コロナ禍の影響で家の中で過ごすことが多くなったという方も多いと思います。大人もそうですが、 もちろん子どもたちも例外ではありません。子どもたちの増えた「おうち時間」を何に使ったらいいのか?そんな悩みを持つご家庭も少なくないでしょう。
私の小学1年生の娘は、幼稚園で腕に覚えのある「工作」にはまってしまい、おうち時間は家でガサゴソと何かを作り続けています。部屋中に材料や素材が散らばり、出来上がった作品を並べる様子を見て、つい「片付けは?」「捨てていい?」とイライラしてしまうこともあります。
しかし、工作は創造性を育み、器用さの向上にもつながるといわれています。工作の魅力とともに、工作好きな子どものやる気の生かし方、親の関わり方などを、私の体験も含めてご紹介していきます。
工作は幼稚園から取り組める創作活動
工作はどんな年代の子どもでも取り組める創作活動です。幼稚園から小学校低学年のお子さんなら、身近な素材や道具を使った工作。保護者のちょっとした工夫により、自宅でもさまざまな種類の工作を楽しめます。工作というと、ハサミやのりを使うイメージが強いですが、近年はプログラミングが学べる電子工作キットも人気です。電子回路の理解や、ニッパーなどの道具を使うため小学校高学年から始めるケースも多いようです。
工作は創造力、道具の使い方や手先の器用さを育むほか、知育要素を持つ遊びでもあり、保育や教育現場でも取り入れられています。文部科学省の小学校学習指導要領によると、例えば小学1年生の場合、図画工作時間は週2時間程度、年間で68時間が充てられることになっています。
子どもを夢中にさせる工作の魅力とは
スペースが限られた自宅で子どもの工作をサポートする際、準備はもとより、困っているときの手伝い、後片付けなど“大変だ”と感じる方も少なくないでしょう。私も最初はそう思っていたのですが、いざ始めてみると、いつの間にか私も工作の奥深さに魅了されてしまいました。
赴任先からの一時退避期間中に工作に目覚めた娘
夫の駐在の関係で、私たち一家は中国・広州に住んでいました。新型コロナウイルスによる感染が、まださほど世界で騒がれていなかった2020年1月、私たち親子は1週間だけの予定でスーツケース1個を持ち日本に帰国。その日本でもあっという間にコロナウルスが拡大したため、結局、夫だけが中国に戻り、私と娘は1年以上、実家や借家を転々とする退避生活を送りました。
久しぶりの日本、見通しがつかない退避生活…。外出自粛の間、当時4歳の娘と家でどう過ごせばよいか戸惑いました。閉塞状況の中、ふと見ると、娘がお菓子の空き箱に折り紙を貼り付けようとしていました。
元々、切り紙や折り紙が好きな子ですが、テープが手に貼り付いて、きれいに紙を貼り付けられません。「キィーッ」といら立った感じで、泣きそうになっているのですが、その作業をやめません。そこで「気の済むまで工作をやらせてあげよう」と考えました。
工作の参考になる本や番組探しに奔走
まずは、ボールやクレヨンなど工作に使えそうなものを急いでそろえるとともに、工作の参考になる本や番組はないかを探しました。すると、未就学児から小学校1、2年生を対象にしたEテレ(旧:NHK教育テレビ)の工作番組「ノージーのひらめき工房®」にたどりつきました。娘は、主人公のノージーがロボットを作ればロボット、お面を作ればお面という具合に、主人公が作るものを自分なりにアレンジしながら作品を作り続けました。当時はノージーの口癖「レッツ・ヒラメキ!」が、私たち親子の合言葉。
この番組には「ひらめきミュージアム」という読者投稿サイトがあり、誰でも作品を応募できます。応募すれば、多くがそのサイトに1年間掲載されるため、娘の作品も何回か掲載され、「ノージーに選ばれた」と大喜びしていました。さらに、他の応募作品を見ながら「みんなは何を作っているの?」「この子うまく作っているねぇ、私もやってみようかな」と興味津々でした。
日本の幼稚園で「空き箱工作」と出合う
この頃は、まだ中国の幼稚園に籍を置いていて、感染や隔離状況次第でなるべく早く中国に戻るつもりでした。しかし、改善されないまま日本の退避生活が半年余り続いた頃、娘を日本の幼稚園に転入させることに決めました。
