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2024.08.26 10:10

アニメ化決定「チ。」の魚豊。創作の原動力は「疑問」:魚豊

魚豊(27)|漫画家

魚豊(27)|漫画家

8月23日発売のForbesJAPAN10月号では、次世代を担う「30才未満の30人」を選出する「30 UNDER 30」を発表した。本記事では、30人の受賞者のなかから、ENTERTAINMENT部門に選出された漫画家の魚豊を紹介する。


15世紀のヨーロッパを舞台に、「地動説」を命がけで研究する人たちを描いた漫画『チ。-地球の運動について-』。計8巻で累計部数は350万部を突破し、今年10月にはNHK総合テレビでTVアニメの放送がスタートする。

作者の魚豊は、登場人物を通して「社会の本質」を探ろうとする。「状況を分析するだけであれば、それはジャーナリストや学者の仕事です。自分は作家なので、登場人物の主観で語られる物語を描くことが使命です」。

『チ。』にはこんな台詞がある。「文字というのは特殊な技能。(中略)扱うには一定の資質と最低限の教養が要求されるべき。誰もが簡単に文字を使えたら、ゴミのような情報で溢れ返ってしまう」。

15世紀をベースにした台詞ではあるが、現代社会にも「本当の知性とは何か」と疑問を投げかけている。「僕の創作の原動力は”疑問“。問題提起から始めて、最後には結論を出して終わりたい」。担当編集者は「連載が始まった2020年はひろゆきブームで“かりそめの知性”に憧れがあった。そんな時代だからこそ反響が大きかったのでは」と振り返る。

固定観念を“疑うことの良さ”を描いた『チ。』の後には、コロナ禍を経た23年に、陰謀論をテーマにした『ようこそ!FACT(東京S区第二支部)へ』で“信じることの良さ”を描いた。「作家はコンテンツではないから」と、SNSは最低限で、意識的に社会や世間と距離をとっている魚豊。その視線は次に、何をとらえるか。


うおと◎1997年、東京都生まれ。『バクマン。』に影響を受けて高校時代から漫画の投稿を始め、2017年にデビュー。18年に初連載『ひゃくえむ。』を発表。20年から『チ。─地球の運動について─』、23年から『ようこそ!FACT(東京S区第二支部)へ』を連載し完結。

世界を変えうる30歳未満にフォーカスする企画「Forbes JAPAN 30 UNDER 30」、7年目となる今年は30人を選出。これからの未来をつくる彼ら・彼女らが描く「希望」と「新しい未来」へ、ようこそ!
【30 UNDER 30 特集号が現在発売中 / 受賞者一覧を特設サイトにて公開中

文=田中友梨 写真=帆足宗洋(AVGVST)

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2025.03.07 16:00

後編:キャリア自律で事業成長を加速させるNTT DATAの人財戦略

ITサービス世界6位のNTT DATAは、「経営の未来を創造する次なる一手」で社会に価値を提供するべく、優秀な人財を獲得するための人事施策に力を入れている。後編では、同社執行役員でコーポレート統括本部人事本部長の柳町暁に、人財戦略における具体的施策や目指すビジョンについて話を聞いた。


3つのアプローチで「Best Place to Work」を推進

課題の背景にまで寄り添い、本質的な課題を特定して顧客企業と共に変革に挑戦するべく、人財・組織力の最大化に取り組んでいるNTT DATA。その根幹をなす戦略の一つが日本国内向けに取り組んでいる「Best Place to Workの実現」だ。それは3つのアプローチから進められている。

1つ目は「Advanced Training」だ。NTTデータグループ執行役員でコーポレート統括本部人事本部長の柳町暁が説明する。

「新しいビジネスを支える新たな技術やトレンドをキャッチアップし、常にお客様に認められる存在であり続ける必要がある。そのような人財を育成するための仕組みです」

人財育成の基盤として2003年に創設した「プロフェッショナルCDP(Career Development Program)」がある。所属組織の壁を越えて、同職種のプロが新たなプロを育て、そのスキルを会社が認定する制度であり、時代に合わせて対象となる職種も増えていった。現在ではプロジェクトマネージャーやデータサイエンティストなど14の職種を4段階のレベルで認定している。

また、各種デジタル技術や生成系AIなど、新たに台頭してくる技術については、技術部門が新たな教育コンテンツを速やかに作成し、社内Eラーニングシステム「Olive-one」を使って、グループ企業までフォローアップする仕掛けがある。

