぉぉぉ!!」
「黙って灰になれぇぇぇッ!!!」
「──ぶべらっ!? グヘェエエエエエッ!!!」
──ズドン!
爆音とともに、オグマは椅子ごと壁際に吹っ飛んだ。
仮面の耳飾りがひとつ、寂しげな音を立てて床を転がる。
「ふっ……喋りすぎたな……」
床に崩れ落ちた神は、満身創痍でありながら、どこか満ち足りた笑みを浮かべていた。
まるで、打ちのめされることすら、祝祭の一部であるかのように。
「いや死ぬなっ!? てか、まだ終わってねぇからな!!」
「ちょ、待て待て待てッ! 二発目はダメェッ!! マジで俺、昇天するヤツだから!!!」
「安心しろ、三発目まである!!」
「──ひぃぃっ!? スコット、ガイル、マジで今だけ神助けしてぇぇぇっ!!」
──大混乱。全力の怒号と、全力の悪ノリが交差する。
その有様を、スコットは額に手を当てながら、ひとつ大きく息を吐いた。
「……はぁ。泣いて、怒って、笑って……ほんと、情緒のジェットコースターね……」
対するガイルは、半ば呆れたように肩をすくめ、しかしどこか満足そうに言った。
「でもまあ……これが、うちの“日常”……だな」
喧騒の渦の中、赤く傾いた夕日が障子越しに差し込む。
その光は、ぐしゃぐしゃな神の仮面も、拳を握る男の背も、そして並んで立つ三人の姿も、まるごと優しく照らしていた。
──騒がしくて、不器用で、だけど確かに、あたたかい。
それは彼らが、“同じ場所”にいるという証だった。
=====
やがて──部屋の片隅でぐったりと転がる一柱の神を放置したまま、空気は騒乱から思索へとゆるやかに移り変わっていった。
モルドに宿った、新たなる【スキル】。
その正体と可能性を巡って、自然と議論が始まる。
「『追憶の顕現』……って、つまりは誰かの記憶をなぞるのか? それとも……俺の?」
「それより『戦没英雄化』って何よ。……モルド、あなたまさか戦場で寝そべってスルー狙うとか?」
スコットが肘をつきながら真顔で言い放ち、モルドが盛大にしかめっ面を作る。
「おい、なんだそれ。俺の未来、雑すぎんだろ」
思案するように腕を組むモルドに、スコットはいつもの調子で頬に指を当て、芝居がかった声で付け加える。
「言葉通りに受け取るなら、記憶と変化が鍵なんじゃない? 誰かの記憶を辿って──その力を再現する、とか」
スコットが指先で羊皮紙をとんとんと叩きながら、半ば推理じみた口調で言った。
「変身って線も捨てきれねぇな。例えば、俺の身体が光って──覚醒とか?」
「スーパーモルド化?」
「いやいや、それはさすがに語感がダサ……いや、クセになるな」
「絶対、技名叫ぶ系よそれ。『モルド・インパクトォ!』ってね」
「それはちょっと……やってみてぇかも……」
冗談めいた掛け合いに、一瞬、場が緩む。
だが──その流れに釘を刺すように、ガイルがふっと真顔に戻る。
「……でも、今のところ何も起きてないんだよな」
低く、重たい声。
彼の視線はモルドの背から紙片へと戻り、じっと見据えていた。
「身体の感覚も、力の流れも──いつもと変わらない。数値が跳ね上がったってわけでもなし、スキルの発動条件もよくわからん」
その言葉に、部屋の空気がほんのわずかに緊張を取り戻す。
まるで、期待という名の熱が、静かに霧散していくようだった。
──これは、ただの称号なのか?