その幼稚園は、子どもの気持ちや自主性を大切にしてくれて、いくつかある遊びの中でも、各家庭から持ち寄った空き箱やペットボトルのふた、食品トレーなどを素材とする「空き箱工作」に力を入れていました。全員が同じ内容の工作素材キットを決められた時間内で仕上げる幼稚園もあるそうですが、娘の幼稚園では子どもが望めば最長2時間半の遊びの時間を工作に充てられます。
娘は、「見て!見て!」と、毎日幼稚園から空き箱工作を持って帰ってきました。よその家の空き箱や廃材が大量にわが家にあふれ返り、親としては苦笑するしかありませんが、本人は大満足です。
「空き箱工作」の魅力とサポート方法
私の娘が最初に熱中した工作が、既にご紹介した空き箱やペットボトルのふたなどを材料として組み合わせ、自由に工作する「空き箱工作」です。
幼稚園の中には、既製品のキッチンやおままごとセット、人形用の家具などが備え付けられているとところもありますが、子どもたちは既製品にはすぐに飽きてしまうこともあり、「自分だけのレジ」「自分の家と同じ設備の特製キッチン」を作り上げ、愛着を持って遊びに使うそうです。
空き箱工作の魅力
空き箱工作の魅力を5点ほどまとめてみました。
1. 身のまわりの廃材を活用することにより、安価・気軽に始められる
2. 市販の工作キットに比べ、組み合わせの自由度が高く、創造性を刺激する
3. 失敗しても、代わりの材料を入手しやすい
4. 自分だけの〇〇を作ることで、完成後の作品で子どもが愛着を持って遊ぶ
5. 子どもの発達に応じた工作をしやすい
【空き箱工作で用意しておいた方がよい材料】
牛乳パック、ティッシュやお菓子、化粧品などあらゆる紙箱、プリンなどの容器、食品トレー、ペットボトルのふた、リボン、カラーテープ、モール、ストロー、緩衝材、割りばしなど。
【使用に注意が必要な材料の例】
卵のパック(端で指を切る恐れあり)、ラップの芯(硬すぎるので、使い方次第で頭をけがする恐れあり)
崩れやすい発泡スチロール(散らばってゴミになりやすい)
*未就学児はハサミ、テープ類を中心に扱い、必要に応じて大人がカッター類を使えば安全です。
空き箱工作における声かけやサポート
空き箱を与えられても、最初から自分一人で工作できる子はなかなかいません。しかし、子どもを丁寧に観察し、タイミングをはかってサポートすれば、子ども自らがアイディアを出し、工作を進めるようになります。
たとえば子ども達の会話に耳をすませ、「ケーキ屋さんやりたいね」と聞けば、ケーキの飾りになりそうな毛糸やちょうどよい大きさの空き箱をいくつか選んで、子どもたちの目につくところに置きます。ミニカーで遊ぶのに飽きたら「割りばしと小さな箱と段ボールで、タイヤを回せるよ。○○君だけの車ができるよ」とヒントを示します。
「空き箱工作」で子どもの自主性を引き出すコツはいくつかあります。
1. 大人のサポートは最小限にとどめ、子どもが「自分がやりたいことを決めてやりきった」という自己肯定感や達成感を得られるようにする。
2. 子どもを観察し、次にどんな素材・材料が必要になるか把握して、そっと素材・材料を足す。
3. 子どもが飽きたり、新たなやり方を探すタイミングで、大人が技術的なヒントを示す。
成長すると、友達同士で「ここはこうするとうまくいくよ」と教え合う光景も見られます。子どもたちのコミュニケーションが変化したと実感する瞬間です。
小学校に入り、仕組みを考える工作へ
こうして、幼稚園で「空き箱工作」にまい進した娘は、小学生になっても空き箱を集め、折につけ何かを作っています。小学生になり木工ボンドを購入し、フェルト・毛糸・モールなど扱う素材も増やしました。カッターは危ないのでまだ使わせていません。
幼稚園の頃は、道具の使い方や作品作りのサポートのため、あえて私の目が届く場所で娘に工作させていました。小学生になり一人でできることが増えましたが、娘は自分の部屋ではなく私がいる場所で、必要なときは会話しながら工作をしています。親と一緒の空間で工作することが、娘の安心や心地よさにつながっているようです。親子で一緒に使えるワークスペースがあればさらに便利だと思います。
「助け」を求めてきたら、子どもと一緒に解決していく
最近の大作(所要時間2時間)は腕が動くロボット。
