本作は現在もサービス中のバカンス&コミュニケーションゲーム『デッド オア アライブ エクストリーム ヴィーナス バケーション』(以下、『DOAXVV』)から派生した新作で、同作に登場する一部の女の子たち6人と恋愛をくり広げる、スピンオフタイトルです。
本記事では、ゲームシステムなどまだまだ気になる点も多い本作についてインタビュー。プロデューサーの作田泰紀氏に、開発経緯や今後の展開なども含めて、詳しくお聞きしました。
作田泰紀 氏(さくだ やすのり)
『DOA3』の開発からキャリアをスタートし、約20年にわたって『DOA』シリーズに携わる。『DOAXVV』では2021年6月までは本作のディレクターを務め、現在はプロデューサー。『VVP』でもプロデューサーを務める。(文中は作田)
尖った魅力を光らせるために
レイファンやティナといった『DOA』シリーズのキャラクターは特別なタイミングで追加してきましたが、それ以外はすべてオリジナルの女の子です。『DOA』に参戦したたまきや、他作品へのコラボ参加など、一部を除けば基本的には『DOAXVV』でしか会えない女の子たちばかりなんですよね。
どの女の子も『DOAXVV』のプレイヤーである、オーナーの皆さんからはすごく愛してもらっているのですが、『DOAXVV』を遊んでいない方々には、まだまだ女の子たちの魅力を知ってもらえていないと感じています。ですので、「ほかの方法で魅力を知ってもらう機会はないだろうか」とは、以前からずっと考えていました。
――それが今回の、『VVP』につながっていくのですね。
完全に10年以上前の技術かというとそうではなく、女の子を美しく、かわいく魅せることに特化して研究を続けてきたので、いまでも通用するエンジンだとは自負しています。ただ、ほかのゲームと比較していくと、より魅力を感じてもらいたいですし、オーナーさんたちの声に応えきれていない部分もあるな、と感じています。
そのために『DOAXVV』のエンジンをさらに改良していく手もありますが、運営型タイトルがゆえに、運営しながらそれを目指しつつ、既存のリソースをサポートするのはかなり難しいです。たとえば、すべての水着をエンジンに合わせて作り直すような作業が必要になるでしょう。正直、現実的ではありません。
そういった考えをまとめていくうちに、別の作品として皆さんにお届けするのがいいのではないかと思い、本作の開発がスタートしました。また、『DOAXVV』は家庭用ハードでは展開していません。『DOAX3』は家庭用ハードでの展開でしたし、ガチャ要素のあるゲームを嫌う人がいるのも理解しているので、そういった方々にも新しい女の子たちと触れ合ってほしいなといった想いもありました。
――“東京ゲームショウ2024”にてティザーを発表し、その後女の子などの情報を随時公開していきました。どのような反響が届いているのでしょうか。
登場した女の子に関しても、最初に発表したフィオナは『DOAXVV』ではもともと恋愛に振っている女の子だったと、登場に関して一定の理解はいただいていました。一方、エリーゼに関しては予想されていなかった方が多かったようでとても驚かれている印象です。
――企画・開発が始まったのはいつごろだったのでしょうか?
――2025年3月発売予定ということは、スタートから開発まで約1年ちょい、の開発期間となるわけですね。素人目で見ると、短めのようにも感じますが……。
――『DOAXVV』の現チームが、チームとして直接開発に関わるわけではないんですね。
――では、タイトル名の『Venus Vacation PRISM - DEAD OR ALIVE Xtreme -』についてお聞かせください。タイトルに“プリズム”と名付けた理由はなんでしょうか?
