グノーシアで最高のゲーム体験をしてほしい
一週間ほど前にグノーシアというゲームを買いました。短い時間で遊べる、登場キャラクターが良い、最高のゲーム体験ができる、といった評判を聞いていたのでお盆休みの暇潰しのために購入したのですが、遊び始めるとあまりの面白さにあっという間にクリアしてしまいました。
以前まではPS vitaでしか遊べなかったのですが、最近になってNintendo Switchに移植されたため、間口はかなり広がったのではないかと思います。ここまで「ゲーム」を遊ぶ楽しさを感じた作品はかなり久々だったのと、プレイヤーごとに異なるゲーム体験ができる素晴らしさを痛感したため、沢山の人に遊んでほしい!!!!!!沢山の人のグノーシアで体験したゲーム体験を聞きたい!!!!!!となったので、できるだけ核心部分のネタバレを避けながらグノーシアをお勧めする記事を書いていこうと思います。
ネタバレ満載の感想を書いた記事はこちらです
あらすじ
グノーシアは嘘をつく。人間のふりをして近づき、だまし、そして身近な人間を一人ずつ、この宇宙から葬り去る――。
漂流する宇宙船内にて、人間を襲う未知の敵「グノーシア」に直面した乗員達は、誰が敵なのか分からない状況でこの危機を収束させるために、一つの解決策を試みる。 最も疑わしい人物から一人ずつコールドスリープさせ、船内に紛れ込んだ全てのグノーシアを活動停止させるのだ。
しかし、その人物が本当にグノーシアだったのか、あるいはスケープゴートにされた哀れな人間だったのか、知ることは難しい。最後に笑うのは人間なのか、それとも――?
公式サイトより引用
グノーシアは、簡単に言うと人狼ゲームを元にしたループ物のSF世界観ゲームです。漂流する宇宙船の中、記憶喪失の状態で目を覚ました主人公は、乗員(人狼ゲームにおける村人)の中に紛れ込んだ未知の敵グノーシア(人狼ゲームにおける人狼)を見つけるための議論に参加することになります。初めは議論に参加しているメンバーの数も少なく、役職も乗員とグノーシアのみですが、後に一晩に一人だけ乗員がグノーシアかそうでないかを調査できるエンジニア(人狼ゲームにおける占い師)、一晩に一人乗員を人狼から守ることができる守護天使(人狼ゲームにおける狩人)、前日に皆が投票した人が本当にグノーシアだったかどうか検査できるドクター(人狼ゲームにおける霊媒師)等、人狼ゲームでお馴染みの役職がどんどん増えていき、議論に参加するキャラクターも増えていきます。
こうして見ると役職が多く人狼ゲームが分からない人には難しいのではないかと感じるかもしれませんが、丁寧かつシンプルなチュートリアルが序盤にしっかりとあるのでとても分かりやすいです。実際に私も人狼ゲームについてはふんわりとしか知らなかったのですが、初めの手探りな感覚もコツを掴み始めてきた後の感覚もとても楽しめました。
主人公は、記憶喪失の状態でこのグノーシアを探し出す議論をループによって何回も経験することになります。そして主人公と同じようにループを繰り返している相棒のセツと一緒に、何故自分たちはループを繰り返しているのか?グノーシアとは何なのか?といった謎を解き明かしていきます。
何度も人狼ゲームをすると聞くと時間がかかり大変なように感じますが、話し合いのペースはかなりテンポが良く一回のループにかかる時間は長くとも十五分程度です。また、それぞれのループによって、グノーシアの数、各役職の有無、議論に参加するキャラクターの人数、プレイヤーが担当する役職も変えられるため飽きがくることはありません。あと一回だけ、と思って遊んでいたら気付けば無限に時間を吸われてしまう不思議な魅力を持ったゲームです。
また、人狼ゲームということで論理的な思考が常に問われるのかというとそうではありません。ループ毎にキャラクターの役職は変わるものの、性格までは変わらないため遊んでいるうちに「このキャラクターは人間側の時こういった行動をしないだろう」「このキャラクターが投票してるなら怪しいかもしれない」といった傾向を読み取れるようになっていきます。
また、グノーシアでは一回のループが終わると勝っても負けても経験値が入ります。この経験値を使って主人公のパラメーターを育てることができます。
「カリスマ」はその人の意見がどれだけの影響力を持っているか、「直感」は嘘を見抜く能力の高さ、「ロジック」は論理的な思考と発言の説得力、「かわいげ」は疑われた時の怪しまれにくさ、「演技力」は嘘をつく能力の高さ、「ステルス」はグノーシアに狙われにくくなる等の目立ちにくさです。これらのパラメーターを上げることで主人公はどんどん議論の流れを操作できるようになっていきます。そしてこれらのパラメーターをカンストさせれば「相手の嘘を見抜きそれを説得力と影響力のある発言で指摘し相手がこちらを疑ってきた時はかわいさで周りを味方につけ嘘をついても周りにばれにくくそれでも目立たず敵に襲われない」という化け物ができあがります。これらをカンストさせたからといって必ず勝てるようになるわけではありませんが、人狼ゲームに慣れていない人でもとにかくループを繰り返せばどんどん勝てるようになっていく仕様です。反対に適度な難易度を楽しみたい人は経験値が溜まってもステータスを上げなかったり、ステータスを振り直すといったこともできます。
