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(4)流れ星 [ドラマレビュー]

『 流れ星 』
第4回
( 2010年 フジテレビ
 公式サイト
演出:並木道子 脚本:臼田素子、秋山竜平
 出演:竹野内豊、上戸彩、北乃きい、松田翔太、稲垣吾郎

これまでのレビューでは主に本作の演出面に触れてきましたが、今週はストーリー上、大きな(?)進展があったので、 今日は今後のストーリー展開について言及してみたいと思います。

第3話までは、健吾(竹野内豊)が妹・マリア(北乃きい)の病を治すために、梨沙(上戸彩)に臓器提供を依頼し、形式的な婚姻を結ぶというあらすじで、今後の展開としては当然主人公二人の恋愛関係が注目されるところですが、今回はこのドラマが今後注力して描いていくであろう表現上のテーマについて掘り下げてみたいと思います。

ここまで見ていてはっきりしていることは、このドラマはふたつの兄弟の対比を描いているということです。「健吾=マリア」の兄妹は、健吾が必死に妹を救う方策を探していることからも強い絆がうかがえますが、「梨沙=修一」の兄妹は、共依存的関係を互いに断ち切れずにおり、梨沙は健吾とマリアの兄妹を羨望の気持ちを持って見守っています。

そのような兄弟の対比を前提に、私が今週回を見るまで考えていたこのドラマの概観としては、梨沙が今や「血」のつながりのみで成立している兄との関係を、極めて形式的に過ぎない「血以外」のつながりである健吾(竹野内豊)との関係によって断ち切っていき、いつのまにか互いに恋愛感情が生まれていくというような流れを漠然と予想していました。しかし、今回の終盤に出た健吾の母・和子(原田美枝子)の台詞で状況は一変します。

「お父さんとあの人が生きていたら・・・マリアを助けられたのかしら・・・」

あの人!!!私は思わず声を出してしまいました(^^;。

この台詞について冷静に頭を整理して考えると、健吾とマリアは異母兄妹ないしは血のつながらない兄妹ということになるはずです。その筋道は割愛しますが、要は健吾は血がつながっていない、あるいは理由ありの妹のために形(なり)振りかまわず、梨沙との形式的結婚という重大な決断をしていたわけで、血がつながっているのにどうしようもない関係を継続している梨沙と修一兄妹との対比は、より鮮明になってきたということができるでしょう。

こういう図式がすんなり頭に入ってくるのは、NHKの朝ドラ『てっぱん』の主人公・あかりが置かれている境遇とかぶるからでしょうか。私はそのような前提では一見ありえないように見える健吾のこれまでの行動にも大いに納得できるし、健吾とマリアの歳が離れすぎていることや母・和子がマリアの病室に入らないことなどの状況もこの事実を裏付けているような気がします。

それにしてもあの何気ない台詞一発で状況を一変させてしまうこの脚本はやっぱり優秀です。ここまでそれなりにあった健吾の家族についての漠然とした謎をこの台詞で解決させ、その台詞がさらに新たな謎を呼ぶというところはとても高度なテクニックだと思います。私は「あの人」は健在で、終盤にかけて登場してくる可能性(というより願望か?^^;)があるような気がします・・・。

ストーリーについてはとりあえず今日はここまでにして、もうひとつ取り上げておきたいシーンがあります。このドラマが役者さんのお芝居をじっくり見せるような演出手法を基本としているということにはすでに触れましたが、そのような演出がはっきりと感じ取れるシーンが序盤にありました。今回は連続ドラマは初演出となるサードの並木道子さんの演出でしたが、しっかりと宮本演出を踏襲してくれていることがよくわかるシーンでした。

スーパーで買い物をしていた健吾(竹野内豊)が理沙(上戸彩)と遭遇したシーンは、二人の全身が入る広い画面で捉えて、二人のひとつひとつの動きをじっくりと見せる長めのカットになっています。私は理沙と会話をしながら右に左に野菜をかごに入れていく竹野内さんのお芝居に終始釘付けでした。ひとつひとつの動きに役柄についての情報が詰まっているような気がして目が離せない、というより自然と「見ちゃうお芝居」とでも言えばいいのでしょうか。