また、本作は“イマーシブ恋愛アドベンチャーゲーム”と銘打っています。『DOAXVV』は、女の子との触れ合いはもちろんのこと、ビーチバレーやアクティビティーなど、多彩な魅力があります。その中でも、昨今はとくに“女の子たちとの彼女感”を感じてもらえるコンテンツが好評です。
そこをフィーチャーして、“プリズム”を通して尖らせようと考えたのも理由のひとつです。ほかにも、本作は6人の女の子が登場します。31人の女の子全員ではありませんが、6人の女の子で描かれるからこその物語を描いています。そのストーリーも含めて、“プリズム”がすごくしっくり来たのも名前の由来です。
――本作は『DOAX』の名がサブタイトルのようになっていますが、これはどんな狙いがあったのでしょうか。
『VVP』は“『DOAXVV』の女の子たちとのイマーシブな恋愛アドベンチャー”をメインにしたタイトルです。『DOAXVV』の女の子たちが登場するということも含めて、『Venus Vacation』シリーズとしてお届けしようと思ったのが理由です。
次回作も見据えたビジュアル表現
『VVP』が女の子を魅せていくうえで『DOAXVV』と明らかに違うのは、女の子との接する距離感がもっと近いことです。ですから本当に目の前に女の子がいても、かわいく見えることを強く意識してビジュアルコンセプトを立てています。
また、今回は“湿度”から来る色っぽさを強く意識しています。『DOAXVV』などにもあるような、肌の濡れ感の表現はもちろんありますが、それだけではない“湿度”も表現しています。たとえば、女の子ととても接近するシーンが多いのですが、その女の子の体温が感じられるような肌表現や演出などが実現出来ないかとチャレンジしています。そのほかにもわかりやすいところでは、『DOAXVV』ではエンジン上の都合で難しい、“雨”の表現もありますから、雨に打たれる女の子の魅力なども味わえます。
といった懸念点はありつつも、近くで女の子たちを見てもらえれば、「こんなところまで近付いて見られるの!?」と驚いてもらえるはずです。
――デザインやもととなるものはいくつかあるとは思いますが、基本は女の子たちもすべてイチから作り直しているわけですよね。
――実際、女の子を見てみると実像感がアップしていたり、クオリティー自体はとても高いかと思います。ただ、発表後のユーザーからの反応も分かれているところですが、「『DOAXVV』のほうがかわいい」といった声もあります。個人的にも、まだ魅力を把握しきれていない部分があるのかなと。
10年以上前のエンジンでありながら、『DOA5』から『DOAX3』になる際にも、より女の子を魅力的にするためのエンジンパワーアップをしていました。さらに『DOAXVV』になる際にも、恥じらいの表現ですとか、肌のやわからさを改良したりしてますし、7年間の運営の中でもたびたびチューニングしてきており、代々受け継いできた磨き上げたエンジンなんです。
それを超えることを目標にしていながらも、自分たちで自分たちを超えることに、いまも苦戦している最中です。
――グラフィックエンジンの改良、そしてシリーズ化を目指したタイトルといったところで、実験作と言いますか、シリーズ自体の今後を見据えたタイトルのようにも感じました。
ただ、やはり新規タイトルですので、プレイヤーの皆さんにどう喜んでもらえるのかは未知数です。会社としても「シリーズ作品にすべきだよね」といった結果につながればいいと思っていますので、既存のオーナーさんでも「推しの子がいないから……」とは思わず、ぜひご購入して遊んでいただけるとありがたいです。
――また、ジャンル名は“イマーシブ恋愛アドベンチャー”とのことですが、イマーシブはいわゆる“没入感”だと思います。どのような方法で没入感を高めているのでしょうか?
一般的な恋愛アドベンチャーゲームは2Dイラストで表現されていることが多いですが、そこを本作は3Dで背景から女の子も表現して、プレイヤーに求められているようなシチュエーションを体験しながら、女の子との恋愛を楽しめます。
ただ、『DOAXVV』も3Dで表現していますし、一部のムービーなどでは主観視点でエピソードが進んでいきますよね。本作ではそれよりも、もう1歩違う表現をしたいので、会話シーンでもつねに主観視点だったり、女の子との距離感が変わったり、女の子がアクティブに動くような要素なども取り入れています。
ちなみに会話シーンはスティック入力に対応していて、自分の見たいカメラの方向、つまり視点を動かすことができます。
――全体的にUI(ユーザーインターフェース)もかなり抑え気味で、ゲーム感が出ないように没入感を高めているようにも感じました。
6人の女の子が選ばれた理由
そして、本作はイマーシブ恋愛アドベンチャーゲームです。イマーシブはついていますが恋愛感を楽しみたいからこそ“自分のことをすごく好きと言ってくれる”女の子がいたほうが喜んでいただけるのではないかと思い、フィオナを選びました。
――登場する女の子を6人に絞った理由はありますか?
