函館市が開設の可能性を検討する看護系大学・学部を巡り「市看護系大学等設置に関する検討会議」(座長・斎藤征人道教育大函館校教授、委員7人)は25日、設置を妥当とし、公立はこだて未来大での学部増設が望ましいとする報告書をまとめた。今後の焦点は市の判断に移る。
同日に市役所で開いた第4回会合で、過去3回の議論を取りまとめた報告書を了承した。
方向性は「設置が妥当で、未来大での学部増設が望ましい」とした一方、市の厳しい財政状況を踏まえ、大学校舎(建物)は既存建物を校舎として活用するなど、初期費用や運営費の縮減が必要と結論付けた。市が設置困難と判断する場合でも、大卒看護師の誘致など代替案を検討することを付帯意見として盛り込んだ。
設置の必要性では、函館は医療機関が多く臨床環境が既に構築されており、看護系大などの設置には有利なことや、看護学や看護学に関連した研究者が市に集まれば、地域の看護政策や看護技術の上昇が期待できることを挙げた。
学生確保では、リカレント教育(学び直し)を行う看護師が多くなっており、社会人が学べる場所があるのは重要で、大学院を設置すれば大学としての発展もあると期待を込めた。
教員確保は、通常の公募に加え、地元医療界の人脈を活用し看護師だけでなく、医師を含めた博士号保有者を教員として確保に努めることも重要と位置付けた。
財政負担は、市が目指す北海道新幹線の函館駅乗り入れや総合ミュージアム(仮称)の整備など、多額の事業費が必要となる可能性があり、市の財政状況を踏まえ決定すべきとの意見を盛った。
校舎は、市立函館病院高等看護学院や同病院の一部を改修し利用することを検討すべきとした。
委員からは「前向きに検討すべき」との意見が相次ぎ、今後のスケジュールについて、山口綾企画部次長は「新年度、しかるべきタイミングで特別職と協議の上、市としての対応方針を検討したい」と述べた。阿部慶太企画部長は「報告書を基に、市として看護系大などの設置の可否を検討する」と締めくくった。(山崎大和)