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2024年にこっそり遊んでいたゲームを紹介する

 遅ればせながらあけましておめでとうございます。長かった年末年始が終わり、いかがお過ごしでしょうか。私は年始早々しっかり体調を崩しながらなんとか持ち直しつつあります。
 2024年は表立って感想をつぶやいてこそいないものの空いた時間に遊んだゲームが色々あったのですが、どれも面白いゲームばかりでした。折角なので記事にまとめようと思い文字を打っています。
 有名なゲームがほとんどかと思いますが、まだ遊んだことがなくて興味が湧くゲームがあればぜひ遊んでいただきたいです。
 なおなるべくネタバレを含まずに記事を書いているつもりなのですが、一部ゲームはうっすらエンディングの雰囲気について話したり沢山あるエンドのうち一つについて言及したりもしています。全くネタバレ無しというわけではないかもしれないので、タイトルを見てこのゲーム遊ぶ予定があって事前情報は完全にシャットアウトしたいぜ!というものは避けていただけると幸いです。

1.未解決事件は終わらせないといけないから

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 2024年のはじまりを鮮やかに走り出させてくれたのはこのゲーム〜〜〜!!!! 年明けから大変良質な作品に出会えて幸せな気持ちになったのを約1年経った今でも覚えています。

清崎蒼警部の退職から12年後、ある日訪ねてきた若い警官。彼女は「犀華ちゃん行方不明事件」を終わらせるよう協力を要請してきた。清崎はバラバラになった記憶のかけらを思い出して再構成するが、明らかとなったのは犀華の周りの全員が嘘つきだったということだけ。

Steam販売ページの商品説明より

 このゲームはタイトル通り、ある日女の子が行方不明になったという未解決事件の真相を突き止めるゲームです。朧気な記憶に残っている証言をいつ・誰が話したものなのかを整理していき、事件の真実に迫っていきます。この作業がパズルのようでありながら独特の操作感ですごく楽しいです。時に頭を捻り、時に明らかになった真実に目を見開きながら、夢中で物語を紐解いていけます。
 ゲームの操作画面がどんな感じかはNintendo公式から動画が投稿されているのでこちらをどうぞ。

 このゲームの好きなところは、新鮮なゲームデザインやちょうどいいボリュームや魅力的な世界観など様々あるのですが、特に好きなのはシナリオがものすごく優しいところです。ミステリー事件の真相と聞くと血なまぐさいものや悪意あるものを想像しますが、私はこの作品で未解決事件を解決したとき、じんわりとあたたかい気持ちが染み渡るような心地になりました。遊んだのがちょうど冬の時期だったのもあって作品の持つあたたかさがより響いた気もします。
 ゲームをクリアした時に作者さんからのメッセージが表示されるのですが、ここで書かれている「孤独に漂う寂しさを嘆く すべてのクラゲたちに このゲームがささやかな慰めになることを願って」という言葉が私は大好きです。このメッセージはごく一部を抜粋したものなので、クリアした後に全文をぜひ読んでほしいです。

 また、このゲームにはある程度のひらめきがあると推理が一気に進む場面がいくつかあるのですが、プレイし終わった人の感想を見ていると、人によってひらめきの過程が全く異なっておりそれぞれのゲーム体験が感じられるのも良いところです。自分で遊んだ後に、他の人のプレイを見てみたり話を聞いてみたりするのも楽しいのではないでしょうか。実際に私も発売直後に何人かのフォロワーさんがこのゲームをクリアした感想をお話しているのをリアルタイムで読むのがとても楽しかった思い出があります。

 推理ゲームが好きな人、日々の中でどことない寂しさを感じている人、短い時間でゲームを遊びたい人など多くの人におすすめしたい名作です。

2.奇天烈相談ダイヤル

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 いっとき延々遊び続けていた、Papers,pleaseのコールセンター版といった風味の間違い探しゲーム。なに?このゲームは前にも記事を書いてたって? ハチャメチャ面白かったからもう1回紹介するんだよ!!!!

