テイルズオブザレイズ カジノミッドナイトの感想
突然ですが、一ヶ月ほど前からテイルズオブザレイズというソーシャルゲームを遊んでいます。
テイルズシリーズの歴代キャラクターが登場している所謂「お祭りゲーム」なのですが、シナリオを手掛けているのがシリーズ作品の中で私が特に大好きなテイルズオブシンフォニア(以下TOS)とテイルズオブジアビス(以下TOA)のシナリオライターさんということと、アプリリリース三周年を記念したイベントで世界一綺麗な男が更に世界一綺麗になってしまったことを切欠に、DLして遊び始めました。未プレイ作品のネタバレを避けるために、ほとんどのシナリオはスキップして後からシナリオログを読み直そうと思っている状態なのですが、初心者なりに楽しませていただいています。
余談ですがこれは三周年記念でこの世で一番綺麗になった男です。いや世界一綺麗だな......背負っている羽が綺麗で顔が綺麗で頭からつま先までのスタイルが綺麗で声が綺麗で取り巻く空気が綺麗で存在が綺麗で最後に小さい声で「また死に損なったか...」とか言い出すので気が狂ってしまうな は? 自分のことを死に損なったとずっと思っていたけど大切な存在から「罪を贖うにしろ責任を果たすにしろ前を向いて生きてほしい」と言われてこれからを生きると決めたお前が世界一美しいのだが? ありがとうございます 最高 愛 世界中のラブソングをプレイリストに入れて贈りたい
話を元に戻しますが、テイルズオブザレイズでは5月15日から「カジノミッドナイト」というイベントが復刻開催されています。普段は未プレイ作品のネタバレを避けるためイベントシナリオもスキップして後から読もうと決めているのですが、今回のイベントは登場する過去作のキャラクターが主にクリア済みのTOSとTOAのキャラクターであること、世界一綺麗な男がスーツ姿を引っさげて登場していること、ミトスやシンクといったお祭りゲームでどのような扱いになっているのか気になるキャラクターが出ていることから、シナリオを読むことにしました。
結論を先に言えばめちゃくちゃ最高でした。こんなに最高なことある? クラトスとミトスのカジノ魔鏡は既に持っていたものの、シナリオがあまりにも最高過ぎたので気がついたら課金をしていました。オタクなので最高の作品に対してすぐに金を出そうとしてしまう。ちなみに課金した結果スーツを引っさげたクラトスの魔鏡(三個目)が来ました。最高のjpgはたとえ十個目でも百個目でも来てくれるとうれしい。以下、カジノミッドナイトの感想をまとめています。
ミトスとシンクの煽り合いシナリオを読んでいてとても楽しかったのが、ゲーム本編での彼らを考えると洒落にならないレベルの傷の抉り合いをしているミトスとシンクの会話です。
これはイベント冒頭の二人の会話ですが、言葉の雰囲気だけでも険悪なことが伝わってきます。
ミトスとシンクは互いに互いが「子供」であると言い合っています。外見年齢だけを見れば二人は同じ十四歳なのですが、ミトスはクルシスの輝石で体内時計を止め四千年以上の年月を生きていること、シンクは製造されて二年ほどしか経っていないレプリカであることを考えると、二人がお互いを「子供」だと言い合う光景は何とも言えない重みがあります。
更にシンクはミトスに対し「姉のマーテルを母代わりに、師匠のクラトスを父代わりにしている」と指摘しています。実際に、TOS本編でミトスと似た境遇で年の離れた姉がいるジーニアスが「ボクにとって姉さんは、姉さんであると同時にお母さんみたいなものだったから」と話していることから、ミトスにとってもマーテルは姉であり母親のようなものだったのではないかと考えられます。また、TOS本編のシナリオライターさんが手掛けている「テイルズオブシンフォニア 贖罪のクラトス」という外伝ノベライズでは、ミトスからクラトスへの信頼が肉親に向ける信仰に近いものだといったことが語られています。クラトスの妻を「あの女」と呼んだり、実子であるロイドに「クラトスの血を引くくせに」と口走るなど、クラトスの家族に対する攻撃的な言動からもミトスがクラトスを父親のように慕っていたのではないかということは十分に考えられます。そういったミトスの心の柔らかい部分を的確に見抜いて抉るシンクの言葉は、見ていてヒヤヒヤすると同時に改めてミトスというキャラクターを見つめ直す切欠にもなります。
