前兵庫県議・竹内英明さんはなぜ死に追い込まれたのか 今西憲之[ジャーナリスト]
関係者の顔は真っ青だった
その後、私は寄付した信用金庫の関係者を尋ねた。取材したのは20年以上も前だったが、面識はあった。いきなり訪問した私を前に名乗ってもいないのに、 「今西さんですか?」 と驚いた表情を見せた。 20年以上も前に取材した時は、信用金庫の不透明な融資のことで、関係者とはずいぶん、やりあった。 「あなたの顔は絶対忘れません」 と苦笑した関係者に、単刀直入に寄付額一覧を見せた。 「これ表に出てませんやん。本物やと思うが、どこでこんなものを。斎藤知事のえらいスキャンダルかと言われているのに、これが出たらえらいことや。内部告発にある、優勝パレードと県の融資はセットなのは当然。それでないと優勝パレードが終了後、何らメリットがないのに寄付するわけない。公的な免許を得ている公共性が高い信用金庫がそんな裏約束を兵庫県としているとなれば、お縄になる」 関係者の顔は真っ青だった。 最初の記事が出た直後、竹内さんはLINEで、 《よくやってくれた》 とスタンプを送ってくれた。そして、2本目の記事では、 「この記事で県庁が大騒ぎ。これで斎藤知事もアウトだろうと」 「これが特報というもんなんや。刑事告発が出たこともフォローしてくれているので、これでW氏の内部告発もちょっとは浮かばれるはず」 と言い、 「2つの記事で百条委員会も、さらに追及しやすくなった」 「県庁は大騒ぎで『いつ警察か検察がガサをかけるのか』とえらいことになっている」 と連絡をくれた。 だが、竹内さんはその2カ月後、突然、県議会を去り、天国へと旅立ってしまった。 竹内さんの訃報を知って、最初に電話をしたのは先輩にあたる、石川氏だった。 「うちにもあちこちから連絡がきて、竹内が亡くなったって。これ本当ですか」 と石川氏も、信じられないような声をあげた。 石川氏は竹内さんが県議を辞職した時から、心配をしていたそうだ。 「斎藤知事の問題では『どう追及すれば、辞職に追い込めるか』と何度も連絡をしてきた。県議をやめると聞いて、電話するとあの竹内が『いやしんどいです』というばかりで、しゃべりたがらなかった。あんな竹内ははじめてだった」 が、石川さんの人生も厳しいものだった。小沢氏の秘書だった時代の政治資金の問題を追及された陸山会事件。2010年1月には東京地検特捜部に政治資金規正法違反として逮捕された。また、三重県の会社から「裏金5千万円を受け取った」とまったく記憶にない、嫌疑をかけられた。裁判で有罪となり、議員バッジを失った。昨年はガンを患って長期入院したが「不撓不屈」の頑張りで政治活動を復活させている。 「あまり話したがらない竹内に言ったんんですよ。オレを見ろ、オレの後ろを見て頑張れと。不撓不屈なんだよ。姫路に会いに行けばよかった」 と石川さんは悔やんだ。旧民主党時代に、竹内さんと親しかった立憲民主党の職員は 「一度は政治はやめて、コンビニ大手で就職したのですがあきらめきれず、旧民主党の職員になって政治の道に戻ってきた。頭の切れる男で、当時の代表に随行したり、政調や国対など重要な仕事を任されていました。百条委員会でも活躍されていることはニュースでも知っていたので、さすがだと思っていた。まさか、自ら命を絶たれるほと追い込まれていたとは」 1月20日、立憲民主党の本部では、全国の地方議員が集まり、研修会が開かれた。その冒頭に黙とうがささげられた。