 

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舞台は怪異が実在する1994年の日本。
かつては畏怖の対象であった怪異が、昨今ではイタズラや犯罪に利用され、真贋入り乱れる世の中となってしまった。
アナタは、都内に設立された無料電話サービス『奇天烈お悩み相談室』の新人相談員・ミサコとなり、まずはお試しで1週間、活動をしてみることにする

Steam販売ページの商品説明より

 コールセンター版のPapers,pleaseのようなゲームということで、相談者の話と資料を突き合わせながら間違い探しをしていくのですが、初めは電話形式というのよあって陰の者の魂が無性に緊張します。的はずれな質問をしてはなぜ私はこんなに怒られているんだ……!!とめそめそしながら職場の先輩が作ってくれたマニュアルを読み込みゲームに慣れていくのですが、遊んでいくうちにどんどんコツが分かってきて電話を捌くのが楽しくなっていきます。
 まずは怪異をある程度特定し、めぼしい怪異のマニュアルページを開き、そこに書かれている項目のみを質問するというのが鉄板なのですが、他の人が遊んでるのを見たーい!と思って動画や配信を見るとこの鉄板ムーヴに行き着く前の的はずれな質問に怒られる段階でやめてしまう人が結構多くて……とても悲しい……!!!! 人によって向き不向きのあるゲームシステムだと思いつつ、職場の人達との交流もそれほど多くない文量ながらすごく素敵なのと、物語のオチもしっかりと作られているので、ぜひ最終日までクリアしてほしいゲームです。

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 このゲームは大型アップデートが行われており、エンディングがいくつか見られます。その中でもすべての怪異を見つけた後に見られるエンディングは、私が初めてこのゲームをクリアした時のど、どうして……………という気持ちを綺麗に回収してくれた大好きな追加エンディングです。遊んだことがない人は何のこっちゃわからないと思うのですが、頼むから遊んでくれ!!!!!このゲームを!!!!!出来れば隅々まで!!!!!
 また、大型アップデートでエンディングだけでなくいくつかの怪異も追加されたのですが、8番出口青鬼など名作ホラーゲームが元ネタになった怪異が増えておりホラーゲーム好きならばにやりとできるかと思います。

 私はホラーゲームが大の苦手なのですが、レトロなドット絵の世界観と正しく対処さえすれば怪異を退けられるというシステムに助けられ、ほどよくじっとりとした怖さを体験することができました。ドット絵の世界観にこれだけ似合うホラー要素を演出されている製作者さんは本当にすごいな……と思います。製作者さんの他の作品はしっかり怖いホラーゲームなので、余計にこのゲームのちょうどいい怖さに舌を巻くばかりです。また、このゲームのおかげで、怖いのはちょっと……と今まで詳しく知るのを避けていた有名どころの都市伝説にかなり詳しくなれたのも嬉しかったです。

 ホラーゲームが好きな方、都市伝説や怪異などに興味があって詳しい方、ホラーはそこまで得意じゃないけど程良い怖さを楽しみたい方、Papers,pleaseのような黙々作業ゲームが好きな方にぜひ遊んで欲しいゲームです。

3.Papers,please

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 Papers,please風味のゲームを激プッシュした後に本家本元を紹介する暴挙に出ました。アルストツカに栄光あれ!
 
こちらのゲームは何代か前のパソコンで遊んだことがあったのですが、奇天烈相談ダイヤルを遊んだ後こういった間違い探しゲームを遊びたい欲が止まらず、もういい!!本家本元を遊び直すぞ!!!!と買い直して無心で遊びました。

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チャレンジモードでランキングに載るまで遊んでました。
やったー!!

