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軽い気持ちで始めたコールセンター勤務が楽し過ぎる|「奇天烈相談ダイヤル」ネタバレ感想

 先日ツイッターで見かけて気になった、「奇天烈相談ダイヤル」というゲームを遊びました。ぱっと見た時にsteamで買えるゲームなのかな?と思い調べたところ、なんと無料のゲームだと知って驚きました。最近のフリーゲーム、意味不明なくらいクオリティが高い……!!(4月26日にはsteamでもリリースされるそうです)

https://booth.pm/ja/items/5487153

 本作は一般市民から怪異の相談を承っている「奇天烈相談ダイヤル」というコールセンターで、主人公のミサコがアルバイトを始める場面からスタートします。コールセンターにはミサコの他に、従業員のノブ子という女性と、先輩相談員のオーモリという青年が働いています。

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 また、このゲームでは初めにプレイヤーの名前を入力する画面があるのですが、そこで入力した名前は主人公の名前ではなく、オーモリが愛読している怪異にまつわる本の著者の名前になります。

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 奇天烈相談ダイヤルでは、かかってきた電話の内容と手元の資料を見比べて、相談者が遭遇した怪奇現象が本当に怪異のしわざであるかを判定します。相談者の話の内容と資料の内容が完全に一致していれば怪異であり、一つでも異なっている部分があれば怪異ではありません。知っている方には「Papers,Please」と似たシステムのゲームと説明すれば分かりやすいかと思われます。

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 ミサコが遭遇する怪異の種類は100種類おり、相談者の相談内容は毎回ランダムで、何度周回しても怪異の判定を楽しめます。遊び始めたばかりの時は怪異の判定がおぼつかないことも多いですが、繰り返し遊んでいるうちにスムーズに相談を捌けるようになっていくのが実感できるのも楽しいです。
 また、怪異という題在のとおりホラー演出もいくらか含まれていて、ホラーが好きな方だとより楽しめるのではないかと思います。反対に、私はビビりでホラーが大の苦手なのですが、そんなプレイヤーでも最後まで楽しむことができました。アルバイトの帰りに清めの塩を持ち帰らず、わざと怪異に襲われる経験ができるという達人モードは遊べる気がしないくらいにはビビりですが、怪異が襲ってくる演出まで作り込んでいる製作者さんの熱量には脱帽です。
 以下、ゲームの内容に詳しく触れるネタバレの感想を書いていきます。未プレイかつ、ここまでの文章を読んで面白そう!と思った方は、ぜひご自身で遊ぶことをおすすめします。

■多種多様な怪異たち

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 先述したとおり、奇天烈相談ダイヤルには様々な怪異が登場します。登場する怪異は、「こっくりさん」「トイレの花子さん」といったメジャーどころから、初めて耳にするようなものまで多岐に渡ります。

 相談者の話からその存在を感じられる怪異は、話を聞くだけでも、寧ろ話を聞くだけだからこそのじっとりとした恐ろしさがあります。「くずれ女」や「テケテケ」などの見た目が恐ろしい怪異の話は、その姿を想像しただけで背筋がゾッとしますし、「キジマさん」などの話を聞いた人のところにやってくる怪異の話には妙な薄気味悪さがあります。怪異の中には「そうぶんぜ」「ソウシナハノコ」のような本来は嘘っぱちの話でしかなかったのが、語り継がれるうちに本物の怪異になったものもいて、私自身が嘘の話に震えあがっているのを考えると本物の怪異になるのも納得だな……と思わせられます。

 個人的に特に怖かったのは、「赤い部屋」という名前の怪異です。平成のインターネット黎明期を知る方ならば、一度は耳にしたことのある名前ではないでしょうか。

 ポップアップされる広告を題材にしたホラーFLASH作品である「赤い部屋」をモデルにしたと思われるこの怪異は、奇天烈相談ダイヤルに電話をかけてきて「あなたは 好きですか?」とお決まりの言葉を投げかけてきます。怪異が「赤い部屋」だと特定し、オーモリが用意してくれた資料で検索をかけると、「電話を切れ」の一言だけが書かれたページが出てきます。他の怪異で検索をかけると出没場所や特徴などが丁寧に書かれているだけに、このページの異質さが際立ち、電話を切らなかったらどうなってしまうんだろうという想像を掻き立てられてゾッとする怪異です。

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 このように、様々な怪異について知るだけでも楽しく、実際にその怖さを電話越しに経験できる点が、奇天烈相談ダイヤルの魅力の一つだと思います。