さらに社員が自ら学ぶための場も提供されている。オンライン講座の「Udemy®」「Schoo®」などが社内で利用できるほか、社内SNS上に展開される「学びラボ」などの自律的社員コミュニティの存在も自律学習の一助となっている。

2つ目のアプローチは「Promote Diversity Equity & Inclusion」だ。女性の活躍推進や、仕事とライフイベントを両立するための環境を整備。例えばパートナーの海外転勤に伴う休職制度や、不妊治療をサポートする休暇制度を設けている。

また、若手社員が10年後のNTT DATAを描き、幹部に提言する「未来を語る100人プロジェクト」を実施。そこでの意見をもとに、所定労働時間の2割を自分のやりたい仕事に従事することができる「デュアルキャリアプログラム(社内兼業)」を24年度に導入した。社員の声が企業運営に反映される風通しのよい会社づくりを通し、社員エンゲージメントのさらなる向上を目指している。

また、代表取締役社長の佐々木裕と社員との対話イベント「YUTAKA と語ろう」を実施中。「社長と触れ合う機会が少ない」という社員からの声を受け、佐々木が国内事業会社社長に就任した直後の23年から同イベントを開始、これまでに20回以上が開催されている。そこで社員から出されたアイデアは、経営会議の場などでも共有されているという。

3つ目は「Future Workplace」だ。業務プロセスや目的に応じて、働く場所や時間を柔軟に設定できる環境を整備している。社員全員がリモートワークできる環境にあり、コロナ後の近年の実績は約60%。ライフスタイルに応じた柔軟な勤務シフトを選ぶことも可能だ。

「日本の労働人口はますます減少していくので、女性やシニア、介護等の制約条件を抱えている人たちの労働力化を促進し、パフォーマンスの最大化に寄与する仕組みをつくっていきたいと考えています」

また、Best Place to Workを推進するために、社員同士がナレッジを共有するためのプラットフォーム「デジタルワークプレイス(DWP)」も用意されている。守秘義務に抵触しない範囲で、業務で得た知識や人脈をプラットフォーム上で共有することができる。

「例えばお客様に生成系AIに関する提案をする際に、過去に作成された類似の提案書を探して参考にすることができます」

DWPには日本語版と英語版があるが、日本国内では、社員の6割にあたる3万人超がユーザーだという。

柳町 暁 NTTデータグループ執行役員/コーポレート統括本部人事本部長
柳町 暁 NTTデータグループ執行役員/コーポレート統括本部人事本部長

目指すは「人材版伊藤レポート」の実践

このようにさまざまな施策や制度を整備してきたNTT DATAだが、人財・組織力の最大化を実現するためには、さらなる人事制度改革が必要だと柳町は言う。そのポイントは多様なキャリアゴールの提示だ。

19年には、スペシャリストのキャリアパスを実現するために「Technical Grade(TG)」制度を創設した。

「管理職にならなければ処遇が上がらないではなく、一般職でも優れた専門性の発揮を認められれば処遇が上がっていくジョブ型雇用制度です。TGのランクが高ければ、例えば超大規模金融システムの設計のような大きな仕事に携わり、高い処遇を手にすることもできます」

一方で、従来型のマネジメントを志向する社員向けには、職務が生み出す価値をベースとしたジョブ型雇用制度「Flexible Grade(FG)」を創設。22年7月よりすべての管理職に適用され、管理職の処遇向上に寄与している。TGとFGが整備されたことで、社員は専門性を極めるか、マネジメントの道に進むか、自らキャリアを選ぶことができるようになった。

「管理職への昇格だけでなく、専門性を極めたいという社員もいる。そちらの道を選んだ時に、目指す価値のあるキャリアゴールを設定しておきたいですね。」

また、デジタル技術のトップタレントや、グローバルビジネスやコンサルティングのトップタレントなどの採用を強化するための制度も整備している。18年に創設した「Advanced Professional(ADP)」制度だ。

「当社の給与テーブルよりも高い処遇で外部から人をスカウトすることができるようにしています。例えばオープンソースの世界の有名人やビジネスコミュニティでの有名人といったタレントを、これまでとは違う軸で採用することができます」

同制度は、社員からの内部登用も可能になっている。高いKPIを設定されるため、通常の管理職よりも給与水準が高めに設定されているという。

また、23年には専門性を軸とした新たな一般職の人事給与制度を導入。入社年次・年齢や在級年数ではなく「専門性」が重視されるようになったことで、若手の早期登用も可能となった。