ループの謎を解き明かしていく中で、主人公は個性に溢れたキャラクターたちのそれぞれが抱えた事情や情報を集めていくことになります。この情報はループの中で条件が揃うと発生するイベントで得られることが多く、こういったイベントの数々もループに飽きない理由の一つです。
ループの中で発生するイベントは、キャラクターの複雑な過去に触れるものもあれば釣りをしたりゲームをしたりする楽しいものもあります。選択肢による差分、展開による差分も沢山あり、ついついやり込みたくなってしまいます。こうして様々なイベントを経験していくうちに、キャラクターの魅力にどんどん引き込まれていきます。そしてこの楽しいループの先にある真実は、ぜひ実際にゲームをプレイして見届けてほしいほど美しいものになっています。
あなただけのゲーム体験
タイトルでも書いたように、グノーシアの一番の魅力はプレイヤーごとに異なったゲーム体験ができるところにあると思います。先程紹介したようなキャラクターの情報を知るためのイベントは、一部のものを除いて発生する順番がランダムになっています。そのため、どのキャラクターのどの情報をどの順番で知るかはプレイヤーによって大きく異なっています。また、その情報を知る時の状況もそのキャラクターと味方同士の時に起きたのか、敵対している時に起きたのか、それぞれプレイヤーによって変わってきます。敵対している状況でそのキャラクターの優しさに触れてしまった、味方同士協力している時に普段見せない側面を見せてくれた、といったような、あなただけの体験をすることができます。
また、特殊なイベントが発生しないループでも楽しいゲーム体験を何回もすることができます。ゲームを進めるうちに好きになったキャラクターと協力関係を結んで勝利した、周りを鮮やかに騙してグノーシアとして勝つことができた、自分に協力を持ちかけてきたキャラクターが守護天使で乗員の自分をずっと守ってくれていた等、好きだと思っていたキャラクターを更に好きになったり、それまで気に留めていなかったキャラクターをうっかり好きになってしまうようなゲーム体験がそこにはあります。
登場するキャラクターの魅力
私がグノーシアをここまで楽しむことができたのは、シンプルかつ秀逸なゲームシステムは勿論のこと、無数のループをどれだけ重ねても楽しいと思えるキャラクターたちがいたからです。ここでは一緒に議論に参加し、時に協力し、時に疑われ、時に騙すキャラクターたちを何人か紹介します。
なるべくキャラクターの核心部分についてのネタバレは避けますが、特に核心には関係ないと思った部分については説明のため適度に書いていくので、この時点で公式サイトを見たりして「面白そう!」と思ったり、キャラクター紹介を見て「ぱっと見このキャラクターが好きかも!」と思った方は、この続きは読まずにぜひゲームを買ってキャラクターのことを一から知ってみてください。どのキャラクターが気になって始めても必ず楽しめる作品です。
・セツ
主人公と一緒にループをしながらループの謎、グノーシアの謎を解明していく主人公の相棒です。記憶喪失になった主人公を導いてくれる存在でもあります。見た目は女性に見えますが、後天的に「汎」という無性の性別を選んでいます。
軍に所属しており、論理的かつ冷静な行動をとることが多いものの、一緒にループを繰り返している主人公の前では弱音を吐いたり穏やかな表情を見せたりします。ループを重ねるごとに垣間見えるセツという人間の魅力、セツが主人公に抱いている気持ち、主人公がセツに抱いている気持ちは、ゲームを進めループを重ねるほどに愛おしく得難いものになっていきます。
グノーシア本編の核心にかなり深く関わっているキャラクターなので詳細に魅力を語ろうとするとネタバレになってしまうのですが、終わりの見えないループに疲れたセツを元気づけるため、一緒に映画を見るイベントや一緒に釣りをするイベントもあります。本編シナリオにおいて接することも多く、ゲームをクリアする頃には多くのプレイヤーにとって愛しくてたまらなくなっているであろうキャラクターの一人です。
・ラキオ
セツと同じく無性の性別「汎」を名乗っている奇抜な見た目の人物です。何よりの特徴は、言動に難こそあるもののかなり論理を重んじており、グノーシアを見つける話し合いにおいても感情を抜きにすれば間違ったことは全く言っていないという性格にあります。しかし、「初対面の人間同士が話し合いの中で怪しいと思った人物に投票する」という状況において、感情を考慮せず険のある物言いで論理的にズバズバこっちを疑ってくるド派手な見た目の人間がどう思われるかというと......後は分かるな......?