ここは、共産主義国アルストツカ。隣国コレチアとの6年間の戦争がついに終わり、国境の町グレスティンの半分を正当に取り戻し、晴れて国交を再開することに。
あなたの仕事は入国審査官としてアルストツカへの入国者を審査することです。仕事を探している移民や観光客の中に潜む密輸業者、スパイ、テロリストたちを見極める必要があります。入国希望者のパスポートをはじめとする数々の書類をもとに、入国を認めるか、拒否するかを判断しなければなりません。

Steam販売ページの商品説明より

 共産主義国の入国審査官となり、入国希望者の書類を審査して入国を認めるか拒否するかを決めていくゲーム。超有名ゲームなので説明するのも今更ではありますが、たとえ書類が揃ってなくても情で入国を認めても良し・国家を革命するも良し・国家の犬になるも良し・そして家族はなるべく守らなければ……と狭苦しい空気の中で自分なりの選択をとれるのがとても楽しいゲームです。
 数年前に学生の頃遊んだ時は書類の審査にひたすら苦戦してヒィヒィ言いながらクリアしたのですが、去年遊んだ時は社会人になり書類慣れしたのもあってかウオオオ!!書類を見るのが早くなっているぞ!!とすぱすぱクリア出来て自分の成長を感じられました。

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 チェック項目はなるべく覚えておくようにする・それでも怪しいと思った時はしっかり資料を確認する・書類を置く場所を決めておくなど効率化と正確性を両立するための試行錯誤がとっても楽しいゲームです。私はどうしても各国のパスポート発行都市を覚えられなかったので、手元の手帳に都市をメモして置いていました。

 買い直したのを機に改めてすべてのエンディングを見ましたが、個人的には入国審査官としてすっかり顔馴染みになった怪しい男から縁を繋ぎ、別の国の入国審査官の厚意によって亡命するエンディングが一番好きです。前に紹介した2作にも通ずるものですが、人と人との繋がりやなんでもない親切の描写に私は弱い……。

 ニッチなテーマながらに大ヒットした本作ですが、ヒットしたのが十二分にわかるくらい独特な世界観とゲームシステムには魅力がたっぷり詰まっています
 まだ遊んだことがなく、書類仕事ゲーって新鮮で面白そう!と思ったり、「アルストツカに栄光あれ」という字面になんかかっこええやんけ……!と思ったりした人はぜひ一度遊んで欲しいゲームです。

4.断罪室

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 こちらのゲームが奇天烈相談ダイヤルに追加収録怪異の元ネタとして取り上げられており、こんなゲームがあるんだ……!と知って遊び始めました。オタクが皆大好きな(主語デカ)異形頭と色鮮やかさに惹かれるスタート画面ですが、こちらなんと無料で遊べるゲームです。最近のフリゲってほんとにクオリティがバグってるんよ。

あなたの前に自称被害者と、その人物に加害者として呼ばれた者が現れます。
あなたは2人のやり取りを聞いて、被害者が加害者に復讐しても良いのか、「中立」の立場から話を聞き、判断していただきます。
ただ、慎重にお願いいたします。
ここでいう復讐は、「被害者の手による加害者の死刑」を意味するのだから。

公式のゲーム紹介文より

 このゲームでは、言い争っている2人の人物の話を聞いて、プレイヤーが中立の立場で善悪を判断します。要するにプレイヤーが裁判官になるゲームです。
 言い争っている人たちの会話内容は、親子喧嘩に痴話喧嘩、友人同士の喧嘩など多岐に渡ります。彼らの言い分をしっかり聞き取って、プレイヤーは被害者が加害者を罰しても良いかどうかを決めなければなりません。先述の説明文にもあるとおり、このゲームにおいて加害者の有罪は死刑と同義であるというのもなかなか悩ませられる点です。