また、ゲーム的に「どの女の子と仲よくなっていくのか」といった選択が重要になるのですが、その選択の体験をしていただく中で、あまりにも数が多いと選びきれないですし、前提の物語として女の子自体の登場機会も設けなくてはなりません。
あまり多くの女の子は登場させられないなと当初から思いつつ、ですが『DOAXVV』の女の子たちの魅力は知ってもらいたい。どこまでできるのか探り探りで考えた結果、6人に絞られました。
――もし次回作があれば、また別の女の子たちが登場しそうですね。ただ、ナビゲーターでありサポーターのみさきが居ないとなると、困りそうです(笑)。
『VVP』でそのときの感覚に近いものを味わってもらいたいといった狙いが裏テーマにあります。そのとき“みさきのいないヴィーナス諸島”はどうも考えられないので、難しいなと思っています。と言いつつ、まったく違う展開や物語になるかもしれないので、断言はできませんが。
着せ替えよりも、シチュエーションを
その展開に合わせて、オーナーとしてどのように行動するのか、選択肢を選んでいきます。そして選択肢の結果によって女の子の好感度や物語の展開が変わっていく、シンプルなアドベンチャーです。
――どのようなサイクルで進んでいくのでしょうか?
その撮影した写真を、とあるゲーム内要素と絡めつつ女の子たちの魅力を高めていき、さらにエピソードが進んでいくようなイメージです。最終的には、女の子との関係が進むようなゴールにたどり着きます。
――お聞きした感じですと、『DOAX3』のように日付があって、1日になにかをするというよりは、物語ベースで進んでいきそうですね。
――各女の子との物語は、どれくらいのボリュームなのでしょうか?
なお、撮影エピソードだけでなく、選択肢が出ているときの選択待ちの女の子の撮影や、通常の会話シーンの撮影も可能なので、撮影で楽しめる要素が多いです。撮影自体をやり込むぶんには、何周も楽しめるかと思います。
あとは、まだまだ公開していないリプレイ要素もありますので、ボリュームについては“少ない”とは思われない内容になっているかと思います。
――そして物語の最後には、エンディングもあるんですよね。
――バッドエンディングはありますか?
――そもそも物語的に、結果が悪いとオーナーとして追放されてしまうそうなので、追放されるエンドもあるのかと思いました。
――もし女の子とのエンディングに到達した場合、物語やゲーム的には最初の1日目に戻るようなイメージでしょうか。
――なるほど。『DOAX』シリーズは、一種の着せ替えゲームの側面があると思いますが、水着の変更は限定版の特典などを見てもあるんですよね?
『DOAXVV』は約7年間、もっと言えば『DOAX3』の水着も含めて、大量の水着とポーズ・小道具などがあります。その中で撮影も楽しめるゲームですから、『DOAXVV』は撮影要素に特化したタイトルとも言えます。
『DOAXVV』を運営しながらも、『VVP』も楽しんでいただきたいと考えたときに、本作はそこをフィーチャーしてもあまり意味がないなと。どうせならば、『VVP』だからこそ楽しめる要素を味わってもらうことを意識しました。
たとえば水着を着てもらって、ポーズをとらせて、それから撮影を楽しむ。みたいな『DOAXVV』の遊びかたではなく、会話シーンやデートしているシチュエーションに合わせて、その瞬間を切り取るような撮影が楽しめるのが『VVP』です。そのために、たくさんのシーンを用意しています。
1周目の段階では決められたコーデのみですが、達成していけば好きなコーデに着替えてもらったり、または条件に合わせてコーデが解放されていきます。
着せ替え要素は少ないとは言いましたが、本作ならではのコーデで楽しめるようになっています。もしそこから「もっと着せ替えを楽しみたい」と思っていただけたら、『DOAXVV』を遊んでもらえたらいいなと思います。
なお、特典の“旗袍”は『DOAXVV』を踏襲しているように見えて、こちらも新たに製作しています。シチュエーションにそぐわないようなことにはならないよう、細かな調整も加えています。
難しいトゥルーカラーとの差別化
ただ、ストーリーを制作しているスタッフたちからは「すごく作りにくい!」と怒られています(笑)。『DOAXVV』で体験したことをなかったことにしたくないですし、すべてを別のものにもしたくありません。『DOAXVV』で描いた物語の中で、描いていないシーンを語ったり、すでにあるシーンをよりボリュームアップしたりもしています。
そのときと着ているコーデが違うなど、どうしても体験として微妙に変わってしまう部分もあるかと思いますが、それは本作ならではの楽しさとして新しい体験を楽しんでもらいたいです。
――ただ、もしかしたら「はじめまして」的なシーンもあるのでしょうか?
