「エロ広告を始めとしたコンテンツをタバコの様にゾーニングすればよい」は表現規制そのものだと思います。青少年健全育成条例の名の下、様々なコンテンツが不健全図書や有害図書指定され、ゾーニングという形で表現規制されてきた事と同じ構図です。
論点は何が「エロ」なのか、違法なものなのか、だれがそれを決めるのか?と言う事と、「ゾーニング」とフィルタリング等の対応は全く違うものだという点です。
タバコはエロと同じなのか?タバコのゾーニングは、不快だからではなく受動喫煙が他人に害悪や被害をもたらすとして法律によって行われ(健康増進法)、また、低年齢者の喫煙は肺がん等のリスク等、健康への悪影響が大きいという事から20歳未満の者の喫煙は禁じられています(未成年者喫煙禁止法)。規制対象が明確かつ限定的で害悪を数値等で客観的に測れるタバコと、規制対象が不明確かつ無制限で害悪を客観的に測れないエロは、決して同列ではありません。
エロの中には児童ポルノ禁止法や刑法175条で違法なものもあり、これらが公然と人目につくことについては国として対応が必要です(ただし刑法175条については違憲の指摘があります)。しかし、違法ではないものについて、国として対応が必要か、国が対応することが許容されるかは、極めて慎重に考えなければなりません。
単に不快だから、見たくないから、見せたくないからという理由で、法律や行政による規制を求めるということであれば、表現の自由を全面否定することになります。
不快なもの・嫌なものを見たくない人や子どもに見せたくない親は、広告ブロッカーの利用、フィルタリングの導入、ペアレンタルコントロールの設定等、それでも表示されるようなら、そのWEBサイトやアプリは利用しない、広告主に対して要望を行うといったことも可能です。憲法が保障している表現の自由は、違法ではない表現については、不快に思う側において対処することが原則であるはずです。
一方、「ゾーニング」はこれらとは全く違う話です。表現の発信に制約を課すもので憲法上も問題があります。表現の自由は、原則として、内容の制限なく、時・場所・方法の制限なく、自由に表現ができるということです。法律で制限を課す場合には、他者の生命・身体・自由等への害悪が認められ、その制限がどうしても必要でどこまで制限が許容されるか慎重に議論されなくてはなりません。また、法律がなければ行政によって制限することは許されません。
ゾーニングは、表現の時・場所・方法を制限するものであり、表現の規制そのものです。ゾーニングの対象を国が決めるとなれば、規制方法にとどまらず、表現の内容を規制するという大きな問題も生じます。
例えば、赤いきつねのCMは、ゾーニングの対象なのでしょうか?ゾーニングとは、ある特定の人達や層に見せないという仕組みです。その対象か否かで自由に表現できるか、条件付きでしか表現できないのか、表現者から見れば表現規制そのものです。
赤いきつねのCMについては、「この程度なら良いのではないか」とか、「とても見るに耐えないものだ」とか、様々な人がいるかと思います。違法ではない赤いきつねのCM等は、コンテンツの度合いや受け手によって様々好き嫌いがあり、見る側で対処すべきもので、見たくない人の理由で一律ゾーニングの話にするべきものではないと考えます。
民間の事業者などに「自主的な取り組み(自主規制)」を促すことはどうでしょうか?問題がないと感じる人もいるかもしれませんが、立法府や行政府、つまり国会議員や官僚が、法律ではできないエロ広告のゾーニングを促すことには、立憲主義の潜脱にも繋がりかねないと考えています。民間の事業者が完全に任意で行う自主的なゾーニングについては、事業者の表現の自由の行使という側面もあります。しかし、その事業者の公共性・公益性が高い場合、国民の表現の自由を制約する効果が大きく、完全に自由に認めてよいものとはいえません。このことは、クレジットカード関連会社による表現の規制が、基準の曖昧さや運用の恣意性により、国民の適法な表現を大きく萎縮させていることからも理解できると思います。
これまで幾つかの自治体では、青少年健全育成条例の名の下、様々なコンテンツがその判断基準も分からず有害図書指定され、ゾーニングという形で表現規制されてきました。その結果、その自治体の書店でゾーニングがなされるだけでなく、全国のネット販売(例えばAmazon)からも排除され、創作活動継続の死活問題となっている例もあります。
コンテンツをタバコの様にゾーニングすればよい、は非常に乱暴な表現規制の容認だと思います。
Quote
産経ニュース
@Sankei_news
「エロ広告が話題ですが…」国民・玉木代表「表現の自由守る」
sankei.com/article/202503
「例えば、たばこを吸う権利は守りますが、受動喫煙を避けるために、吸う場所と吸わない場所を分けること(ゾーニング)が必要なのと同じです」と述べ、エロ広告にもゾーニングが必要だとの認識を示した。
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