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 加害者の有罪・無罪を決めてもどちらが正解でどちらが間違いだったとプレイヤーに伝えられることはありません。それも含めてより裁判官らしい立場を体験することができますし、人を裁く責任がしっかり重みとして残り続けると思います。自分の有罪が正しかったと言われてしまうと、裁いた気持ちが軽くなってしまうもんね……。
 個人的に判断に悩んだのは、友達を軽い気持ちでイジっていた少年とイジられて本気で傷ついていた少年の言い争いです。善悪の判断って……難しい……!!!!色んな方の考えが見たいので遊んだことがない人はぜひ登場人物たちの話に耳を傾けてみてほしいです。1プレイ10分ほどで、自分のものの考え方を改めて見つめ直す良い機会を得られます。

 また、このゲームでは自分が他人を裁くだけでなく、自分が裁かれる側になる経験もできます。そこでは改めて言葉のやり取りや偏見やイメージだけで他者から善悪を判断されることの恐ろしさを体感できます。断罪室での判断に、より責任を持って取り組まなければならないと思える好きな会話です。

 本作はシンプルな造りでありながら、「人を裁くこと」に真摯に向き合える、良質なゲームです。続編の断罪室Ⅱは更にパワーアップして、登場人物にCVもついています。良いゲーム、どこまでもでっかくなってくれ〜!!
 短編ゲームを遊びたい人、ひとつの問題をじっくり考え込みたい人、異形頭が好きな人にぜひおすすめしたいゲームです。

5.クトゥルフ神話TRPG「夏に至る病」

 TRPGも立派な"ゲーム"だぜ!!!!という心意気で、フォロワーさんにタイマンで回していただいたクトゥルフ神話TRPGのシナリオを紹介します。とは言っても非常にネタバレに脆弱なジャンルなので、販売ページに書かれていること以上の説明はありません。

親戚の家に泊まることになった。
この村は、なんとなく、おかしい気がする。
理由は沢山ある。
それをひとつずつ、振り返っていこうと思う。
不可解な3つの出来事と、夏至の日の話。

BOOTH販売ページの紹介文より

 こちらのシナリオでは6月18日から21日までの期間をプレイヤーの作ったキャラクターが過ごすのですが、基本的にこちらのシナリオは毎年6月18日から21日の間しか販売されないというオシャレ仕様になっています。とはいえ時々それ以外の期間にも販売してくださっているのですが、直近だと今月の1日から10日まで販売していたようで、どうしてもっと早くこの記事を書かなかった???と後悔に苛まれています。

 TRPGは人によって好みの分かれるゲームですが、こちらのシナリオはなんとKPレス(自分1人)でも遊べます。タイトル通り6月に遊ぶも良し、それ以外の月に遊ぶも良し、友達と遊んでも1人で遊んでも良し。田舎で経験するホラー体験を味わえる良シナリオです。

6.狂気より愛をこめて

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 何か良い言語解読ゲーム無いかな〜と探していた時に見つけた、四者四様何を言っているのかわからない男たちとの恋愛シミュレーションゲームです。結果として言語解読とはちょっと違ったけど、面白かったのでヨシ!

絶対に会話がかみ合わない男たちとの恋愛アドベンチャーゲーム、狂気より愛をこめて。気になるあの人と何故か話せない…そんなドギマギで異常な体験を、ドット絵とフルボイスであなたに届けます。

Steam販売ページの商品説明より
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 ちょっと頭がゆるい主人公(ちなみに主人公の性別は男女不定です)と、常に右斜め上へカッ飛んでいく世界観と、何を言っているのかわからない男たちのやり取りはゲームを進めていく度に癖になります。

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流れるように出てくる謎生物あらためオカルト部長。
良い人(?)