ちなみにこれはキャラクターAがキャラクターBに対して「自分はBがグノーシアじゃないと信じたい」とかばう発言をした際に反論する時の言葉です。何度見ても口が悪くてびっくりします。こういった言動を全方位にぶちかますため、間違ったことは何一つ言っていないにもかかわらず周りから物凄い勢いでヘイトを集めるのがラキオの大きな特徴です。
これは敵味方問わずえげつない勢いでヘイトを集めているラキオの図です。このループが特別というわけでもなく、割とよく見る光景です。(プレイヤーはラキオと協力関係を結んでいるため全力でラキオを弁護しています) このように言動の癖が強いラキオですが、他のキャラクターと同様イベントを回収し本編シナリオを進めることで、セツと同様かなり多くのプレイヤーが最終的に好きになっているキャラクターではないかと思います。
余談ですが派手なメイクや派手な服を取っ払ったラキオはひっくり返るほど顔が良いです。
このアホみたいに綺麗な顔から飛び出すそこそこ信頼を寄せた相手への心なしかかわいげのある論理的な罵詈雑言が見られるのはグノーシアだけ! 皆やろう!
・ククルシカ
ククルシカはどこか儚げな雰囲気の、綺麗な顔立ちをした美少女です。喋ることができませんが、身振り手振りや表情で周りと会話することができ、議論にも身体言語で参加します。
このようにククルシカのあどけなく純粋な感情表現はとても可愛らしく、見ているだけで幸せな気持ちになれます。
感情を抜きにして論理一辺倒で議論を進めていくラキオに対して、ククルシカは論理を全く気にせず感情で議論に参加します。好きな人のことはどれだけ確率的に怪しくとも庇い、嫌いな人のことはどれだけ確率的に怪しくなくても疑います。普通の人狼ゲームではおおよそありえないような動きなのですが、「初対面の人間同士が話し合いの中で怪しいと思った人物に投票する」という状況において、可憐な見た目の美少女が誰かを疑っていたり誰かに疑われて悲しんでいるのを見た周りがどう思うかというと......後は分かるな......?
議論において味方につけていればかなり心強いですが、敵対するとこれ以上なく苦戦するキャラクターの一人です。
グノーシアでの人狼ゲームの大きな特徴は、「キャラクターが論理だけではなく感情で行動する」点にあります。ククルシカに限らず、ほとんどのキャラクターは大好きな相手のことはどれだけ怪しくても何とか庇おうとして、嫌いな相手のことはとりあえず疑ってみたりします。こうしたキャラクターの行動はAIによって組まれているものですが、「○○は怪しいけど、でも○○のことをどうしても信じたい」と悩むキャラクターの姿は、まるで彼らが生きているかのような感覚を覚えます。
ちなみにこうしてキャラクターが誰かを庇う時や疑う時の台詞は、ただ疑っている、庇っているだけではなく「嫌いだから疑っている」「確率的に考えて怪しい」「好きだから庇う」「さっきまで疑っていたけど信じてみる」「○○が信じてるなら自分も××を信じてみよう」等、キャラクターの思考や感情によって数多くの差分があります。一通り遊んだと思っていてもふとした時に見たことのない台詞が飛び出してくるのも、グノーシアのループをやめられない理由の一つです。ククルシカは、ただ可愛いだけでなくこういったグノーシアの面白さを体現しているキャラクターです。
・しげみち
個性的なキャラクターの中でも、見た目のインパクトが随一のキャラクターです。彼が初めて登場した時の台詞まで含めて、プレイヤーに「このゲーム、普通じゃないな!?」と思わされるキャラクターだと思います。
初登場の台詞だけで面白いから本当にずるい。
しげみちの大きな特徴はその見た目ですが、彼の魅力は決して見た目のインパクトばかりではありません。言動の端々から滲み出る性格の良さ、気さくさ、誠実さは、見た目の衝撃から始まった彼の印象をどんどん良い方向に持って行きます。
このように、一緒に人間側で勝利した時はお互いの健闘を称える言葉をかけてくれます。また、彼の外見がどうしてリトルグレイのような姿になっているのか?という謎も彼に関するイベントを見れば明かされるようになっています。
そんなしげみちは、気さくで誠実な性格が災いして嘘をつくのが上手ではありません。そのため話し合いを攪乱させるために本物のエンジニアやドクター以外にグノーシアが役職を名乗り出る時、しげみちが名乗り出た瞬間に多くのキャラクターがしげみちの嘘に気がつき、すぐに投票されるというのが一種の様式美になっています。