――では既存のオーナーさんたちは「こういった時期もあったよね」的な感じで、思い出を追体験するイメージで遊ぶといいかもしれませんね。
――そして物語は、“ヴィーナスフェス事務局からオーナーが課題を出され……”といったあらすじなんですよね。エリーゼがいるのだからそうなんでしょうけれども、“事務局”があったんだなと。
きっとヴィーナスフェスをいろいろな島で開催する中で、それぞれの島のオーナーたちが運営をしているんだと思います。それらを管理する事務局がきっとあるだろうと。
もっと言うと、フィオナはキラキラとした女神たちの見つめる先にいる、オーナーさんに憧れてヴィーナス諸島に訪れました。ということは、ヴィーナスフェスは何かしらの方法で、外の世界に放送されているんだろうなと。そういった部分も掘り下げながら、今回の物語を作っています。
――ビーチバレーはないそうですが、どういった形でヴィーナスフェスを描いているのでしょうか?
エピソードの中でミニゲームが登場することもありますが、ゲーム的に競い合うのではなく、女の子たちとイチャイチャするために用意されたものです。そのあたりも、続報をお待ちください。
――期待しています! ここ数年の『DOAXVV』では“トゥルーカラーエピソード”といった、女の子たちとグッと関係が深くなるアップデートがおこなわれています。“みさき”や“フィオナ”といった、アップデート済みの女の子もいれば、まだ対応していない女の子もいますよね。『VVP』とトゥルーカラーエピソードは、どう住み分け、差別化していくのでしょうか。
『VVP』で描く内容は、ひとつの大きな流れの中で、女の子たちと仲よくなりながら関係を深めていく物語です。それぞれの女の子で描く濃度や内容に違いはありますが、女の子たちの魅力は必ず表現するよう、両方のよさを描いていければいいなと思います。
明らかに違うのは、大筋の物語から派生して描く女の子との物語が『VVP』であり、女の子のためだけに考えて作っているストーリーが“トゥルーカラーエピソード”である点ですね。と言いつつも、正直どちらもかなりたいへんです(苦笑)。
――女の子によっては関係性の距離が、『VVP』のほうで先に近付く場合もあるわけですね?
女の子の表現はいまも磨き中
また、『DOAXVV』ではエンジンの都合でどうしても実現できなかった、足回りの表現をより注力して作っていきますので、ぜひご期待ください。ストーリー上で、よむ先生のイラストに描かれているような物語のシチュエーションも用意しています。
――ちなみにDigital Deluxe Editionには撮影機能の“時間停止ウオッチ”を、早期解放できる特典もあります。『DOAXVV』にあった撮影機能も一部使えるんでしょうか?
いまのところは考えていませんが、もしそういった撮影拡張機能を本作に導入するのであれば、『VVP』だからこそ楽しめる撮影機能になるでしょう。または、ゲームエンジンの都合で実現できなかった撮影機能ですとか。
コーデとシチュエーションの組み合わせが楽しいところで、「あれ、もしかしてこのシーン、あのコーデを着せて、そして時間を止めたらこんなシーンに……?」と、プレイヤーの想像力が試される場合もあると思うので、ぜひ活用してみてください。
――『DOAX3S』であったように、『DOAXVV』との連動特典もあるんですよね?
――『DOAXVV』側で、連動イベントなどは予定していますか?
――『VVP』は海外展開も予定しているのでしょうか?
――発売日は2025年3月6日とのことですが、残すところあと4ヵ月ですね。開発進捗はどれくらいなのでしょうか?
――また、『DOAXVV』7周年公開生放送では、同時に『VVP』のクローズド試遊会も実施されます。どういった狙いで実施することにしたのでしょうか?
公開生放送は抽選応募ではありますが、そのぶん『DOAXVV』を深く愛してくださっている方々が応募してくださっていると思っています。愛している皆さんだからこそわかる魅力を、ほかのオーナーさんたちに広めてくださることを期待しています。
――ほかの場での試遊会ですとか、または体験版の配信など、実際に触れられる機会は考えていますか?
――『DOAXVV』のファンはもちろんのこと、新規層も狙ったタイトルだと思いますが、どういった層のプレイヤーたちに遊んでもらいたいと考えているのでしょうか。
また、『DOAXVV』はちょっとだけ遊んでいたけどいまは引退してしまったという方々が、「いまはこんな女の子もいるんだ」と驚かれる様子をたびたび見かけます。そういった方々が本作を通して、女の子たちがどんな魅力を持っているのか、より深く知っていただける機会になればいいなと考えています。
そして『DOAXVV』はガチャの要素があるゲームであることや、それなりのスペックを持ったPCで遊ぶのがメインのゲームであることなど、何かしらの理由で遊んでいない方々にも、ぜひ遊んでいただきたいです。
あとはシンプルに、日常の疲れを癒したかったり、女の子たちから潤いが欲しいといった方々には、ひとつの恋愛アドベンチャーゲームとして、ぜひ手に取ってもらいたいですね。