 恋愛シミュレーションゲームらしく好きな相手と過ごす学園生活は素直にとても楽しいです。そしてそんな楽しい日々からの結末にどのルートでも色んな意味ででんぐり返りが止まりませんでした。

 詳細は伏せるのですが、私はこのゲームで初めて踏んだエンディングが攻略対象をレ……して飼い殺すエンディングだったのでち、ちが……………そんなつもりじゃ…………………………と呆然としてしまいました。各ルート毎に色々と方向性は違いますが概ねそういうゲームです。"狂気"のタイトルに偽り無し。

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 このゲームにおいて、何を言っているのかわからない男たちと主人公の恋愛は「何を言っているのかは分からないけどあなたが好き」に繋がることが多いのですが、これは額面通りの愛情ととれると同時に、相手が何を言っていようが関係無いという暴力にもなり得ます。話が通じない相手の異常性と人間性に向き合い、どのような結末を迎えるのか。彼らとの恋愛は、楽しい学園生活を通してぜひ体験して欲しい交流のひとつです。

 ちなみに私は皆好きですが特に佐伯とアオルタ先輩が好きです。主人公とラブラブハッピー生活送ってほしいなあ〜!!!!!!!!

7.陰キャラブコメ

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 前に紹介した「狂気より愛をこめて」に触発されて、主人公がつよつよの恋愛シミュレーションゲームを遊びてえ〜!!と色々探していてたどり着いたゲームです。以前からタイトルだけ知っていたのですが、想像の10倍パワフルで想像の10倍くらい心に刺さる作品でした。

攻略キャラは全員“陰キャ”のみの恋愛風ノベルゲーム。 陰キャ集団が所属するサークルの会長となり、気になる陰キャなサークル部員の彼とのドキドキな毎日を楽しもう!

Steam販売ページの商品説明より

 四者四様陰キャの男たちを主人公が攻略していく恋愛シミュレーションゲームですが、主人公がとにかくパワフルで、陰キャたちに時に気圧されつつも決めるところはバシッと決める女傑です。どのルートでも主人公と陰キャたちのやり取りに時にひと笑いして時にひと泣きして、心から楽しめました。
 また、恋愛シミュレーションゲーム特有のエグめのバッドエンドもしっかり完備されています。特に4人のうち1人はやたらバッドエンドの種類が多くて回収しながらちょっと笑ってしまいました。
 私は「狂気より愛をこめて」で尊厳陵辱EDを見た時メンタルがめこめこになり、自分はもう尊厳陵辱で興奮できなくなってしまったのか……!?といっとき悩んでいたのですが、陰キャラブコメの尊厳陵辱でバチボコに興奮したのでストライクゾーンが狭まったんじゃなかった〜!!!ウヒョー!!!!と喜んでいました。

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 攻略キャラクターはそれぞれ魅力的に作り込まれていて、本編は勿論どこをとっても楽しいのですが、このゲームの真骨頂はやはり隠しエンディングだと思います。個人的にとっても大好きなので、真実は君の目で確かめてみてくれ!!!!!!!
 詳細をうっすら伏せつつ言うと、私は隠しエンディングで話される主人公が他人に向ける"善意"の話が
大好きです。

「善意だけで救えるなら誰もがそうしたいでしょうよ。でも純粋な善意なんてめちゃくちゃ希少で有限なんだよ。
それでさ、相手の悩みを解決するにあたって、自分の持ち合わせの域を超えたらどうする? 善意がキャパオーバーしたら見捨てるの? 急に無関心になるの? そんなんできるわけないじゃん。
だから、増やす必要があるよね。善意をかさ増ししてるのは…一般的に悪意と呼ばれているものなんだよ。
色欲、憎悪、嫉妬、執着、攻撃性、自己愛……他人に変化を強いるような、ある程度暴力的な正義感も、悪意に含まれるでしょう。
そういった自分の中の悪意を継ぎ足し継ぎ足しして…人を助け、慈しむ善意の糧にするしかない。
…それはよく偽善と呼ばれてしまいがちだけど。たとえどんなに心が濁ってても、それでも善で在ろうとする姿勢に…価値があると思ってる」

 人によっては隠しエンディングの存在をそもそも伏せなきゃいけないでしょ!と思う方もいるかもしれませんが、隠しエンディングが"存在している"ことを知らないとそもそも探せない仕様じゃないかな……と感じたので、詳細を端折りつつ紹介することを許してください。ぜひ主人公が向ける"陰キャへの優しさ"の多様性と終着点を見届けてほしいゲームです。
 ちなみに私はだいだいくんと主人公が好きです。私のヘキを知ってる人は……察せ……!!