そうでなくてもラキオ同様「見た目で何となく」という理由で投票されることも多いです。しげみちやラキオなど、「とりあえず迷ったら票を入れておく人」がいるのも、まるでキャラクターたちが生きて思考しているようで面白い点だと思います。
また、公式サイトのキャラクター紹介に書いてあるようにしげみちは本編中で恋をするのですが、主人公がその恋を友人として陰日向に応援するイベントも読むことができます。恋をするしげみちと、全力でそれを応援する主人公の姿が見ていてとても微笑ましいため、ぜひゲームを遊んで見てほしいイベントの一つです。
・沙明
女好きで軽い口調の、下半身直結発言をよくする男性です。性別が汎のセツを女性のように扱うため、セツからはかなり苦手意識を持たれています。読み方が分かりにくい名前ですが、主人公の性別を女にすると初めて会った時に名前の読み方を教えてくれます。(グノーシアにはこのように主人公の性別による差分も数多くあるので、周回がとても楽しいです)とにかく自分が生き残ることを考えており、議論では目立たない程度に他人の意見の尻馬に乗っていることが多いです。
沙明の口調は初めこそ軽薄な印象を受けますが、ずっと聞いている内に何だか楽しくなってくる不思議な魅力を持っています。
そんな彼にも他のキャラクターと同様様々なイベントが用意されているのですが、その緩急の付け方が非常に絶妙であり個人的にイベントを回収していくうちに印象が深まりかなり好きになったキャラクターです。ラキオとはまた違った方向に第一印象から見方が変わった気がします。
中でも最も衝撃的なのは、議論で投票されコールドスリープが決定した時に彼が生き残るためにとる行動です。
「生き残るためなら何でもする」を地で行き過ぎている......。
この土下座は自分が投票されたとき低確率でコールドスリープを免れるという、今までの議論をすべてひっくり返す結構最悪なものなのですが、沙明が明らかに味方なので消えてほしくない時にはちょっと有難かったりします。この土下座を見た時専用の台詞も各キャラクターに用意されているという細かい仕様です。キャラクターによって罵ったり同情したりするので、一度は全員分の反応を見てみたくなります。
流石にグノーシアのキャラクターが個性的と言えど土下座までするのは彼だけなのですが、この土下座を見た日の夜に沙明のもとを訪れることで主人公も土下座を習うことができます。
土下座して人狼ゲームの吊りを免れる男とそんな男に土下座を習う主人公が見られるグノーシア、皆やろう!
・シピ
私の情緒をゲーム体験でめちゃくちゃに引っかき回していった男です。一体何が起こったのかはグノーシアをプレイした後ネタバレ感想記事を読もう! いやもう本当..................シピ.....................................俺を置いていくな...............................何も知らずに好青年の笑顔で笑うんじゃない..................................................お前の笑顔が好きだから...........................俺は.........................................................
この他にもまだまだ魅力的なキャラクターが沢山いて、計十四人のキャラクターと一緒にまるで彼らが生きているかのような思考を相手に人狼ゲームを楽しむことができます。そして人狼ゲームを繰り返していく中で、彼らの人となり、過去の事情、思わぬキャラクター同士の繋がり等を見ることができます。誇張表現無しに、プレイし終わった後すべてのキャラクターを好きになる作品だと思います。キャラクターが良いだけでなく、全体的なシナリオの纏まりもループ物の作品としてとても美しいものです。あなただけのゲーム体験で、あなただけの感情をキャラクターと一緒に共有してほしいです。
以上、グノーシアで最高のゲーム体験をして皆でめちゃくちゃになろう!!という記事でした。
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