■1990年代の世界観

 このゲームをダウンロードして遊ぶと、ダウンロードしたファイルの中で製作者さんからの世界観に関するちょっとした説明を見ることができます。本作の西暦は1994年とゲーム内で表記されていますが、これについて製作者さんは「我々の知る90年代ではなく『70年代に生きる人々が、当時に思い描いていたかもしれない90年代』」と説明しています。
 それが顕著に感じられるのが、奇天烈相談ダイヤルの従業員であるノブ子との会話です。

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「それにしても、離れた場所にいるのに顔を見て話せるなんて・・・テレビ電話ってスゴイわよネェ~。
今や一家に一台が当たり前ヨ! ミサコちゃんちにもあるでしょ? 公衆電話にも付いちゃってるんだから!
そのうち小さくて持ち歩けるテレビ電話までハツメイされるかも・・・なァ~んて、さすがにムリよネ~」

 多くの人が携帯できる小さな電話を持ち歩くのではなく、テレビ電話が一家に一台あって、公衆電話にまでテレビが付いている世界観は、確かに1970年代の人が想像する未来に近しいような気がします。確かに私も、二十年前にスマートフォンなんてものが発明されてこんなにも普及するなんて想像もしていなかったため、この世界観には納得がありました。

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 その他にも登場する女性が「ワンレン」「姫カット」といった髪型をしていたり、ゲームそのものがモノクロっぽいドット絵で描かれていたりと、どこかレトロな雰囲気をゲーム全体から味わえます。懐かしさと同時に目新しさも感じられる世界観が、私はとても気に入っています。


■ノブ子とオーモリ

 奇天烈相談ダイヤルを遊んでいて特に好きだなと思ったところが、主人公と一緒にコールセンターで働いているノブ子とオーモリとの会話です。本作で主人公のミサコは、アルバイトのお試し期間として一週間コールセンターで働くのですが、合間合間で二人と話をすることができます。この会話を通して、プレイヤーはノブ子とオーモリ、そして主人公であるミサコの人となりに触れていきます。

(1)ノブ子

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 多くの人にとって、ノブ子と接した時の第一印象は、“お喋りで気の良いおばちゃん”といったものではないでしょうか。初めてミサコが職場に訪れた時のノブ子の雰囲気は明るく、親しみやすい空気で迎え入れてくれます。ノブ子はミサコやオーモリのような相談員ではなく、電話の取次と雑務を行う職員なのですが、初めは解決するのが簡単な相談を回しながら、ミサコのステップアップを補助してくれます。ノブ子が易しい相談から回してくれるのは、メタ的に言えばゲームのチュートリアルも兼ねた展開なのですが、機械的に簡単な相談が回ってくるのではなくノブ子が手助けしてくれているという形式を取ることで、彼女への親しみが湧きやすくなっていると感じます。

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 アルバイトを終えると、帰宅する前にノブ子に話しかけることができます。ノブ子との雑談は新人であるミサコへの気遣いから始まり、オーモリの話や奇天烈相談ダイヤルを創設した会長の話など様々な話題が続きます。特に奇天烈相談ダイヤルの会長であるヒガシという人物は、シルクハットを被り時々コールセンターを訪れる人で、ノブ子からは「アタシたちが取り扱ってる”怪異”と見分けつかないわよ。・・・なーんちゃって アッハッハ!」と評されています。こういった何気ない話からも、このゲームのちょっと不思議な世界観を感じられます。
 ミサコがアルバイトを続けるうち、ノブ子はミサコの人柄を良いものだと感じるようになり、彼女の身の上を話してくれます。

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 ノブ子は自分が奇天烈相談ダイヤルで働き始めた理由を、初めは「事務員募集の張り紙を見て応募した」と話すのですが、真実はそうではないのだと明かします。ノブ子が奇天烈相談ダイヤルを知ったきっかけは、彼女の息子が交通事故に遭い亡くなった事件にあります。その事件には車のナンバーが分かっているのになぜか犯人が捕まえられない・目撃者曰く「車の運転席には人が乗っていないように見えた」など不可解な点が沢山あり、警察の捜査では解決できない状態でした。息子の無念を晴らせず悔しい思いをしていたノブ子が相談したのが、奇天烈相談ダイヤルで相談員を務めていたオーモリだったのです。
 オーモリの手腕によって交通事故を起こした怪異は退治され、事件は解決しました。ノブ子はこの時の心情について、次のように話します。

