「カーネーション」より (C)NHK

3.11を挟んでの制作…朝ドラ『カーネーション』が「喪失」の中で描きたかったこと〜制作統括が語る

城谷厚司インタビュー 第4回

クランクイン時にすでに最後のシーンを思い描いていた

――個人的に一番好きなのは、人の老いや文化の衰退など、陰りを丁寧に時間と共に描いているところです。神戸の豊かなおじいちゃんおばあちゃんの家が、息子に世代交代したり、糸子の父・善作が店をやめるときに1人、看板を見上げたり。

城谷:そうですね。そういう大人たちの衰えを目の当たりにするところは糸子が成長していく上で、とても重要なポイントでした。象徴的だったのは、クリスマスケーキを買ってきた糸子が善作に張り倒されるシーン。たまらず神戸のおじいちゃん、おばあちゃんに会いに行くのですが、そこで二人の老いた姿を見て甘えられないと悟る。そこからの立ち直りの早さ、落ち込んでもすぐに浮上する力が糸子のとても大切なキャラクターだったんです。

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――糸子自身のナレーションによる「死にました」から第1話オープニングにつながるラストまで見事な構成でしたが、最初から決めていらっしゃったんですか。

城谷:糸子が亡くなるまでを描こうとは思っていましたが、亡くなるのは150回。亡くなった後にもう1回やる、というところまでは決めていました。最後の151回はあやさんに自由に書いていただいたのですが、最終回の原稿というものをあれほど楽しく、幸せな気持ちで読んだのは初めてでした

クランクインしたばかりの頃に、あやさんもロケ現場にいらして、「陽だまりとか川面のきらめきとか、鳥の声とか、そうした実景をたくさん撮っておいてくれませんか」とおっしゃったんですね。それで、「わかりました、意識しておきます」ぐらいの感じだったんですが、最後の回に、糸子に見立てた鳥が自分の好きなところに飛んでいくみたいなシーンを書かれていて。最初の段階で最終回のこのシーンをもう思い描いていたのかと思って、びっくりしたことも覚えています。

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