対するミトスからシンクの言葉も、イオンという被験者のレプリカであり自分というものが存在しない(とシンクは思っている)シンクに対して「誰彼構わず辛辣にこき下ろして、それで自分を保ってるつもりなんて子供だね」と言ったり、TOA本編で「自分はただ肉塊として生まれただけだ。ばかばかしい。預言なんてものがなければ、こんな愚かしい生を受けずに済んだ」と自分が生まれたことそのものを否定しているシンクに対して「そんなに『生きる』のが怖いのかい」と言ったりと、結構な内容になっています。
しかし、カジノミッドナイトのシナリオでは二人の言い合いと同時にミトスがシンクを気にかけているからこそ声をかけていることが示されています。
ミトスはミトスなりにシンクに歩み寄ろうとしているのですが、ミトス本人が言っている通りシンクにとっては余計なお世話であるため、ミトスをはねのけるためにわざと傷を抉るような発言をしています。それに対してミトスも言い返してしまう、というのが二人の物騒な言い合いの一つの側面です。
ミトスがシンクを気にかけたい気持ちとどのように折り合いをつけるのかは、シナリオの後半で描かれます。こちらに関しては後の項目で書いていきます。
ミトスとシンクの言い合いとは関係ありませんが、ユアンをやたらと敵視していることについてゼロスに「恋人に姉をとられて悔しいのか」と図星を突かれ、ゼロスに対し強い口調で反論する姿は正しく姉を恋人にとられそうで悔しい弟らしく、反論内容の恐ろしさはともかくとして外見年齢相応の可愛らしさがあります。
保護者のマークとクラトス、被保護者のミトスとシンク
カジノミッドナイトでは、カジノに潜入する四人のうちマークとクラトスが保護者、ミトスとシンクが保護者の付き添いが必要な子供として描かれています。
先述したミトスとシンクの言い合いの中で「父代わり」と言われたクラトスは勿論のこと、争いに巻き込まれているフィリップを見つけて助けに行く様を「親のようだ」と周りから評されているマークもまた、このシナリオにおいて保護者側の立場だと考えられます。
カジノに潜入した後も言い合いをするミトスとシンクに、クラトスとマークは要所で大人として声をかけます。軽いところで見ると、クラトスとシンクの何気ないやりとりが例として挙げられます。
情報収集から帰ってきたシンクに対して、クラトスが流れるように「おかえり」と言い、シンクも「ただいま」と返す場面です。
「おかえり」と「ただいま」は主に家族の間で交されることが多いやりとりです。家族同士でなくとも、「おかえり」と「ただいま」は帰ってくる場所・待っている場所がある時、相手が帰ってきてくれたこと・相手の待つ場所に帰ることがうれしい時に交される日常的な挨拶でもあります。
クラトスにとって、誰かに「おかえり」と言うことは当たり前のことなのだと思います。母国を追放された後も信頼の置ける仲間と共に旅をしている間に何度も「おかえり」を言ったことがあったのでしょうし、家庭を持ってから家族に「おかえり」と言ったことも言われたことも沢山あったと思います。カジノの潜入捜査といった非日常的な場面でも、当たり前に日常的な「おかえり」という挨拶を相手に伝えるクラトスの人間性が、私は本当に大好きです。
クラトスの「おかえり」を受けて「ただいま」と返すシンクにも言葉にできないほどの良さがあります。レプリカとして製造され欠陥品として廃棄され、その後ヴァンを利用して預言が蔓延る世界を壊すと決めたシンクは、クラトスのように信頼できる仲間と共に旅をしたことも、家族と何気ない会話を交したこともありません。「おかえり」「ただいま」というやりとりも、あまり経験したことがないのではないかと思います。そんなシンクが、潜入任務中の会話としては不似合いな「おかえり」というクラトスの言葉に思わず「ただいま」と返す光景は、何とも言えないくすぐったさを感じます。「ただいま」と返した後、シンクが我に返って「何、この会話」と言うところもとても好きな部分です。
その後、ミトスとの言い合いで不機嫌になったシンクにマークが声をかける場面があります。
