そこにはこう書かれていた。 『一週間の食事が卵料理だけの歌織』
 俺は歌織の方を見る。歌織は
「んしょ♪」 と言って立ち上がると俺を見てにこっと笑った。彼女は今、大学院生だそうだ。生物学部でフィールドワークを多くこなしているという彼女は、中学のころ、陸上部でそうなっていたように、肌をほんのりと茶色にした活動的な美女になっていた。
「カズちゃ〜ん」
 彼女は昔から俺のことを「カズちゃん」と呼んでいた。
「カズちゃんも分かるよね?卵料理を食べた次の日のおならがどれほど強烈かをさ。その卵料理を、私は一週間もずーっと食べてきたんだよ。朝は目玉焼き、昼はタマゴサンド、夜は卵うどん、って具合にね。その間ずっとおならするの我慢してたし。正直キツかったけど、でもでもその苦労が今やっと報われるんだねぇ〜♪」
 その言葉に俺は唾を飲み込む。一週間の間ずっと我慢していた。と、いうことは、彼女の腹の中は……
「じゃっ、みんな、お願い!」
 歌織がそう言うと、打ち合わせをしていたように他の四人が立ち上がって俺を取り押さえはじめた。突然のことに俺はどうすることもできず、彼女達にされるがままに動く。そのまま俺は壁に背をつけてしゃがみこむような体勢になってしまった。
 ズンズンと歌織が近づいてくる。そして彼女は履いていたミニスカートをまくり上げたのだ。彼女の青と白の縞々パンツが丸見えになる。突然のことに驚いたが、彼女はそのままお尻を俺の顔に押しつけてきた。
「むぎゅっ」
 俺は後頭部を壁に、そして顔面を歌織のお尻に挟まれたサンドイッチ状態に陥った。どうしようにも逃げられない。彼女のお尻からは、何やらいい香りがした。
 しかしその良い香りは瞬時に吹き飛ぶことになる。
「いっくよん♪」

ぶむっ

 重低音と共に、押しつけられたお尻から暖かいものがぶあっと広がった。
「むうっ!!」
 俺の声がくぐもるのはお尻を押しつけられているからだ。
「どうかな?」 などと歌織が聞いてくるが、「どうかな」どころの話ではない。それは俺が嗅いだどんな屁よりも臭い一発だった。
「んまぁ、臭いだろうねぇ。これが臭くないっていう人なんていないんじゃないかな。でも今のは軽い準備運動だから、本番いっくよー♪」

ぶむおおぉぉ!!

 臭すぎる……
 その匂いを端的に表す言葉は、「硫黄」だろう。確かに卵を食べた後の屁は硫黄臭くなる、というのが通説だ。俺もその体験を自分自身でしたことがある。だがしかし、この歌織のものは別格だった。「硫黄のような匂い」ではなく「硫黄そのもの」なのである。熟練の温泉経営者であっても硫黄の匂いを少し嗅げばたちまち目眩を起こすという。今の俺はその匂いを少しではなく、継続して直接かがされているに等しい。

ぶむうっ!むっぶぶぶっ!!

 男の俺でも、その三発目を耐えきることはできなかった。
「すっきり♪」 という歌織の声を聞きながら、一人の美女の屁によって硫黄中毒に陥った俺は、自分でも意味不明の言葉を発しながら気を失っていった……。

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