趣味のランキングでは常に上位に位置する「読書」。複数年にわたるコロナ禍もあって「本を読む機会が増えた」という方もいらっしゃるのではないでしょうか。お気に入りの作家の本を、誰にも邪魔されずじっくり読み込む。その没入感に至福の時間を感じるのという方も多いかと思います。
読書の楽しみ方には、そんな一人の時間を楽しむ以外に、「読んでいる本がとても素晴らしいので誰かに紹介したい」、「本について感想を共有したい」というメンバーが集まって本を語る「読書会」という楽しみ方があります。最近では、メンバーが1ヶ所に集まるという従来の集会型ではなく、オンライン上の読書会が密かなブームになっています。
今回は手軽に参加できる「オンライン読書会」についてご紹介していきましょう。
おうち時間が増え、改めて注目集める「読書」
さて、皆さんはどのぐらい本を読まれますか?
文化庁の平成 30 年度「国語に関する世論調査」によると、全国16歳以上の男女を対象に「1ヶ月に大体何冊ぐらい本を読むか」を調べたところ、「読まない」が 47.3%、「1,2冊」が 37.6%、「3,4 冊」が 8.6%,「5,6 冊」と「7冊以上」がそれぞれ 3.2%。月に1 冊以上読むと答えた人の割合が 52.6%でした。この数字は、平成20年度、25年度とほとんど変わらないとのことでした。
そんな読書環境に変化をもたらしたのがコロナ禍といわれています。アウトドアの活動が制限されたことから、おうち時間が増え、家の中で楽しめるものやコトに注目が集まり、JOB総研の「2021年の秋の読書実態調査」では「コロナ前より読書時間が増えた」と回答した割合が4割を超えたとの結果が出ています。読書が、身近な趣味や娯楽として改めて注目を集めているともいえます。
「誰かと語り合いたい!」の思いで立ち上げた読書会
黙読、通読、熟読、音読、速読……読書の楽しみ方は人それぞれで、千差万別。私の場合は、最近はノンフィクション・社会科学系が多いです。以前は児童文学を含め小説も読みましたが、産後はなぜか現実的なものを好むように。仕事のためではなく純粋に自分のために読むのは楽しいです。数えたことはありませんが、年間50~80冊くらい読んでいます。
初対面でも深い話ができる読書会の素晴らしさ
そんな中で、昨年1冊の本に出会いました。スヴェトラーナ・アレクシエーヴィチ「戦争は女の顔をしていない」。ロシア・ウクライナ戦争の影響もあり、漫画化されるなど話題になりました。この本は、第二次大戦に従軍したソ連の女性兵士へのインタビューをまとめた作品ですが、とにかく長くて内容が重たい!読むうちに抱えきれない思いがわいてきて、「誰かと語りあいたい」と感じました。そこで、本が好きそうで、このテーマに興味がありそうな30代~60代の友人に声をかけて、地域のカフェで試しに読書会を開いてみたのです。
当日は、私が第二次世界大戦や独ソ戦の基礎知識をミニ講義し、後は1時間ほど皆で話し合いました。初対面にもかかわらず、同じ本をもとにしているため、各自の問題意識が把握しやすく、深い話ができました。
どんな形式でもOKにしたので、オーディオブック、漫画、文庫版などいろいろなスタイルが集まりました。盛り上がったので、その後、吉野源三郎「君たちはどう生きるか」、ミヒャエル・エンデ「モモ」、金子みすゞと戦前戦後の童謡・歌謡、など読書会は続いています。
私が読書会に初めて参加したのは小学校4年生の時です。芥川龍之介の「トロッコ」を読んだ感想を話し合うものでした。自分では気づかない視点に驚き、話し合っているうちに自分が暗い線路を走っている情景が思い浮かぶなど、刺激的な時間として思い出に残っています。
対面式読書会とオンライン読書会のメリット・デメリット
このように、個人や有志が本について感想を語り合うのが読書会です。読書会はもともとメンバーが一ヶ所に集まって、対面中心行われていましたが、コロナ禍で一気にオンライン化が進み、地域を超えて参加できるようになりました。
私は対面での読書会を主催しているため、オンライン読書会に大変興味がありました。対面式では近くに住んでいる人たちが主な参加者なので、居心地は良いのですが、顔ぶれが固定化しがち。オンラインなら、いろんな地域の人が参加するので、新たな視点や刺激を得られという良さがあるはず。自分たちでは考えもつかない課題図書と出会えるのでは、という楽しみもあります。
さらに、読書会主宰者として他の読書会はどんな流れで進められているのだろう?ルールや盛り上げ方にコツはあるのか?運営面からも興味津々でした。私が考える対面式、オンラインそれぞれのメリット・デメリットを挙げてみます。
