今村昌平監督の「豚と軍艦」など、映画やテレビ、舞台で幅広く活躍し、故南田洋子さんとのおしどり夫婦で知られた俳優の長門裕之(ながと・ひろゆき、本名・加藤晃夫=かとう・あきお)さんが21日、亡くなった。77歳だった。自宅は東京都世田谷区赤堤3の27の17。
父は俳優・沢村国太郎さん、母は女優・マキノ智子さん。6歳の時から子役として活動を始め、1943年に映画「無法松の一生」で人力車夫の松五郎にかわいがられる遺児を演じて注目された。
立命館大学を中退して、本格的な俳優活動を開始。58年に今村昌平監督の第1作「盗まれた欲情」に出演して以来、今村作品の「にあんちゃん」で炭坑夫、「豚と軍艦」でやくざ役をそれぞれ主演し、ユーモラスで哀感をたたえた演技が高く評価された。
61年には、映画「太陽の季節」で共演した南田さんと結婚。65年から81年まで、フジテレビの音楽番組「ミュージックフェア」の司会に夫婦で起用され、おしどり夫婦ぶりを印象づけた。2004年頃から、認知症を患った南田さんを介護していたが、2009年南田さんを亡くした。弟は俳優の津川雅彦さん、義妹は女優の朝丘雪路さん。
(記事全文引用:読売新聞

長門さんというと、私は日本テレビ系のドラマ「池中玄太80キロ」の印象が強い。西田敏行扮する、鳥が好きな駆け出し新聞記者「池中玄太」の上司であり編集長の楠木を演じていたのが長門さんだった。玄太と口角泡を飛ばして激論する楠木の熱血ぶりが印象に残っている。

晩年の長門さんというと、やはり南田洋子さんの介護が思い浮かぶ。「老老介護」という言葉まで生み出したその献身ぶり、介護の末に重度のくも膜下出血で倒れた南田さんに「どうすることもできない。一生分のキスはしてやりました。これはサヨナラということです。覚悟は決めてます」と気丈に舞台に立ったという姿。

その南田さんの後を追うかのような長門さんの訃報。2年間待っていた南田さんと、天国でも仲良く暮らしてください。ご冥福をお祈りします。合掌。