シンクに対し、マークは自分もシンクと同じように「自分は望んで生まれたわけじゃない。だから自分を生み出した世界に復讐したい」という心情を話します。私は未プレイ作品のネタバレを避けるため、マークの身の上が語られるのであろうメインシナリオを読んでいないのですが、恐らくマークはポケモンのミュウツーのような人工的に作られた存在なのかな? と思っています。(全然違ったらすみません)自分が望んで生まれたわけじゃない被造物としての思い、そしてそのままならなさを世界にぶつけようとするマークの思いは、マークが「俺はシンクの気持ちが何となく分かるぜ」と言うように、少なからずシンクと似通っているところがあると感じます。
余談ですが、ここでマークが「シンクの気持ちが何となく分かる」という言葉について「お前が一番嫌いな物言いだと思うけど」と言っているように、「あなたの気持ちが分かる気がする」というのは悪く言えば使い古された陳腐な同情の表現でもあります。人間がどうあがいても他人同士である以上、相手の気持ちが簡単に理解できるはずがありません。それがシンクのように特殊な境遇なら尚更です。
しかし、たとえ完全に同じ境遇ではないにしても、似た苦しみや悩みを抱えている人に対し相手の心情を慮って「あなたの気持ちが分かる気がする」と寄り添うことの大切さはTOSでもTOAでも丁寧に描かれています。同じように加害者意識を持っているロイドとリーガル、ハーフエルフとして差別に遭ってきたジーニアスとミトス、自分のせいで人を死なせてしまった負い目があるルークとアニス、血の繋がった肉親と敵対しなければならない苦しみを抱えたティアとナタリアなどがその例です。
ミトスやシンクといった歴代キャラクターが初めて登場したゲーム本編で、「あなたの気持ちが分かる」と声を掛け合い絆を築いていくパーティーメンバーを見ているからこそ、この場面でマークがシンクに言う「俺はシンクの気持ちが何となく分かるぜ」という言葉には、陳腐な同情では終わらない重みを見出すことができます。
その後のマークとシンクのやりとりも、とても好きな会話です。
シンクがマークに言う「それでもアンタには価値がある。望んで創り出され、生まれたことに価値がある。必要とされてる鏡精だ。ボクとは違う」という言葉は、TOA本編でシンクがイオンやルークに向けた言葉と重なります。
シンクはイオンやルークと同じレプリカですが、シンクと二人の決定的な違いは「必要とされているかどうか」です。イオンはシンクと共に生み出されたオリジナルイオンのレプリカですが、オリジナルに最も近い能力を持っていると判断され導師として据えられました。ルークはアッシュのレプリカとして作られましたが、パーティーメンバーと共に旅をする中で多くの人にとって代用品ではないかけがえのない存在になっていきます。対してシンクはレプリカのイオンより能力が劣っているという理由で捨てられた、必要とされなかった存在です。生まれた意味を知るRPGであるTOAにおいて、生まれた意味がそもそも存在しないシンクは、ルークたちにとってもプレイヤーにとっても強く印象に残る存在です。
そんなシンクが、もしもイオンやルークのように「他でもないお前が必要だ」と言われたなら、という可能性がマークとのやりとりでは描かれています。シンクはこの言葉を「虫酸が走る」とはねのけていますが、TOAで自分は不要品だという自覚が強くすべてを拒絶していたシンクを見ていたプレイヤーとしては、シンクがこうして誰かに他でもないシンクを必要とされている場面にこみ上げるものがあります。
ここでシンクに「俺にはシンクが必要だぜ」と伝えるのがマークなのも、人選が素晴らしいと感じます。TOAでシンクがルークたちと手を取り合うことが無かったのは、彼らがあまりにも近すぎたからです。あの世界に生きている以上レプリカというレッテルはどうしてもついて回るものですし、イオンやルークといった自分と同じレプリカでありながら自分と違って望まれて創られた存在に手を伸ばされてもシンクにとっては救いにも何にもならなかったのだと思います。TOAの世界を知っている人に「他でもないシンクが必要だ」と言われても、シンクの心には響かなかったと思います。だからこそ、TOA本編でシンクはあの結末を迎えたのだと思います。