8.OMORI

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 超名作ゲーム「OMORI」をいつ遊ぼうか決めかねていて、昨年ようやく遊ぶことができました。可愛らしい絵柄に似合った可愛らしくもどこか不穏さの漂っている世界観は、遊んでいく度に引き込まれていきます。

個性豊かな友達、そしてエネミーでいっぱいの奇妙な世界を探検しましょう。やがて、あなたが選んだその道が、あなたの運命を決定づけるでしょう。おそらく……他の誰かの運命も。

Steam販売ページの商品説明より
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 皆が仲良しでワクワクする冒険の世界と、マリの死によって全てがおかしくなった現実の世界を行き来しながら物語は進みます。インディゲームらしさが程よく残りつつ可愛らしく洗練された画面は、スクリーンショットを見ただけでもこのゲーム面白そう!と思わせられます。可愛さはそのままに拗れ散らかした現実世界がお出しされるので、ぐにゃぐにゃになっちゃうね……
 私はOMORIが始まって早々にオーブリー→オモリの可愛らしい好意にあら〜〜〜〜♡♡♡とニコニコしていたので、現実のオーブリーとの関係がどうなっているかを知った瞬間ベッドに潜り込んでしまいました。ど、どうして……。

 RPGとしては決してテンポが良いわけではないのですが、仲良しの友達との冒険というテンション感で遊んでいると戦闘システムもマップ探索もとても楽しかったです。あちこちに散りばめられたサブイベントも遊び心満載で良かったな〜!! 特殊な敵や特殊なイベントの細やかさはUndertale的な作り込みを感じました。

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 可愛らしくもどこか不穏さが隠しきれていないRPG世界、不穏とかなんかもうそういう問題じゃない現実世界を経て、オモリが抱えた真実にプレイヤーが気づいた瞬間のッスゥーーーーーー………………という1周回って心が凪いでいく感覚は忘れられませんし、その後すぐに襲ってくるこれどうするよ………………の感覚も忘れられません。それでもその真実に丁寧に向き合っていく、プレイヤーもオモリと一緒に沢山のことを考えさせられる良いゲームだったと思います。遊んでいる間忍び寄る不穏に何度も足を止めそうになりましたが、ヒロとケルの兄弟の優しさに背を押されながら必死こいてクリアしました。一方その頃のオモリとバジルはホンマ……

 steamにも注意書きがあるとおり万人に勧められる内容ではないかもしれませんが、心が健やかな時になにかゲームをじっくり遊びたい!!と思った時に時間をかけて遊べる一作だと思います。長年気になっていたゲームでしたが、ようやくオモリの人生について考えられて良かったです。

9.とある天文台からの脱出

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 かつてフラッシュ等で作られた脱出ゲームを狂ったように遊んでいたのを思い出し、今の時代でもPCで遊べる脱出ゲームってあるかな?と調べて見つけたゲームです。昨今では脱出ゲームといえば専らリアル脱出ゲームかスマートフォンゲームを指す気がしますが、久々に私の中では元祖とも呼ぶべきPCで遊ぶ脱出ゲームを遊べてとっっっても楽しかったです。

 こちらのゲームは特にストーリー等があるわけではないのですが、謎の造りがちょうど良いかつ丁寧で程良い難易度で遊ぶことができました。何よりこのゲームにはエンディングが2つあるのですが、その仕掛けがとっても良くってぇ〜〜〜…………
 
ノーマルエンディングを見て次の周を始めた瞬間そういうことかァーーー!!!!!!!と気づきを得た時の快感は何ものにも代え難かったです。ストーリーはありませんが、世界観がとっても素敵なゲームです。詳細に内容を語ると当然ネタバレになってしまうので、ちょっと暇な時とか頭の体操をしたい時とかにでも遊んでみてくれよな!!