それとも、“鍵”をまだ手にしていないだけなのか。
そんな中、ぽつりとスコットが呟く。
「……ねぇ、もしかしてだけど。対象との接触が必要なんじゃない?」
その呟きは、小さくも確かな波紋を落とした。
──空気が変わる。
冗談半分の議論が止まり、全員の視線が、ぴたりと同じ一点を捉える。
赤いマント。鋼の剣。無言で在る、“彼”。
言葉もないのに、誰もが理解していた。
まるで、そこに答えがあると、最初から決まっていたかのように。
「……試してみるか」
ぽつりと落とされたその一言に、揺るがぬ意志が宿っていた。
モルドがゆっくりと立ち上がる。ぎしり、と床板が控えめに軋んだ音を立てる。
仲間たちの視線を背に受けながら、重みある足取りで前へと進んでいく。
その先にいるのは、変わらぬ沈黙を纏った赤き剣士──ユー。
彼もまた、何も言わずに立ち上がる。
ただその身に、何かを拒むでもなく、問うでもなく。
受け入れるような、深い静けさを湛えて。
モルドが、ぴたりと歩みを止めた。
至近──互いの呼吸すら感じ取れる距離。
一瞬だけ、ほんの一瞬だけ、戸惑いがその手に宿る。
だが、次の瞬間。
彼は覚悟を込めるように、そっと手を伸ばした。
静かに差し出された掌。
それに、赤き剣士が応じる。
無言のまま、何も問わず、ただ受け入れるように。
彼の手が、そっと重なる。
──その指先が、わずかに触れた瞬間。
世界が、落ちた。
光が掻き消え、音が消失し、空間すら無に沈む。
まるで舞台の幕が音もなく降りるように。
現実の終幕、幻想の開幕。
それは“記憶”という名の物語のプロローグ。
夢か、幻か。誰かの追憶か、それとも、未来の片鱗か。
ただひとつ、否応なく理解できたことがある。
──この一瞬で、世界は確かに“変わった”。
=====
「…………は?」
間抜けな声音だった。自分でもそう思う。
けれど、仕方なかった。思考が現実に追いつくより先に、口が動いてしまったのだから。
──気づけば、俺は森の中にいた。
木造の家はない。囲んでいたはずの仲間たちの姿も、あの胡散臭い仮面の神の気配すら、どこにもない。
代わりに耳に届いたのは、風に揺れる葉擦れの音。鳥の鳴き声。木々がきしむ、湿った空気の音。
どれも知らないはずなのに……なぜだ。やけに懐かしく、胸の奥がざわついた。
見知らぬはずの空間なのに、肌に触れる空気が妙に馴染む。
息を吸えば、草と土と、微かに甘い花の香りが肺を満たす。
……おかしい。
なにもかもが初めてのはずなのに、体が怯えない。
むしろ、懐かしいものに触れたときのような、説明できない安心感すらある。
俺は、ゆっくりと胸に手を当てる。
──これは、夢か? 幻か? それとも──
封じられた記憶の断片なのか?
「……ここは、一体どこなんだよ」
誰に向けたわけでもない独白が、風にさらわれて森の奥へと溶けていく。
返事はない。もちろんだ。だが──
肌が、空気を拒絶していた。
心が、鼓動を早めていた。
背筋に、理由なき緊張が這い上がってくる。
理屈じゃない。頭よりも、魂が先に察していた。
何かが起こる。
ただの幻じゃない。これは──
記憶だ。
誰のものかもわからない。けれど確かに、自分の中にある感覚。
──そして、始まる。
追体験と邂逅の、最初の記憶が。
『守護者の剣 Lv.48 』(攻撃力+480%)
『グラム Lv.4 』(攻撃力+200%)
『守護者の鎧 Lv.63 』(最大HP+630%)
『キュイラス Lv.11 』(最大HP+1100%)
『ファントムブレード Lv.3 』(攻撃速度+9%)
『セブンリーグブーツ Lv.3 』(移動速度+9%)
『ククルカンの宝玉 Lv.1 』(メテオ威力+10%)
『肉×18』
『魚×18』
『野草×25』
『澄んだ水×13』
『野キノコ×10』
『イチゴ×9』
『ブドウ×11』
『空のボトル×18』
『キャベツ×12』
『トマト×12』