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「証拠なんてないわ。人じゃない相手に『僕がやりました』なんて言わせられない。法律で裁くこともできない。
罪を償わせることも・・・もちろんね。一点の曇りなく、きれいさっぱりスッキリとはいかなかったわ。
でも・・・これで少しでも息子が浮かばれるなら・・・アタシは満足なのよ」

 ノブ子は奇天烈相談ダイヤルを創設した会長について、「変わったヒトよォ~ まァ変わってなきゃこんな相談室作ってないでしょうケド」と話します。どうして会長が、奇天烈相談ダイヤルなどという変わったボランティアを始めたのか。その理由が作中で詳しく語られることはありませんが、そこにはきっと、怪異によって人間が害されるのを未然に防ぐ他に、ノブ子が実際にそうだったような、怪異によって亡くなった方の遺族の思いが少しでも報われてほしいといった思いもあるのではないかと思います。

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 彼女の背景を知ると、ノブ子がオーモリに対して気安く接しているのも納得があり、それまで押しの強いおばちゃんと不愛想な若者と見えていた二人の関係に染み入るものを感じます。ノブ子にとってオーモリは、我が子を亡くした無念を晴らす一助となった、いわば恩人のような存在なのかもしれません。また、作中ではミサコの働きぶりを見たノブ子が「あくまでアタシの見立てだけど、この調子ならオーモリくんを超えられるんじゃないかしら~?」と声をかける場面があるのですが、ノブ子がオーモリの能力を実体験込みで高く買っているだろうと考えると、この言葉がかなりの褒め言葉だと分かるのも感慨深いです。

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 また、この話をする前に、ノブ子が「なぜ奇天烈相談ダイヤルに興味を持ったのか」とミサコに尋ね、ミサコが言い淀むといったやり取りがあります。ノブ子はその時の会話を汲み、自身の境遇について話す前に「代わりにミサコちゃんの話を聞かせて欲しいワケじゃないからね。アタシの話だけ聞いてくれればイイから」と言い含めてくれます。こういったじわりと染みる温かみや優しさも、ノブ子との交流で好きなところの一つです。

(2)オーモリ

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 オーモリの第一印象は人によって様々だと思いますが、私が彼へ初めに抱いた印象は”ハチャメチャに有能な上司”です。ミサコは初めての電話相談に取り組む前に沢山のマニュアルを渡されるのですが、それを見かけたオーモリは「新人用に最近よく目撃されてる怪異をピックアップしておいた」と言って、分かりやすくまとめられた資料を渡してくれます。この資料は、これが無ければ到底新人の相談員は仕事がままならないくらい良く出来ている物で、社会人として働いている自分にとってオーモリはあまりにも有能な上司に映りました。ベテランの相談員である彼が、ミサコが働いているところとは別の地域にある奇天烈相談ダイヤル本部でもトップの成績をとっていたと聞いた時には、それはそうだろうな……という大きな納得がありました。
 マニュアルを作ってくれている以外にも、オーモリは新人のミサコに読んでおいた方がいい新聞や書籍を教えてくれます。マニュアルを作成する際に参考にした書籍を知らないミサコに「ニワカだな」と言いつつ、「キョーミあれば……貸すけど」と声をかけてくれる緩急で、悪い人ではないんだなとわかる塩梅が魅力的です。

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 ノブ子と同様、オーモリとも空き時間に雑談を交わすことができます。彼が話すのは、主に古今東西の怪異についてです。奇天烈相談ダイヤルでは、自分が相談を受けた怪異の一覧表が見られるのですが、このリストに載っている怪異にはオーモリから話を聞くことで埋まるものもあります。
 色々と調べたところ、どうやらオーモリが話す怪異の中には、このゲームの製作者さんの過去作品にまつわる話もあるようです。私は本当にホラーゲームが苦手なので確かめる術がありませんが、もしもそれが本当ならこういうちょっとした小ネタの忍ばせ方は凄くいいなと思います。

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 また、連日オーモリに話しかけていると「ノブ子さんも結構しつこいけどアンタも大概だな」と言われる会話があります。この会話から、ノブ子さんもオーモリくんに親しみを持って接しているんだな……と分かり、わけもなく嬉しくなります。
 こんな風に言いつつも次の瞬間には「まあいいや。今日はどんな話をしてやろうか」と言ってお喋りに付き合ってくれるのも、オーモリくんの好きなところです。