 記事を書いていると、PCで脱出ゲームを遊んでいた時のことを思い出して懐かしい気持ちになりました。「よくある脱出ゲーム」とか、「雪隠詰められ」とか、「My Diamond Baby」とか……遊んだなあ……(老人)
 今年も時々PCの脱出ゲームを遊んで懐かしい気持ちを思い出したいです。

10.救国のスネジンカ:Sentinel Girls2

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 タイトルの末尾に"2"とあるとおり、このゲームは「溶鉄のマルフーシャ」というゲームの続編です。遊ぶ時はぜひ前作からどうぞ。また、私はこのゲームをRiJで知ったのですが、こちらの配信アーカイブもゲームの雰囲気やシステムをざっくり把握するのに分かりやすくておすすめです。

 "マルフーシャ"と"スネジンカ"はそれぞれ主人公の女の子の名前で、スネジンカはマルフーシャの妹にあたります。
 主人公はとある独裁国家に住む少女で、戦争のために徴兵され、門兵として働くことになる――というのが主なストーリーの背景です。1ターンごとに門を防衛した報酬(保険やら税やらによるピンハネが凄まじい薄給)を貰い、限られた手持ちのお金で補給する資源を買いながら戦力を補給していきます。
 この資源の取捨選択と、2Dドット風の世界で行うシューティングゲームがとっても楽しいです。特に何日連続で生存できるか挑戦するチャレンジモードは、思わず無心で遊んでしまう中毒性があります。

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 ゲームシステムの他、登場人物の女の子たちの可愛さと、それに反して殺伐とした世界観も非常に魅力的です。重火器を持って戦う女の子……良いよね……という好みがある方はぜひ遊んでほしいゲームです。女の子の立ち絵も武器の絵も物凄くこだわったドット絵で描かれていてすごい。スチルがどれも可愛いですし、キャラクター選択画面ではぬるぬる動くドット絵風イラストを見られます。
 登場するキャラクターの紹介は公式ホームページで見られます。どの子もキャラデザ大優勝で、どのキャラを仲間にするか悩みます。

 メインモードではマルフーシャ及びスネジンカを取り巻く物語が進んでいくのですが、世界観がかなりディストピアなので少女たちの結末はまあまあお察しです。それでも腐った世界で彼女たちなりに心を通わせて交流している姿は微笑ましいものがありますし、それぞれのキャラクターに惹き込まれるストーリーが語られます。

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 私は前作の「溶鉄のマルフーシャ」が大好きで結構な時間やり込んでいたのですが、その分本作「救国のスネジンカ」でその後のマルフーシャの姿と彼女の思いを知った時は心がぐじゃぐじゃになりました。ぜひ2作合わせて遊んで、救国のスネジンカのトゥルーエンドまで見て欲しい作品です。

11.Chants of Sennaar

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 良い感じの言語解読ゲームが無いかな〜と思って色々調べている時に見つけたゲーム。世界観、ゲームシステム、ストーリーとどれをとっても最高で、お前は言語解読ゲームの覇権をとれ……!!とクリアした後噛み締めてしまいました。

プレイヤーのあなたは旅人となり、塔に暮らす人々の間に繋がりを取り戻しに向かいます。バベルの塔から着想を得て作られた魅力あふれる世界。そこでかわされる古代の言語を、よく見て、よく聞いて、読み解きましょう。

Steam販売ページの商品説明より

 本作でプレイヤーは、バベルの塔をモチーフにした階層によって異なる言語を話す民族たちが暮らしている塔を旅して、彼らの言語を解読していくことになります。この塔の風景がとにかく綺麗かつ、階層ごとに色味や雰囲気が違っていて旅するのがとっても楽しいです。