今回のロボットの場合、首の固定はガムテープを用いて娘が自力で行いました。腕を動かす仕組みもガムテープでできると考えていたようですが、苦戦して私に助けを求めてきました。
これはなんとかせねばと部屋を見まわすと、ドアの開閉の仕組み(蝶番)が使えるかもとヒラメキ・・・。
娘とドアを裏表から眺め、「これは割りばしでできるね」「でも、端を留めないと割りばしが抜けちゃうね」と相談。ロボットの腕と肩に穴を開けて割りばしを通し、抜けないように両端を輪ゴムで留めました。右腕の蝶番部分を私が一緒に作り、左腕の蝶番は娘に任せました。
足も動くロボットにしたかったのですが、寝る時間が迫り、「上半身だけで十分」と本人が判断しました。
このロボットは「ろぼきちくん」と名付けられ、今も家族の一員として同居中です。
工作に関する悩みアレコレ
子どもは工作を楽しんでいても、親としては素材や完成品の保存・片付けに関して頭を抱えることもあります。私なりに編み出した対策をご紹介します。
1.素材は汚れる・散らかるものだとあきらめて、掃除道具をすぐそばに置く
机や床に素材のかけらが散らばり、クレヨンや糊が貼りつき汚れます。自宅では、汚してもいい机もしくは工作板を使用し、すぐ掃除できるように掃除機と雑巾をその横に置くと後片付けもスムーズです。
2.工作の材料は容量と日を決めて整理整頓
牛乳パック、段ボールなど増える一方の工作材料。子どもには「まだ大きい箱があるから、数を決めて」と話し、「この引き出しに入る容量を超えたら捨てること」と決めました。週に一度整理することを約束。娘は工作継続のため、捨てる日を自らカレンダーに書き込みこの習慣を守っています。
3.作品は子どもの同意を得て捨て、記録には写真を活用する
空き箱工作の作品はかさばるため、定期的に処分します。黙って捨てると後で気が付いて悲しむ子もいるので、同意を得てから処分することをお勧めします。捨てる前にスマホなどで写真を撮り、保存・整理をしておくと、小さいときの写真や図画工作の写真を見ながら「ずいぶんうまくなったねぇ」と振り返ることができます。
それでも、どうしても残したい作品は大切にしたいですね。文中でご紹介した「ろぼきちくん」は家族の一員として定位置を確保していますし、こだわりのある作品は収納スペースが許す限りしばらく保存することもあります。
4.制作途中の工作を片付けない
娘の幼稚園で話を聞いたときにいいなと感じたことは、「制作途中の工作をそのままの状態で保存する」ということでした。これには、「時間が来たから、また明日続きをしようね」と心穏やかに途中終了できることや、
「何日もかけて継続する経験を積める」といったメリットがあります。最初から数日間かけて作ると分かっている場合は、レジャーシートの上で工作し、保存できる部屋や場所に移動させるという方法なども有効です。
工作が育くんだ「創造性」と「挑戦する力」
幼稚園から工作を始めた娘は、今や物理的に“何かを作る”という行為を超えて、自らルールを考えて遊びを生み出す「ゲーム作り」にも関心を示し始めました。それが、今年の母の日にプレゼントしてくれた「ははのひびんごゲーム」です。
ビンゴゲームにあこがれているけれど、そのルールを知らない娘だからこそできた迷作で、夫も「これは楽しめる」と大絶賛しています。思いつく動詞・形容詞を娘が2枚の用紙にランダムに書きいれ、両親にそれぞれの用紙(ビンゴカードとして)を配ります。娘が準備しておいた単語リストを読み上げ、たくさん〇がついた人が勝ちというルールでした。
最初は本当に簡単なものしかできなかった娘ですが、失敗して悔しい思いをした経験、周囲と一緒に考えながら工夫を重ね解決してきた経験が、さらなる創造性の向上、挑戦する力に結びついているのは間違いないようです。
実は、私自身は工作があまり好きではなく、ひとりで黙々と人形遊びをする子でした。そのため、子どもがどうしてこんなに工作に夢中になるのかいまひとつ理解できませんでしたが、今は子どもが夢中になり、目を輝かせて工作に取り組む姿を応援するのが楽しみです。
「スペースがないから捨てなさい」「散らかるからやめなさい」と言いたくなるときもありますが、そんなときは子どもの可能性を信じて、一緒に「レッツ・ヒラメキ!」を。