 オーモリは、ノブ子のような明るさこそ無いものの、決して冷たくもない人です。そのことは、彼の言動の端々から伝わってきます。
 ミサコが怪異の判定に失敗して相談者を死なせてしまった時、大げさに慰めたり責め立てたりするのではなく淡々と声をかける場面や、合間合間でミサコの仕事ぶりを褒めてくれる場面など、オーモリとの会話で好きな箇所は沢山あるのですが、個人的に思い出深いのはミサコが七日間のお試し期間を終え、翌日正式に働くため奇天烈相談ダイヤルにやってきた時の反応です。

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 ミサコのお試し期間最終日、七日間のうちにミサコを気に入ったノブ子は今後も奇天烈相談ダイヤルで働いてくれるよう何度も声をかけるのですが、同時に「もちろんミサコちゃんなら続けてくれるって信じてるわヨ! でもさっき、オーモリくんがね・・・『この活動は、成績がいいことを理由に続けられるもんじゃない』・・・とかなんとか言って・・・」とも話します。
 彼の話と、奇天烈相談ダイヤル本部で短くない期間働いていたという経歴から鑑みて、このボランティアを始めてから長く続けられる人はそう多くないのだろうと察せられます。万が一判定を間違えれば人を死なせてしまうプレッシャーは常について回るでしょうし、怪異などという得体の知れない存在を相手取っている以上、精神的な恐怖は切っても切れないものでしょう。奇天烈相談ダイヤルの相談者は比較的まともな人たちが多いとはいえ、そもそもコールセンターの相談員という仕事自体が精神的にキツい仕事であるのも影響している可能性もあります。ベテラン相談員のオーモリは、きっと多くの相談員が奇天烈相談ダイヤルを去っていくのを見ていたのではないかと思います。そして去っていった相談員たちの中には、成績優秀でありながらメンタルが耐えられなかった人も居たのかもしれません。

 真実は分かりませんが、オーモリはミサコの相談員としての手腕を評価しつつも、一週間で奇天烈相談ダイヤルの仕事をやめてしまう可能性を念頭に置いています。そのためノブ子にも「どーせアイツはこないよ」と話していたのですが、いざミサコがお試し期間が終わった後も奇天烈相談ダイヤルに顔を出すと、無言になってノブ子曰くの“ヘンな顔”をします。

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 オーモリがミサコを見た時の“ヘンな顔”の意図が明言されることはありませんが、その後オーモリが七日間のミサコの仕事ぶりを評価して、その出来が良くても悪くても最後には「期待してる」と声をかけてくれるのを考えると、ノブ子ほど分かりやすく喜んでいるわけではないものの、オーモリもまた見込みのある新人であるミサコが奇天烈相談ダイヤルで働き続けることを、嬉しく思っているのではないかと思います。

 ちなみにこの場面でミサコの仕事ぶりをオーモリが評価する言葉は、プレイヤーの怪異判定精度とゲーム難易度によって変動するのですが、最高評価のSランクをとった時の言葉は、Sランクをとるまで頑張って良かった~!!!!と心から思えるくらい直球でこちらのことを褒めてくれます。

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「アンタ・・・スゴイな。お試しの7日間でこんな成果を上げるとは・・・正直たまげたぜ。
本部に移った方がイイんじゃないの。・・・いや、もう少しオレの下にいてもらおうかな。
アンタには・・・教えてやりたいことがごまんとある。これからもよろしく頼むぜ」

 あまりに理想の上司過ぎる…………。
 このように、オーモリは非常に有能かつこちらのことをまめまめしく気にかけてくれる先輩です。オカルト好きが高じて奇天烈相談ダイヤルで働き始めたのか、それともノブ子のような事情があるのかは分かりませんが、オーモリの働きによって助けられた人が数多く居ることを思うと、彼への尊敬の念は尽きません。オーモリは、プレイヤーの自分にとって、奇天烈相談ダイヤルでの仕事を頑張ろう!というモチベーションに深く根ざしているキャラクターです。


(3)ミサコ

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 奇天烈相談ダイヤルのストーリーは主人公の一人称視点で進み、プレイヤーがミサコの姿や発した言葉を知ることはできません。ノブ子やオーモリの反応から恐らくこういった内容のことを言ったんだろうな、とは察せられますが、具体的に何と言ったのかの詳細は分かりません。しかし、作中で描写される言動から、ミサコの心情を僅かながら感じ取ることができます。

