“28年前”の性加害告発で懲戒免職、ネットでもバッシング…元中学教師が「女性の訴えは虚偽」と主張、復職を求める理由
高裁判決で市教委が態度一変
東京高裁の判決が出るまで、札幌市(教委)は鈴木氏と共同被告として原告A氏を相手に戦っていた。当然、市教委は「わいせつな行為はあったと認定できない」との立場を貫いていた。 だが、高裁判決を機に、市教委は態度を一変させる。2021年1月5日に判決が確定すると鈴木氏を聴取し、同月28日に懲戒免職とした。 鈴木氏への処分は地方公務員法29条1項1号及び3号に基づくもので、処分に不満でも直ちに取消訴訟(行政事件訴訟法3条2項)を提起することはできない。提訴の前に審査請求をしなければならない(地方公務員法51条の2、49条1項)、いわゆる「審査請求前置主義」と呼ばれる制度が適用されているためである。 ただし、審査請求(本件では札幌市が出した処分につき札幌市が審査する)は、行政上の手続きが適正になされたかの判断だけで終わることが少なくない。 2023年3月7日、鈴木氏の請求に対して棄却の裁決がなされた。しかし、その反面、ようやく訴訟を提起して法的に「司法の判断がおかしい」「わいせつな行為などしていないから免職される理由はない」と正面から自らの正当性を主張できることになった。 しかし、その時点で、懲戒免職から2年7か月の月日が流れていた(札幌地裁への訴状提出は2023年8月30日付)。
オコタンペ湖写真の決定的なミス
鈴木氏は先の東京地裁での裁判から、A氏の主張に一つ一つ反論してきた。居酒屋での録音に対して上記の事情を説明して「2人で会っていたとされる日時には別の場所にいた」「登山客が多い山の山頂で口腔性交をさせた」などはおよそあり得ない状況である、と主張した。 筆者(松田)も、鈴木氏の弁護団の要請を受け札幌地裁で現在も係属中の裁判で、調査報告書を提出した。オコタンペ湖展望台写真の虚偽の証明に関する書面である。 A氏は市教委に鈴木氏と交際していた証拠として、高校3年の時に撮影したという一葉の写真を提出していた。北海道千歳市のオコタンペ湖の展望台で撮影したというツーショット写真である。 ところが、この写真は後日、大学生になっていたA氏と鈴木氏が交際していた時に撮影した札幌市の大通公園でのワンショットとオコタンペ湖の展望台の写真を合成したものであることが筆者の調べで判明する。写真には太陽光源が2つ認められ、3D映像にしてみると、本来あるべき人物にかかる影がなかったのである(A氏の向かって左に影があるはず)。 さらに、背景の色あせたカラー写真に合わせたせいか人物の透明度が下げられ、鈴木氏の足の部分から背景の柵が透過する決定的なミスを犯している。そもそも、この写真が撮影されたとされる日はほぼ北海道全域が雨だった。しかし、写真は晴天下で撮影されており、柵の影がはっきり写っている。
鈴木氏を支えた言葉
4年を超える月日の中、一時的に鈴木氏が弱気になった時期があったことも確かである。 それでも、最終的に提訴して、最後まで争うことを決めた。その決意を元妻に報告した際、こう声をかけられたという。 「あなたは決して人に何かを言われるようなことをする人間でないことは、私が一番よく分かっています。私と子供たちはあなたの名誉回復を心から望んでいます」(元妻) そんな言葉が、今の鈴木氏の支えとなっている。
松田隆