新しいものづくりがわかるメディア

RSS


Raspberry Pi Pico W搭載の血圧測定デバイスを自作するプロジェクト——心電図測定も可能

Raspberry Pi Pico Wを制御基板として搭載した血圧測定デバイスの自作プロジェクトをRaspberry Pi公式ブログが紹介した。

Miloš Rašić氏の祖母は高血圧を患っていて、デジタル血圧計を毎日使用していたが、血圧計によって測定値が大きく異なりバッテリー残量によって性能が変わるという問題があった。この課題を解決すべく、Rašić氏は大学の修士論文プロジェクトとして、Raspberry Pi Pico Wベースの心電図信号測定デバイスの開発に挑戦した。

血圧測定のさまざまなアルゴリズムをテストしたいと考えて、他の人たちも実験できるプラットフォームとしてこのデバイスを作製したとのことで、医療機器としての認証は目指していない。

Cardiography Signal Measuring Device

Raspberry Pi Pico Wを中心に構築されており、血圧測定用の腕帯(マンシェット)内の空気圧を測定し、小型エアポンプと電磁弁を制御している。その他のハードウェアとしてNeoPixel LED、OLEDディスプレイなどを備えており、電源には18650型リチウムイオン電池を採用している。

また、心電図測定機能に加え、光電式容積脈波(PPG)クランプも備え、クランプに人差し指の指先をはさんで微小血管床での血液量の変化を検出できるようにした。

Cardiography Signal Measuring Device

ECG心拍数モニタリング用「AD8232」のカスタム回路をPCBに組み込んだうえ、PPGクランプには血中酸素飽和度測定に適したMIKROE製「Oximeter 5 Click」アドオンボードを使用してI2C通信でシステムと連携させている。血中酸素飽和度の測定に使用するPPGクランプを、上腕に巻く腕帯と組み合わせて使えば、腕帯内部の空気圧が拡張期血圧(最低血圧)と等しくなった瞬間を正確に高精度で検出できるようになるとしている。

さらに、通常の聴診器をこのデバイスと接続させるために、聴診器から耳管部を取り外してチューブに小型圧電マイクを挿入した。聴診器と手で操作するエアポンプを使う血圧測定方法は今もなおスタンダードな方法であり、聴診器の信号から何か分かることはないか確認したかったためだという。

Cardiography Signal Measuring Device

測定した値はリアルタイムでグラフィカル表示可能で、データはCSV形式で記録できる。測定値を表示および記録するグラフィカルインターフェースの開発にはPythonを使用しており、ファームウェアはC++で記述している。

筐体とPPGクランプは3Dプリント製で、STLファイルとSTEPファイルはGitHubとPrintablesで公開されている。プロジェクトはオープンソース化されており、GitHubで回路図やガーバーファイル、ソースコードなども提供している。

関連情報

おすすめ記事

 

コメント

ニュース

編集部のおすすめ

連載・シリーズ

注目のキーワード

もっと見る