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敬虔な教徒が住む階層
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好戦的な兵士が住む階層
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享楽的な吟遊詩人が住む階層

 どのマップを歩いていても色使いやアングルがとっても素敵で、視覚的に楽しみながら散策ができます。

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 また、このゲームでは主人公がノートに絵と文字をメモしながら言語の解読を進めていきます。このイラストのヒントもオシャレでゲームの世界観を引き立てつつ上手い具合に解読の取っ掛りになっていて、程よく頭を悩ませながらも、何も分からず投げ出すということはなくゲームを最後まで進められました。

 このゲームの更に楽しいところは、異なる言語を話す民族同士の通訳を主人公が行う場面があるところです。各階層に住んでいる人たちは、使っている文字が違っていれば、文章の文法もそれぞれ異なっています。各言語の文字と文法を理解し、通訳する作業は難しくともゲームの世界にどっぷりと浸かっている気持ちになれてとても楽しいです。

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通訳にあたりノートを引っ張り出してメモしながらゲームを
遊んでいました。楽しかった。

 このゲームでは複数の言語を学び、そして通訳を行うことで、他者とのコミュニケーションについて考えさせられます。他人と話すのって常にリスクを伴う行為で、疲れたり傷ついたりしてしまうこともあるけど、だからといってコミュニケーションを止めて相手を理解するのを諦めてしまうのは悲しいよね、といったことにこのゲームを遊んでいると思いを馳せたくなりました。

 今年1年遊んだゲームの特に好きなポイントを振り返って、やっぱり私は人と人との繋がりや他人に向ける優しさといった要素がとても好きだなと思ったのですが、このゲームはまさに人同士の繋がりを強く感じられる、なんならプレイヤー自身の手で繋がりを生み出せる作品であったため、個人的に特に心に残りました。
 言語解読ゲームが好きな人は勿論、スクリーンショットを見てこの世界を旅してみたい!と思った方には強くおすすめしたい作品です。私も販売ページで紹介されていたゲームのスクリーンショットで一目惚れした口なのですが、一目惚れして良かった〜!!!!と心から思えたゲームです。


 以上で去年1年間で遊んだゲームの紹介を終わります。どの作品も思い返す度良かったな……としみじみ感じられるものばかりで、製作者さんに大感謝の気持ちです。
 2025年も短いゲームをちょっとずつ遊びたいので、記事に載ってるこのゲームが好きならこれもおすすめだよ!となるような短時間で遊べる面白いゲームがあれば、コメントでぜひ教えていただけると嬉しいです。

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コメント

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ユーエス
ユーエス

いつも楽しく実況や感想を拝見しております。
未解決事件は終わらせないといけないからが気に入ったのでしたら、リーガルダンジョンもおすすめしておきます。
というのもリーガルダンジョンでは警部補だった頃の清崎蒼さんが主人公なのです!
未解決事件と比べるとシステムが煩雑な部分もありますが、より彼女への理解が深まるので是非どうぞ。

ユーエス
ユーエス

連投失礼します。上とは別に続編発売記念セールで2/15まで70%offしてる作品があり、熱いうちにお薦めしたいと再びコメントを送ります。
https://store.steampowered.com/app/1578650/_/?l=japanese

こちらはシチズン・スリーパーという、ダイスをリソースとして使うTRPG風のゲームです。
衰退しつつある辺境の宇宙ステーションに流れ着いた主人公が、そこで今を一生懸命生きている様々な人たちと交流し、己の生き方を改めて見つけていくお話です。
厳しくも優しいお話に、星空を見上げたくなるような素敵な読後感。
そらさんもきっとお気に入りのキャラを見つけられると思います。

膨大なテキスト量故2の翻訳にはしばらく掛かりそうですが、1単体でも十分面白いのでもしよければ安いうちに是非お買いください。

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2024年にこっそり遊んでいたゲームを紹介する|そら
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