米副大統領夫人、グリーンランド訪問へ 「挑発行為だ」現地政府は反発…併合の動きを警戒

グリーンランド・ヌーク中心部のスーパー付近を行き交う市民=1月22日(共同)
グリーンランド・ヌーク中心部のスーパー付近を行き交う市民=1月22日(共同)

【ロンドン=黒瀬悦成】米ホワイトハウスは23日、バンス副大統領のウシャ夫人が27~29日の日程でデンマーク自治領のグリーンランドを訪問すると発表した。ウォルツ大統領補佐官(国家安全保障問題担当)とライト・エネルギー長官も同時期にグリーンランドを訪問予定で、現地ではトランプ大統領が掲げるグリーンランド併合の布石だとして反発と警戒が広がっている。

ホワイトハウスは、夫人ら一行が今回の訪問にあたり「史跡訪問などを通じてグリーンランドの歴史を学び、地元行事である犬ぞりレースを観戦する」と説明し、親善訪問であるとの位置づけを打ち出した。

また、ウォルツ氏とライト氏はグリーンランドにある米軍基地も訪問するとしている。

一方、グリーンランド自治政府のエーエデ首相は地元紙に対し、訪問は「挑発行為だ」と反発。「なぜ補佐官が来るのか。われわれに力を誇示する以外の狙いは考えられない」と非難した。自治政府側は一行と面会しないとしている。

11日に行われた総選挙を受けて次の自治政府首相への就任がほぼ確実視されている民主党のニールセン党首も、次期連立政権の樹立に向けた協議が進められている中での訪問は「現地の人々に対する敬意を欠いている」と批判した。

トランプ氏は今月4日の施政方針演説で、グリーンランドを「どのみち獲得できる」と述べるなど、引き続き併合に強い意欲を示している。

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