「多様なキャリアを自律的に構築・成長できる仕組みを実現することでEX(従業員体験)を向上させ、お客様への新たな付加価値創出につなげていきたいと考えています」

柳町が最終的に目指すのは、経済産業省が20年にまとめた日本企業の人的資本経営のあり方に関する報告書「人材版伊藤レポート」の実践だ。

「このレポートは、企業の持続的成長のためには『動的人材ポートフォリオマネジメント』を実行するべきだと提言しています。変化に強い会社は市場の変化に合わせて戦略を変更したり、事業の多角化を行ったりするので、それに合わせて必要な人員構成も変わっていきます。

だから、我々は変化に対応するために必要な多様な人財を内包し、社内の人的資本の状況をリアルタイムにとらえて、要求レベルとのギャップを埋めるために必要な社員の採用やリスキルをタイムリーに行っていく必要があります。移り変わりの早いIT業界でトップランナーであり続けるためには、その変化への対応スピードが肝になります。

当社の中で自己実現を目指す多様な社員たちと一緒にこのような環境の変化を楽しみ、NTT DATAをどんどん進化させて成長を止めない。そうしたダイナミックなサイクルを回していきたいと考えています」


やなぎまち・さとる◎NTTデータグループ執行役員/コーポレート統括本部人事本部長。公共営業本部電子政府プロジェクト統括部、社会基盤ソリューション事業本部デジタルソサエティ事業部長などを経て2023年より現職。

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キャリア

2024.05.10 13:30

ビジネス思考で勝ち取った!「このミス」大賞作家の意外な正体

山田尚史|作家、マネックスグループ取締役兼執行役、PKSHA Technology共同創業者

山田尚史|作家、マネックスグループ取締役兼執行役、PKSHA Technology共同創業者

本格的に小説を書き始めて、たった2年半で大賞を手に。異色の新人はどのように受賞までの戦略を描いたのか。


「意味がわからない」「なんで?」

2023年10月2日、山田尚史のもとに起業家の仲間たちから困惑交じりの祝福メッセージが多数寄せられた。この日、山田は多くの人気作家を輩出してきた、宝島社主催の第22回『このミステリーがすごい!』大賞を受賞。AIベンチャー、PKSHA Technologyの創業者のひとりで、現在はマネックスグループの取締役兼執行役を務める彼が、異分野で名誉ある賞を勝ち取ったことは、驚きをもって迎えられた。何よりも起業家仲間が仰天したのは、経営者の知見や経験を生かした作品かと思いきや、古代エジプトを舞台にした本格ミステリーだったことだ。それも、執筆活動を始めてからたった2年半で。

幼少期から読書が大好きで小説家への憧れを抱いていたという山田が本格的に筆をとり始めたのは20年末のこと。東京大学の先輩にあたる上野山勝也とふたりで創業したPKSHA Technologyが17年に上場を果たしたのち、燃え尽きていた時期があったと振り返る。

「上場を通じて創業メンバーに報いることができましたし、会社をさらに成長させる契機にもなりましたが、その先に会社を大きくし続けることは可能であっても、僕にとっての自己実現ではないと感じるようになりました。『もし今、事故に遭って死んだらものすごく後悔するな』と」。取締役の任期満了を迎えるタイミングで続投を辞退。「人生を通じて、作家であり続ける」という目標に向き合い始め、ミステリー小説の新人賞に焦点を定めた。

山田は、ビジネス的な発想で戦略を立てていった。受賞までの道のりを考えたとき、書き手として実力をつけることは当然必要だが、結果が出るまでに多くの時間を要する。そこで、今までにないテーマを描くことが歓迎され、自身の作風ともマッチしていた『このミス』大賞に狙いを絞った。

「講評」でPDCAを加速

トリックにこだわった「館もの」ミステリーで応募した第21回の『このミス』大賞は、一次選考を通らなかった。だが、これも想定内。「小説の新人賞で選考委員から講評をもらうには、おおよそ二次審査までは通過する必要があるんです。でも、『このミス』大賞は一次落ちでも機会があって、400人くらいが応募したら、40人はもらえる」。プロトタイプをつくっても、顧客からフィードバックがもらえないのであれば改善しようがない。山田は、講評の仕組みをうまく使ってPDCAのサイクルを加速させたわけだ。
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文=堤 美佳子 写真=ヤン・ブース

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