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 ミサコは大学生でありながら、ボランティアで給料の出ない奇天烈相談ダイヤルの仕事に応募し、働き始めます。その他にも毎日発刊されているオカルト新聞を奇天烈相談ダイヤルで働き始める前から読んでいるなど、怪異に強い興味を示している様子です。
 彼女がなぜ奇天烈相談ダイヤルで働くと決めたのか。その答えは、ノブ子との会話で明らかになります。
 ノブ子の息子を亡くした過去について聞いた翌日、ミサコはそれまで口をつぐんでいた過去について話します。

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「・・・あら、そう・・・。年の離れた弟くんがいたの・・・その子が・・・。つらかったわね・・・。
じゃあアナタも以前ここに相談を? ・・・そっか。まだ捕まえられてないのね。それで情報を集めるためにここに・・・。
どうして・・・罪のない子がひどい目に遭わなくちゃならないのかしらね。怪異なんていなくなっちゃえばいいのに」

 会話の流れから考えて、ミサコは怪異のしわざで弟を亡くしたのでしょう。弟を死なせた怪異の手がかりを掴むためにオカルト新聞を読んだり、奇天烈相談ダイヤルのボランティアに応募したミサコの境遇は、ノブ子と重なる点が多いものです。それ故にノブ子は「いつか見つけられるわ。弟くんを襲った怪異には人間サマの恐ろしさを見せつけてやりましょう!」とミサコへ励ましの声をかけます。
 ミサコが最後にノブ子へ辛い過去を打ち明けたのは、ノブ子が「代わりにミサコちゃんの話を聞かせて欲しいワケじゃないからね」と声をかけている以上、決してノブ子が過去を打ち明けたから自分も教えたというわけではないでしょう。お試し期間が終わった後もミサコが奇天烈相談ダイヤルにやってきたことを鑑みても、ミサコがノブ子に過去を打ち明けたのは、ノブ子がミサコを好ましく思っているように、ミサコもまたノブ子の優しさを好ましく思ったからではないかと思います。
 詳しい言葉が分からなくても、ミサコの言動から伝わってくるミサコから奇天烈相談ダイヤルで共に働く二人への親しみは、このゲームで非常に好きなところの一つです。

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 そうしてお互いがお互いを好ましく思っている奇天烈相談ダイヤルの三人に、これからも仲良しでいてほしい~!!と思っていたので、最後に流れたNNN臨時放送の映像には度肝を抜かれました。なにーっ!?今まで見ていたミサコとノブ子さんとオーモリくんの幸せコールセンターライフは!?!?

 オーモリが言っていた「この活動は、成績がいいことを理由に続けられるもんじゃない」という言葉の意味をまざまざと見せつけられたようなラストに、思わずブランケットにくるまってしまいました。犠牲者に挙げられてしまったノブ子とオーモリが果たして奇天烈相談ダイヤルの仕事を続けられるのか、また、二人とこれから一緒に働こうと前を向いた矢先にこの映像を見てしまったミサコが奇天烈相談ダイヤルの仕事を続けられるのか。色々と考えが巡ってしまいます。
 この映像にショックを受け過ぎて、怪異リストを全部埋めたら何か変わるかもしれないと無限周回を決行中です。今度こそ三人のコールセンターハッピーライフを見たい気持ちがあり……でも幸せな日常が超常的な現象でいきなり理不尽に奪われるというのは、まさに怪異を取り扱った作品らしい終わり方だよなという納得もあり……それはそれとしてノブ子さんとオーモリくんを大好きになってしまったためこの終わり方にどうしてもやりきれない気持ちもあり……。こんな気持ちがずっと頭をぐるぐると回っているので怪異の相談を受ける手が止まりません。


 これまで書いたとおり、奇天烈相談ダイヤルは短い時間でさくっと遊べる、それでいて決して文章量の多くない描写にじわっとした恐怖を感じたりキャラクターの魅力に引き込まれるものがある、面白いゲームでした。今後更に大型アップデートも予定されているそうで、追加要素をそわそわしながら待っています。特に心ゆくまで相談を受け続けることができるENDLESSモードは今から遊ぶのがとっても楽しみです。

 既に話を聞いている怪異の相談は出ないようにする、といった機能は無いため、集まっていない怪異が10を切ったあたりからドツボにハマッていますが、サクサクと相談をさばいてベテランのオーモリくんになった気持ちを味わうのもまた楽しいです。皆様も良きコールセンターライフをお送りください。


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軽い気持ちで始めたコールセンター勤務が楽し過ぎる|「奇天烈相談ダイヤル」ネタバレ感想|そら
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