シンクが生きていた世界のことを知らない、それでもシンクと何となく似た境遇にいるマークが言うからこそ、この言葉は大きな意味を持ちます。カジノミッドナイトのシナリオでシンク以外にTOAのキャラクターがいないというのは、本当に良い人選だと思います。
マークがシンクに声をかけている傍らで、マークと同じく保護者として描かれているクラトスはミトスに声をかけます。
「犯した罪を無かったことにはできない。だが、それを償おうとする心は決して蔑ろにされるべきものではない」というのも、TOSとTOAで描かれてきたことです。これらは、ミトスの過ちを正すことを諦め世界を犠牲にし続けてきた罪を贖おうとするクラトスや、アクゼリュスを崩壊させたことを胸に自分ができることをしようと努力するルーク、レプリカ技術を生み出した罪に向き合い世界の崩落を阻止しようと努力するジェイドの姿などからも伝わってきます。
TOS本編のミトスは、自身の選択を後悔することなくロイドたちと最後まで敵対し命を落としました。私はミトスのそういった選択の責任を最後まで貫いた強さが大好きなのですが、それと同時にロイドが最後までミトスに「この世界にいても良かったのに」と声をかけ、新たに生まれた大樹にミトスの名前を与えたところも大好きです。そのため、TOS本編とは異なる世界で自身の過去を認め償おうとするミトスの姿を見られたことをうれしく感じます。そして、TOS本編で贖罪のために動いていたクラトスが、ミトスに過去を償うことについて説くこの会話がとても好きです。
このように、カジノミッドナイトではマークとクラトスがミトスとシンクにそれぞれ言葉をかける場面が見られます。二人がミトスとシンクの保護者としてカジノに潜入したのはあくまでもミトスとシンクの見た目が幼いからという事情によるものですが、そういった形式以上の「保護者」としてマークとクラトスはこのシナリオで機能していると感じます。
ミトスとシンクの関係性の答え
先述したように、ミトスはシンクのことをミトスなりに気にかけています。傷を抉るような言い合いをしながらも、どうやったら自分の「放っておけない」という気持ちが伝わるかミトスは悩み考えています。そういった悩みを、ミトスがクラトスに相談する場面があります。
ここでミトスが「ロイドなら、シンクをどうするんだろう」とロイドの名前を口にするのもとても好きなところです。ロイドはミトスにとって、自身の選ばなかった道をゆく影のような存在です。そんなロイドならば、シンクに対しもっと違う答えが出せたんじゃないか、と考えるのは自然な流れと言えます。
TOS本編をプレイすれば分かる通り、ロイドは普通の人よりも沢山のものを救える強くて眩しい人です。パーティーメンバー八人との好感度に依拠したイベントとエンディングがあるということからも、ロイドの他人の心をすくい上げる能力の高さがうかがえます。そのため、複雑な人間関係が提示されたときに、ロイドが「もしもロイドがいてくれたら」という考えに当てはめられやすい存在であることは理解できます。
しかし、当然のことながら現実としてその場にロイドは居ません。ロイドが居ない以上、すべきことはロイドが居ないことを悔やむことではなく、自分には何ができるかを考えることです。そういう考えを何となく持っていたので、このときクラトスがミトスに「お前はロイドではない。ミトスとしてできることをすればいい」と声をかけたことが、私は本当にうれしかったです。また、ロイドとミトスという二人の弟子に対して、ロイドはロイド、ミトスはミトスとして大切に思い彼らに伝えるべきことを伝えようとするクラトスの姿を改めて見られて、すごくうれしかったです。
クラトスの言葉を受けたミトスは、自分なりに考えてシンクとの関係性に答えを出します。
「同年代の友達」という関係性は、ミトスがTOS本編でロイドたちに合流した際、ジーニアスという友達ができたことで新しく得た関係性です。四千年もの長い時を生きてきたミトスが、つい最近知ることができた「友達」という関係を自分なりの答えにしてシンクにぶつける様は感慨深いものがあります。相変わらず物言いには少し難がありますが、それでもミトスなりの答えとしてとても素敵な答えだと思います。
その他シナリオで主に好きだった場面は上記の通りですが、その他にも好きな場面がいくつかあります。そのうちの一つが、このシナリオにおけるゼロスの立ち位置です。
