長野県塩尻市の介護施設で入所者の女性が薬物中毒で死亡した事件で、長野地方裁判所松本支部は、殺人などの罪に問われた元施設職員の男に殺意は認められないとした上で、傷害致死の罪を適用し懲役8年の実刑判決を言い渡しました。
事件の概要
起訴状などによりますと、2022年5月、塩尻市の介護施設の職員だった望月大輔被告42歳は、入所していた当時77歳の女性に向精神薬を飲ませ薬物中毒で死亡させたなどとして、殺人などの罪に問われています。

裁判争点は3つ
最大の争点は、望月被告に殺意があったかどうか、つまり殺人罪の成否です。
検察側は「死亡する危険性を知りながら、死んでも構わないと薬を飲ませた」と主張しました
一方、弁護側は「自分が飲んでいた薬の効果を確かめるためで、死亡するとは思っていなかった」と訴えました。
あとの2点は、望月被告が向精神薬を飲ませたことと、死亡の因果関係、被告の刑事責任能力が争われ、検察側は論告求刑で懲役17年を、弁護側は無罪を主張しました。