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東日本大震災

2011年3月11日に発生した東日本大震災。復興の様子や課題、人々の移ろいを取り上げます。

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原発・出口なき迷走

アメで受け入れ迫る? 除染土と核のごみに共通する根深い問題

震災前は川沿いに広がる田園地帯だったが、高さ15メートル近い巨大な土壌貯蔵施設が積み上がった=福島県大熊町で2025年2月10日午前10時3分、尾崎修二撮影
震災前は川沿いに広がる田園地帯だったが、高さ15メートル近い巨大な土壌貯蔵施設が積み上がった=福島県大熊町で2025年2月10日午前10時3分、尾崎修二撮影

 東京電力福島第1原発事故を巡っては出口のない問題が山積する。除染土もその一つで、国が想定する公共事業などでの再利用も先行きは見通せない。問題の根本には何があるのか、放射性廃棄物行政に詳しい信州大の茅野恒秀准教授(環境社会学)に聞いた。

汗をかかない「責任者」

 ――除染土を巡る国の政策をどう見ていますか。

 ◆除染土が発生したのは、原発事故で広範囲に飛散した放射性物質による被ばくを抑えるために除染が必要だったからです。責任の所在を考えれば、対応すべきは東電と監督責任のあった経済産業省です。2者が汗をかかず、環境省が除染土に関する政策を推進していること自体がおかしいと思います。

 また、法律で2045年までに福島県外で最終処分をすると定めた背景には、県内の人たちにこれ以上負担を押しつけてはいけないという精神があったはずです。それなのに、双葉町の伊沢史朗町長が町内での再利用を検討すると公表するなど、いつの間にか「県外最終処分のため」という理由で、県内でも再利用が進められようとしている。おかしな理屈で、本末転倒ではないでしょうか。

「事故を特別扱い」は許されない

 ――再利用の基準に対する批判もあります。

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