また、このドラマでは食卓で食事をするシーンが毎回登場していますが、こういう「日常表現」というものは最も難しいお芝居のひとつであり、役者さんとしてはあまり余計なことはしたくないという心理が働きがちな部分だと思います。それにもかかわらず主演のお二人は、食事のシーンに役柄のキャラクターをつぶさに表現するような繊細なお芝居を積極的に織り込んでおり、私はこのドラマのひとつの見所にしています。

さて、このドラマのアウトラインと方向性がおぼろげながらわかり始めたところで、私としては早くも若干の達成感のようなものを覚えており、次回以降は少し落ち着いた気持ちで、主演のお二人のお芝居や宮本演出を堪能できそうな気がしてワクワクしていると言ったところです。

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    コメント 6

    テンコ

    お久しぶりで、お邪魔いたします。
    1話からの記事を読ませていただきました。
    さすがのジャニスカさんの解説で、なるほど、なるほどと感心しきりです。

    このドラマ、あまり期待していなかったのです。
    特に上戸彩さんはいままでのCMなどのイメージが強すぎて、どうなんだろうか?と思っていました。
    でも、今はこのドラマに引き込まれています。
    画面をじっくりと凝視してしまいます。クラゲ、海、風景も心地よくて。
    ジャニスカさんのおっしゃるように、スーパーでの買い物シーン、食卓でのシーン、本当に釘付けになりました。
    ストーリー、演出、共に素晴らしいのですね。
    私は詳しいことはよくわかりませんが、この全体の雰囲気の良さ、ストーリーの展開の自然さ、竹野内豊、上戸彩の演技の良さ(演出の良さ)で、主人公達へ感情移入がすんなりできてしまいました。とにかくドラマは視聴者を感情移入させたら成功じゃないでしょうか。

    4話の最後のセリフはそういう意味だったんですね。
    私は何も思いつきませんでした。
    先が簡単に読めてしらけてしまうドラマが多いですが、この「流れ星」は先が本当に楽しみなドラマです。


    by テンコ (2010-11-10 17:41) 

    ジャニスカ

    テンコさん、どうもお久しぶりです!
    このドラマ、スタートは地味でしたけど、ちまたの評価はじわじわと上がっているようですね。
    良質なドラマが正当な評価を得るようになって、このドラマのファンとしては嬉しいところです。

    上戸彩という人はなかなか奥の深い女優さんだと思います。
    バラエティ番組でもたまに拝見しますが、人柄の良さがまっすぐ伝わってきて、
    真面目な方なんだろうと勝手に想像しています。
    彼女のお芝居についても追って言及できればと考えています。

    >画面をじっくりと凝視してしまいます。

    そうですねー。
    テレビドラマで「画面を見ちゃう感じ」って本当に久しぶりに味わっているような気がします。
    全体の雰囲気の良さはこのドラマの最大の特徴で、ひとえに演出のなせる業だと思います。
    そして、感情移入がすんなりできてしまうのは、演出が押し付けがましくなく、
    視聴者が能動的に雰囲気を感じ取るという作業を自然と行っているからだと思います。
    視聴者をそう仕向けるのって簡単なことじゃないと思うんですけど、
    このドラマの作り手は本当にいい仕事をしてくれています。

    このドラマを「月の恋人」と同じテレビ局が作っているとは信じられませんね、、、
    「月の恋人」はあんなんでしたけど、今度の月9ではいいドラマの感想を共有できそうですね(^^)。
    来週も引き続きお立ち寄り下さい!
    by ジャニスカ (2010-11-10 20:53) 

    ひとやすみ

    ジャニスカさん、えっと・・・はじめまして。
    先日、ブログにリンクを貼らせていただいた、ひとやすみです。
    4話のUPありがとうございます。
    またまた貼らせて頂きます。