対面式読書会のメリットは、
・相手との距離が近い
・発言のタイミングをうかがいやすい
・気が合えば読書会後に会話できる
・その場に集中しやすい
・お互いの本を手に取ってよみあうことができる
など、同じ空間にいるからこその良さがあります。
一方、オンライン読書会は、
・地域を問わず参加できる
・多種多様な課題図書と出会える
・早朝や夜間など開催時間帯もさまざまで自分の生活スタイルに合う会を選べる
・自宅からオンラインで気軽に参加できる
といったメリットがあります。しかし、同時に複数の人が発言できないため順番に話すことになる、他の参加者との距離感や息を合わせるのが難しいといった場合もあります。これらは大きくうなずいたり、リアクションすることで、コミュニケーションを補うことが必要になってきます。
オンライン読書会に参加してみた
私も実際に参加してみようと、半年以上かけていろんな読書会コミュニティのサイトやイベント紹介サイトを調べてみました。しかし、素材となる課題図書に興味がなかったり、開催日時が自分のスケジュールと合わなかったりと、なかなか自分にあったオンライン読書会を見つけることができませんでした。
そういった中、年間にオンライン読書会を300回以上開催している読書会コミュニティ「猫町倶楽部」(https://nekomachi-club.com/)で、ようやく自分にあった読書会を見つけることが出来たのです。開催時間は平日午前10時過ぎで、まさに私の望んでいた時間。課題図書は、気鋭の若手歌人・木下龍也氏の『天才による凡人のための短歌教室』で、この本は私が以前から“読みたくて、感想を語り合いたかった”ものだったのです。
参加にあたって、顔は出せるが、発言はなしという「見学のみ」も選べましたが、せっかくなので発言もできるチケットを1,100円で購入。後日、メールでオンライン読書会用のリンクが届き、参加準備は完了しました。
進行役の采配で初めての参加者も発言しやすい雰囲気
当日の参加者は約20人で、7割が女性でした。このうち7~8人はサポーターと呼ばれる運営側の方々です。読書会の流れの説明後、すぐに5人程度のグループに分かれ、課題図書に関して1時間ほど話しをしました。「心に残ったり、疑問を感じたところはあったか?」、「一番好きな歌は?」など質問を投げかけるファシリテーター役の方がいて、順番に発言をします。複数の人が同時に発言できないので、間合いを読まないといけないのですが、だんだん慣れてきました。
皆さん、大の“本好き”で、普段は身近な人とはできないような難しめの話題にも触れられました。課題図書が短歌についての本でしたので、短歌に興味のある人、苦手な人、初めて触れる人などさまざまな方がいたので初心者でも入りやすかったです。都合がつく人たちは、読書会後1時間ほど残って話をしていました。お昼時なので自宅でランチをとりながらの方もちらほら、終始リラックスムードでした。
自分の考えていることを初めて会う人たちの前で話すのは、なかなかスリリングな経験です。読書体験を共有していることで安心感をもてますし、すぐに深いテーマや本題に入れます。初参加でしたが、順番に発言するので遠慮することなく発言することができました。
さらに多様な人たちとの交流ができるオンライン読書会
今回、読書会で出会った多様な解釈や意見により、私一人で読むよりも理解が深まりました。そして、疑問や感想を口に出して伝えることで、腹に落ちて身につきました。読書会以外でも、人に話しているうちに考えがまとまり、すっきりした経験はありませんか?読書会でも同様の効果が望めますし、オンラインではさらに多様な参加者との交流をとおして視野が広がります。
読書は決して孤独な趣味ではなく、人とつながることで人生や生活を豊かにしてくれると実感しました。
開催日は?テーマは?課題図書は?オンライン読書会あれこれ
ここまで読んでいただいて“オンライン読書会に参加してみたい”と思われた方に、参加するにあたって私がいろいろ調べた情報をご紹介していきます。まず参加するには、ネット検索が便利です。企業や団体(コミュニティ)が企画運営するものから、一個人が主催するものまでさまざまです。
主に以下のようなものがあります。
・Peatix、こくちーずなどのイベント紹介サイトにはたくさんの読書会が登録されています。
・「ペアドク」、「猫町倶楽部」など大手読書会コミュニティやサービスのウェブページ
・グループや個人ブログ
いつ開催されている?参加費は?
