彬子女王殿下 研究の道に進んだことは、祖父・三笠宮殿下の存在が大きかった。後世に日本文化を伝える活動を通して、父・寛仁親王殿下の教えを引き継ぐ
その話を10年ほど前に妃殿下にしたところ、「トモさん(寛仁親王殿下)みたいに勉強嫌いな人はともかく、彬子ちゃんのような勉強好きにああしてすぐ教えてしまっては、ためにならないのではと思っていたわ」とおっしゃって(笑)。 「いえいえ、おじいちゃまのあの教えがあったから、私は研究者になったのです」と熱弁をふるったものでした。 敬愛する祖父のお伝記(『三笠宮親王』)の編纂作業に関わらせていただいた折、妃殿下から三笠宮家100年の歴史について詳しくうかがえたのは、大切な思い出です。お二人が出会われる前、殿下がまだお小さい時からのエピソードを、写真をご覧になりながら楽しげにお話しくださいました。 妃殿下にいろいろなお話をうかがわせていただく時間は、本当に楽しかった。昨年11月に妃殿下がお隠れになられた後、それがもう叶わないことが本当に寂しくて……。失ったものの大きさを改めて感じています。 今後の目標としては、どのようなものがおありでしょうか。 ——実は、私、なるべく目標を定めないようにしております。道を定めてしまうと、ほかにあったかもしれない素敵な選択肢に気づかないまま進んでしまうかもしれません。今いただいている役目や仕事を誠実に務めながら、結んだご縁を大切に歩んでいきたいと思っています。 (構成=山田真理、撮影=三浦憲治)
彬子女王