ゼロスはTOS本編において、大人と子供の中間的な存在として描かれます。明確な保護者として描かれているリフィルやクラトスやリーガルよりは若く、明確な被保護者として描かれているロイドやコレットやジーニアスよりは世間を知っているという立ち位置です。これは、ゼロスの個別ルートでのみ明かされる幼い頃の忘れ難い思い出が彼の核になっていること、そんな悲しい過去を悟られないようゼロスが軟派な若者として振る舞っていることが理由だと思われます。
カジノミッドナイトのシナリオに出てくるキャラクターを保護者と被保護者に大別すると、保護者側がマーク、クラトス、マーテル、被保護者側がフィリップ、ミトス、シンクとなります。それではゼロスがどちらかというと、今回のシナリオではかなり保護者寄りに描写されています。
マークとクラトスとミトスとシンクがカジノに潜入している間、ゼロスはマーテルとフィリップと一緒に街の外で待機することになります。そのとき、人に話しにくい過去について悩んでいる様子のフィリップに、ゼロスはマーテルと一緒に声をかけます。
軽い口調ながら、相手の気持ちを汲み取るようにフィリップに声をかけるゼロスは、ミトスの母代わりと言われているように明確に保護者として描かれているマーテルと同じく、保護者の一人として映ります。
また、シンクに対してもゼロスは今回のシナリオで年上として見守る姿勢を見せます。
ミトスの「友達になってあげる」という発言に対して少なからず戸惑うシンクに、ゼロスは「まぁ、よかったんじゃね。シンくんにもいいお友達ができて」と声をかけます。この後ゼロスはシンクに「殺すよ、バカ神子」と案の定冷たい言葉を投げつけられるのですが、このシンクの姿はシナリオの冒頭にゼロスに図星を突かれて反論するミトスとどことなく重なり、攻撃的な言葉選びでありながら微笑ましく感じます。
TOSでゼロスが主に年上の保護者として振る舞っている姿が見られるのは、主に妹のセレスが関わったときです。闘技場に飛び入り参戦するなどの突拍子もない行動に出ることがある妹を時に叱り、時に優しく言葉をかけて兄として振る舞うゼロスの姿は、普段のおちゃらけた雰囲気とは異なる魅力があります。そういったゼロスの保護者としての側面を見ることができたのも、カジノミッドナイトの好きなところです。
もう一つ好きな場面が、ロイドのことを話題にされたときのクラトスの反応です。シンクと言い合いをするミトスに声をかけたとき、ミトスはロイドのことを口にします。
これまで書いてきたように、クラトスはこのシナリオで保護者としての役割を持っています。そして、シンクに対してもミトスに対しても保護者としてしっかり声をかけています。そんなクラトスが、実子であるロイドに保護者として振る舞ってやれと言われたとき、口ごもるところにクラトスの不器用さが感じられます。
恐らくこの時のクラトスは様々な負い目と親子の関係がロイドに知られた気まずさがあって正面からロイドに接することができていない状態だと思うのですが、ミトスとシンクというかなり複雑な境遇の子供には問題無く接することができるのに、ミトスとシンクのように世界を拒絶しているわけでもなく年相応の朗らかさを持っている実子のロイドへの接し方は分からないといのが本当に好きです。クラトスは戦闘が強かったり司令塔として働いていたりとあまり弱みが見られない人ですが、こういった場面でクラトスの完璧ではないところを垣間見ると、四千年もの間天使として生きていながら未だに人間らしさが残っているクラトスの在り方を改めて好きだと感じます。
以上のように、カジノミッドナイトのシナリオはとても楽しんで読むことができるお話でした。TOSやTOAが発売されてから十年以上経った今、今一度キャラクターの魅力を丁寧に書いてくださること、そしてマークやフィリップといった魅力的なキャラクターを生み出し続けてくださることを思うと、始めたばかりながらこのゲームがとても良いものだと感じます。歴代シリーズ作品をできる限りプレイし終わったら、本編のシナリオやスキップして置いてあるシナリオも読みたいと思います。


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