    「お父さんとあの人が・・・・」
    このセリフで、謎が解けたようで、かえって深まったような・・・・・
    たったこれだけなのに。
    やはり、脚本の上手さなんでしょうね。

    すんなりドラマに入り込めるのは、いろいろな業があったんですね。
    そうそう、演出が押し付けがましくない・・・
    自然に感情移入してしまいます。

    えっ、ジャニスかさん、スーパーで竹野内さんがカゴに入れてくところですか?
    何気なく見過ごしてましたが、計算された演技だった!?

    ジャニスカさんのレビュー、興味深く読ませていただいてます。
    これからも、よろしくお願いします。
    by ひとやすみ (2010-11-11 23:00) 

    ジャニスカ

    ひとやすみさん、ご来訪&コメントありがとうございます!
    リンクを張って下さって以来、多くの方に訪れていただけるようになって、大変感謝しております。

    「お父さんとあの人が・・・・」

    この台詞はスゴイですね。ネット上で視聴者の反応を見てみると、
    様々な議論を呼んでいるようで、作り手がどこまで意図していたかはわかりませんが、
    この台詞一発でここまでの盛り上がりを見せているのは間違いありません。
    その中に「健吾とマリアは親子説」みたいなのもあって驚きました(^^;。

    スーパーのシーンは計算と言うほどのものではないと思いますが、
    竹野内豊さんも上戸彩ちゃんも全身が写っているという前提でお芝居をしているはずなので、
    その上で役柄の何を表現ができるかということを考えてお芝居していると思います。
    たとえば野菜を手にとって何気なく視線を向ける仕草などは
    普段から買い物を日常的に行っている人物の動きということになるでしょう。

    「計算」と言う意味で言えば、食卓のシーンは多分にその要素が感じられるところだと思います。
    たとえば上戸彩ちゃんのお箸の持ち方とか卵焼きに箸を刺して口に運ぶような粗野な食べ方は、
    役柄の「育ち」を表現するという計算が感じられる部分です。

    すいません、レビューの続きみたいになってしまいました、、、(^^;
    竹野内さんのお芝居にもできる限り触れていくつもりなので、
    これからもよろしくお願いします。
    by ジャニスカ (2010-11-12 09:14) 

    ひとやすみ

    またまたお邪魔します。

    ジャニスかさんが言われた、
    >たとえば野菜を手にとって何気なく視線を向ける仕草などは
    > 普段から買い物を日常的に行っている人物の動きということになるでしょう。
    ここ! 私も、あれっ、竹野内さん普段からスーパーに行ってるの??
    野菜とか日用品を買ってるの~~?
    と思ってしまうほど自然でした。
    だから、自然すぎて流してしまったような。
    日常のシーンが何気ないので、演技をしていることを忘れて見ているようです。

    かえって違和感のある俳優さんだと、
    こんな風な所作はしないとか思うのですが・・・・


    by ひとやすみ (2010-11-12 23:51) 

    ジャニスカ

    ひとやすみさん、こんばんは。

    竹野内さんは普段からスーパーに行ってると思いますよ。それも役作りのために。
    少なくとも普段の生活の中でお芝居の着想やヒントを模索しているはずです。
    私は竹野内さんはそこまでのことをしている俳優さんだと思います。

    >かえって違和感のある俳優さんだと、
    >こんな風な所作はしないとか思うのですが・・・・

    そういうことなんです。
    実力のない俳優さんは余計なことをしないんですよね。
    そういう消極的なお芝居では、当然役柄は薄っぺらになってしまうわけです。
    また、あのような細かいお芝居を積極的に撮ろうとする監督がいなければ、何の意味もなくなってしまうということも重要です。

    そうこうしているうちに、もう明後日ですね。ワクワク楽しみです(^^)。
    by ジャニスカ (2010-11-13 22:00) 

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