オンラインなので開催時間帯は幅広く、早朝や夜中に開催される読書会も多く、長さは1時間半から2時間程度。その後に自由参加の交流会が30分~1時間程度があるものも。参加費は、無料のものから1,000円台が平均です。
開催時間帯による特徴ですが、早朝はビジネス書や自己啓発書を取り上げるケースが多いようで、参加者もビジネス関係の方が中心。平日の日中は、フリーランスや主婦の参加が多いようです。午後8時以降や、夜中の読書会として22時からのものもあります。最も開催が多いのは土日・祝日です。私の場合、小学校低学年の子どもがいるため、夜は参加しづらいので平日日中が主な参加時間帯ですが、開催数はそんなに多くありません。
どんな読書会があるの?
開催が多いのはビジネスや自己啓発ですが、このほか多種多様な本が扱われています。文学、ファンタジー、社会科学(精神、歴史、経済学、社会学、文化人類学など)、キャリア・自己啓発、ビジネススキル、ジェンダーなど時事関連などさまざまな本が取り上げられています。
参加者の年齢層ですが、活発な交流のためにあえて制限を設けている読書会もあります。20代、30代限定、45歳以下対象、中には50歳以上対象ランニング読書会(本から学んだランニングのこつを実践しながら、マラソン完走を目指す)という面白い企画もあります。若者限定のマッチング目的や、婚活読書会も盛況です。興味が似ていて、深い話ができると互いの人生観を理解しやすく、つながりが生まれやすいそうです。実際に10年超で60組以上のカップルが結婚したオンライン読書会もあるようです。
私が面白いと感じたのは、活字の本以外も読書会で扱われていることです。先ほどご紹介したランニングの実践と組み合わせたもの、映画や舞台の感想を語りあう、楽譜を読み音楽について語り合う、アニメや漫画の読書会、著者を迎えてのぜいたくな読書会まで多岐にわたり、主催者の工夫が感じられます。
読書会というと「課題となる本をしっかり読んでいかなければ」とプレッシャーに感じるかもしれませんが、必ずしもそうとは限りません。“読んでこなくてもOKの読書会”とウェブ検索するとかなりの数がヒットします。これらは、その場で本を読む、その後に質問や対話を通して読書を深めるという進め方です。
たとえば、「ペアドク」(https://honto.jp/pairdoku.html)は、事前に読む必要のない読書会。二人一組になり、その場で30分読み、その後の30分で本のテーマに関連する気になる箇所をシェアして語り合います。
参加者からは、「30分後に何かピンとくる箇所を相手に話さなければならないと思うと集中力が増す」、「1人では読み進められなくても、ペアになれば読めるから助かる」などの声が上がっています。扱う内容は主に、ビジネスや自己啓発、社会科学テーマが多く、コロナ禍で参加者は4倍に伸びたといわれています。
課題図書は?しっかり読んでからの参加が必要?
オンライン読書会への参加で注意することは?
オンラインであっても、注意することは対面の読書会と同じです。プライバシーが気になる方は、最初にオンラインミーティングの表示名を愛称に変えるなど工夫しましょう。会費支払いのキャンセルポリシーも確認したほうがよいです。通信の乱れによる返金などは原則的に行われません。
また、さまざまな団体や個人が企画するイベントが存在しています。不安な方には、最初はしっかりした開催歴のある読書会コミュニティが運営している読書会への参加がおすすめです。
オンライン読書会は人生を豊かにする
今回は、いろいろ人と読書体験を分かち合う「オンライン読書会」の魅力をご紹介しました。本来、読書とは個人的な活動ですが、一歩踏み出せば多くの人とつながり、本への理解が深まります。
読み終わったときにドキドキしたり、思わず誰かと話したくなった経験をお持ちのみなさん、オンライン読書会を試してみませんか?きっとこれまでにない世界と出会えるはずです。
オンライン読書会ではオンラインミーティングの仕組みを使うことがほとんどです。スマホ、パソコンのいずれを使うにしても大容量のデータ通信になりますので、インターネット無料の物件だと安心です。また、落ち着いた環境だと早朝や夜も話も弾みますので、書斎などがあるとなお良いでしょう。