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山上被告が宗教学者と複数回面会 教団や境遇の影響、立証する意図か

戸田和敬 仙道洸

 安倍晋三元首相の銃撃事件で殺人罪などに問われ勾留中の山上徹也被告(44)が、宗教学者と複数回にわたり面会していたことが関係者への取材でわかった。弁護側は、被告の家族が世界平和統一家庭連合(旧統一教会)に献金をして自己破産した影響を裁判員裁判の争点に据え、量刑の検討材料にしたい考えだ。

 一方で検察側は、犯行そのものの悪質さを検討すべきで宗教の影響に立ち入る必要はないとして、弁護側の方針に反発している。

 山上被告は起訴後の2023年2月以降、大阪拘置所に勾留され、平均11カ月ほどで終わる公判前整理手続きが長引いている。関係者によると、教団が一家に及ぼした影響をどう審理するかをめぐり、弁護側と検察側で綱引きが続いていることが理由の一つだという。

「宗教を問う裁判ではない」検察側は反発

 弁護側は、母親が破産するまで献金した被告の境遇を量刑に反映させるため、心理学の専門家が成育歴を分析する「情状鑑定」を求めてきた。だが奈良地裁は昨年7月、検察の反対を受けてこれを却下。弁護側は公費による情状鑑定をあきらめ、独自に宗教学者に面会を依頼することにしたという。

 依頼を受けた学者はすでに複数回、山上被告と面会したという。教団と生活との関係などを聞いたとみられる。弁護団は面会結果を私的な鑑定などとして裁判に証拠提出し、事件の背景を立証することを検討している。

 検察側は一貫して「宗教を問う裁判ではない」と反発している。面会結果については「情状鑑定と趣旨は同じで、却下された経緯を無視するものだ」として、証拠化に反対する構えだ。

 山上被告は22年7月に奈良市で安倍氏を手製銃で殺害したとして、殺人や銃刀法違反などの罪で起訴された。捜査段階で「母親が多額の献金をして生活が破綻(はたん)した。教団に恨みがあり、関係が深い安倍氏を狙った」と供述したとされる。

 関係者によると、手製銃が法の定める「銃砲」に当たるかも主要な争点で、どう審理するかを巡って議論が続いている。初公判は今年の秋以降になるとの見方がある。

 旧統一教会を巡っては、東京地裁が今月25日、「献金勧誘で類例のない甚大な被害を生じさせた」として解散を命じる決定を出している。

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この記事を書いた人
戸田和敬
大阪社会部|司法担当
専門・関心分野
移民問題、事件・裁判
安倍晋三元首相銃撃事件

安倍晋三元首相銃撃事件

2022年7月8日、奈良市で選挙演説中の安倍晋三元首相が銃撃され、死亡しました。殺人などの罪で起訴された山上徹也被告の裁判は、証拠や争点などを絞り込む手続きが進められていますが、初公判などの日程は決まっていません。関連ニュースをまとめてお伝えします。[もっと見る]