今、NGT48に思うこと

今年9月、元NGT48の山口真帆さんが所属事務所の研音を退所した。新潟住みとして、発足当初からNGT48を応援(といってもCDやグッズを買うくらいで、劇場も外から眺める程度のこっそりファン)していた立場からみると、今でもあの事件が残念でならない。
事件について、真相が見えないネット情報だけを鵜呑みにして、「山口さんの虚言だ」とか、「いじめた黒メンバーはこの人たちだ」とか大騒ぎして、そしてその騒ぎを増幅させたマスコミたちの奮闘ぶりも、今思うと滑稽だった。

中には某スポーツ紙のように悪意に満ちた記事まで登場して、ネット民を沸かせた。その内容はおおよそ、
「養生テープが巻かれ新潟の港で発見された女性の遺体が、辞職したNGT48の元マネージャーではないだろうかと推測。マネージャーをいじめて海に沈めた犯人は、以前SNSで養生テープの使い方をおもしろおかしく紹介していた黒メンバーと言われているふたりかもしれない」
と報道し、SNSの動画まで引用してNGT48のイメージ失墜を演出した。当時はそんな風に、メンバーのSNSのちょっとした言葉尻を切り取って記事にする報道やネット民からの「情報提供」が、なんのお咎めもなく平然と流されていた。今それらを一覧して見直したら、誹謗中傷どころではないだろう。
元マネージャーは記事を見て「自分は生きている」と憤慨したらしいが、逆にNGT48を守ろうとする記事は、ネットニュースでほんの小さく取り上げられる程度だった。
当のスポーツ紙からの謝罪や訂正はなかったように記憶している。
当時は、そんなフェイク記事があっても気にしてもらえないほどNGT48は、良識を自認している日本中の人たちから非難を浴びていた。

地元でがんばっているアイドルグループのスキャンダル。でも、一番悪いのは、山口さんのマンションを襲撃したやっかいなファンふたりの暴走。捕まってそれなりの制裁を受ければそれで終わり。「いずれ大人たちが社会のルールの中でなんとかするだろう」と、正直その落ち着く先に不安はなかった。
しかしそれは楽観だった。マスコミが山口さんのSNSと、運営の優柔不断な対応を報じるたびに、NGT48への風向きは強さを緩めなかった。

事件について、ぼくはWikipediaの情報しか参考にしない。Wikipediaの情報が本当に正しいのか、というよりも、あそこまで簡潔に、客観的に、時系列にブレがない事実だけを伝える情報は、本当にわかりやすい。
事件の内容を客観的に知るたびに、NGT48のメンバーが本当に不憫で、山口さんが情けなくなった。

あの事件でよく耳にしたのが前出した「優柔不断な運営がだらしない」「山口さんの信頼を失った運営が一番悪い」という、運営側に対する批判。
ぼくも初めはそう思っていた。「本当に悪いやつをあぶりだせ! 運営、しっかりしろ」。
その後、事件に関して不適切な行動をした思われるメンバー(二期生)は解雇された。
そして、今後の活動に不安を覚えた何人かのメンバーは活動を辞退した。
「本当のことを話す」と言っていた支配人は、更迭された。
メンバーは悪くない。それに関係する人たちも、たぶん悪くない。悪いのはやっかいなファンだけのはず。
答えはひとつだけだと信じていたのに、「本当に悪いやつをあぶりだせ」の気質は変わらず、事件が和解した後もエスカレートする一方だった。

それ以来、山口さんは口を閉し、残されたメンバーたちもそれに触れようとはしなかった。
運営は、もうオワコンと称されたNGT48を守るために必死だったであろう。
終わらせてしまったら、不本意にも日本史上で稀に見る「黒いアイドルグループ」として、いかに虚偽であろうがその名が刻まれてしまう。多くの良識を自認している日本中の人たちは、「ほら、やっぱり」とネットに書き残すだろう。
メンバーたちもその「黒いグループ」に存在していた「元NGT48」として、活躍の場を変えても「イメージが悪い」と言われ続けるかもしれない。

例えば運営が、山口さんの証言が「嘘」だと躍起になって、山口さんを訴えたとしよう。事実、NGT48の保護者会が山口さんを営業妨害(だったと思う)で訴えたが、すぐに運営により却下された。
山口さん擁護派は「山口さんが正しいから訴えることができない」と持論を正当化させていたが、それは逆だと思う。新しい事務所でがんばろうとする山口さんが裁判で傷つかないように、運営として守ったのではないだろうか。山口さんととことん争って、矛盾点を精査すれば、たぶん山口さんは傷つくし、今後の芸能活動に支障が出るに違いない。
そして同時に、「黒メンバーを排除さえすれば、元のクリーンなNGT48に戻ることができる」という一般的な意見に乗って、根拠なくメンバーを解雇してしまったら、彼女たちは「やっぱり黒だった」と思われ、一生を棒に振るかもしれない。

しかし結局、運営側の「どっちも守りたい(あくまでも個人的な意見)」というあやふやな姿勢が、今やAKBグループの存続にまで波及しているのだから、正直やるせない。

疑われるのが辛くて、きっと泣きながら「辞めたい」と訴えるメンバーも何人かいたと思う。自分が親だったら、これはもう耐えられない。でも、ここで辞めてしまったらネット民が「やっぱりそうだ!」と、今まで以上に盛り上がるから、運営は耐えることを勧めたと思う。しかし、未だにあの事件を発端に根拠のない中傷を受けている卒業メンバーもいる。
中傷をしている人たちは、一体何を知って中傷しているのか、ぜひ直接聞いてみたい。「たくさんの人がやってるから」では済まされない。

NGT48をAKBグループの中でいちばんのグループにしよう!とかなり力を注いでいたソニー・ミュージックレーベルズも手を引き、コロナ禍で公演もままならず、常に非難にさらされてきたメンバーたちは、一流の事務所に移籍してテレビでほほえんでいる山口さんの姿を、どんな思いで見ていただろうか。

事務所も解体・移籍し、レーベルもユニバーサルに変えて再出発したNGT48がようやくリリースできた5枚目のシングル「シャーベット・ピンク」。そのミュージックビデオの最後で流す藤崎未夢さん(現キャプテン)の涙が、それまでのいろいろな想いを象徴していた。

今現在、事件当時のメンバーはほとんど卒業、または活動辞退しているけれど、NGT48は今も元気に活動している。
仕事やフェスも、以前とまではいかないけれど、回復している。
運営も含め、よくがんばったね、と労いたい。
そしてファンの皆さんも応援を続けてくれてありがとう、と感謝したい。

山口さんの退所という現実の中、改めてあの事件がなんだったのか。
今までずっと思っていたことを、この機会に脈略なく書いてしまった。
個人的な思いです。不快に思った方がいたら、ぜひNGT48のyoutubeチャンネルで彼女たちの楽曲を聴いてみてください。いい曲がいっぱいありますよ。それでも嫌いな人は、お願いですから一生無視してください。

最後に、山口さんの退所と時期を同じくしてNGT48を卒業した中井りかさん。グループを初期から引っ張ってくれたりかさん。彼女の卒業コンサートのステージに集まった元NGT48一期生のみなさんの笑顔が、とてもうれしかった。みなさんは挫折しなかった。本当に強く、いつまでも清々しい人たちです。
これからもこっそり応援しています。

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今、NGT48に思うこと|エム・ヒロ
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