「無罪判決に抗議します」性暴力にあらがう女性とSNS上の揶揄する声 連帯広げる新たなデモとは
昨年12月以降、性暴力の根絶を訴える「フラワーデモ」が各地で開かれた。きっかけは強制性交罪に問われた滋賀医科大生を無罪とした大阪高裁の判決。交流サイト(SNS)上では判決を批判する女性たちの声と、それを揶揄(やゆ)する声がぶつかり合った。依然として性暴力に対する無理解も根強い現状の中で、より連帯を広げようとする新たな形のデモにも注目が集まっている。 【写真】「言葉つむぐデモ」の現場は 昨年12月23日の夕暮れ。街がイルミネーションで彩られる中、大阪高裁前に集まった男女が「無罪判決に抗議します」「私たちはもう黙らない」と書いたプラカードを一斉に掲げた。参加者は主催者発表で約300人。6年前にフラワーデモが始まった頃に匹敵する規模だという。 マイクを握った作家の北原みのりさんは「被害者が声を上げたことで法律は変わったけれども、社会の空気は変わっていないのではないか」と訴えた。 大阪高裁はこの5日前、女子大学生への強制性交罪に問われた滋賀医大生2人の判決で「被害者には虚偽の説明をする動機があった」「同意があった疑いを払拭できない」などと判断し、逆転無罪を言い渡した。デモはこの判決に抗議する目的で開かれた。 フラワーデモは2019年、父親による娘への性的虐待など、性暴力に関する無罪判決が相次いだことから「花を持って集まろう」と始まった抗議活動で、全国各地に広がった。性被害への司法の無理解を訴える声を受け、23年には刑法が改正された。 性暴力に詳しい太田啓子弁護士は、今回の判決を「被害者の行動をあげつらうように取り上げている」と問題視する。「拒絶する言動を拒絶と受け取ってもらえないという女性たち自身の経験と重なったのではないか。市民が不安を抱いて声を上げるのは当然だ」 一方、SNSには、判決を批判した女性たちを「感情的」「法律が分かっていない」とする書き込みが相次いだ。ライターの小川たまかさんは「性暴力に対する意識は変わってきたが、それでも女性蔑視は根強いと感じる。嫌がらせを受けたくなくて口をつぐむ女性もいる」と語る。 こうした中で生まれたデモがある。12月30日に東京駅前で行われた「言葉つむぐデモ」は、メッセージを書いた付箋をボードに貼るというもの。主催者の一人、福田和子さんは「人前で話すことができなくても参加できるように企画した。おかしいと思っているのは自分だけではないと分かった、と勇気づけられた人もいた」と振り返る。 付箋を使って連帯感を示す行動は、韓国では以前から見られたという。16年にソウルの公共トイレで女性が刺殺された事件や、23年に繁華街の梨泰院(イテウォン)で起きた雑踏事故では、犠牲者を悼むメッセージが壁を埋め尽くした。 1月11日には草津市のJR草津駅前で「言葉つむぐデモ」が行われ、道行く人がメッセージを貼り付けた。呼びかけた滋賀県立大准教授の河かおるさんは「気持ちを言葉にして同じ場所に貼り付けることで、連帯が可視化される」と話し、広がりを期待している。