2025.02.18
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沢渡あまね氏(以下、沢渡):傳さん、ネガティブ・ケイパビリティって、私とこの企画の話をする以前には聞かれたことってありましたか?
傳智之氏(以下、傳):はい。主にXでちらほら目にすることはあって、定義も一応わかるはわかるけど、ちょっとぴんと来ないのかな? というような概念でしたね。
沢渡:ありがとうございます。おっしゃるとおりで、私もネガティブ・ケイパビリティに出会った時、なんとなくわかるけどフワッとしているなと思ったんですね。
主に日本では、どちらかというと精神医学や心理学の先生が最初に意味付けをされた背景がありまして。これはこれですばらしいことなんですが、「では、それを日々の仕事やビジネスにどう応用したらいい?」というところは、私もなかなか腑に落ちていない部分がありました。
ゆえに今回は、「ビジネスのシーンや、私たちの日頃の仕事に関係する意味に置き換えたらどうだろう?」ということで、この本を傳さんと一緒に共創しました。
「ネガティブ・ケイパビリティとは何か?」諸説あり、さまざまな意味付けがされているんですが、この書籍では画面のとおり「すぐ解決しようとしない行動特性および能力」と定義して話を進めています。
ネガティブ・ケイパビリティみたいなことを言うと、「そんな、また横文字を使いやがって」って、面倒くさいことを言ってくる人たちもたくさんいます。
「それくらい自分で調べて学びやがれ。そんなことを言っているから日本は沈むんだよ」って言いたくもなったり、自分のポジティブ・ケイパビリティの部分も出そうになるのですが、そこはグッとこらえて(苦笑)。
沢渡:周りの方に「日本語で言え」とか「また英語の小難しいことを言うな」という顔をされるのであれば、日本語の格言で言いかえてみてください。ネガティブ・ケイパビリティは日本の格言でも意味付けされています。
例えば「急がば回れ」(笑)。目先の成果を出すばかりでなく、すぐに解決したい気持ちをこらえて、急がば回れ。または「急いては事を仕損じる」なんて表現もある。傳さん、3つ目をちょっと読んでもらっていいですか?
傳:はい。「早く行きたければ一人で行け、遠くへ行きたければみんなで行け」。
沢渡:そう。おっしゃるとおりです。プレイングマネージャーなど、「自分でやったほうが早い」と言って、任せたふりをして任せたメンバーから仕事を取り上げて自分でゴールを決めちゃう。まさにこれですよね。
確かに手っ取り早いんですが、それをやってしまうといつまで経ってもメンバーや後任が育たないですよね。あるいは、あなたもマネージャーとしてマネジメントする機会や能力を失ってしまいますよね。
ゆえに、早く行きたければ1人でゴールを決めるのもよいのだが、組織とともに遠くへ行きたければみんなで行く。ポジティブ・ケイパビリティ、すなわち目先の成果をすぐ出す呼吸はいったん改めましょうね、ということが言えると考えております。
ここでぜひみなさんに振り返ってほしいんです。スピード優先、目先の成果、効率性優先、「それ、儲かりまっか?」などを優先するあまり、うまくいかないと思っていること。関係性がぎくしゃくしているなとか、あるいはみなさんの心が痛むなとか、大なり小なりさまざまあると思うんです。
仕事とプライベートのいずれでもかまいませんので、「うまくいかないと思っていることはありませんか?」と、ぜひ振り返りながら、ここから先の話を聞いていただきたい。あるいはみなさんが職場に帰った時に、何かのタイミングでこのような問いを投げかけてほしいと思うんですね。
私たち一人ひとりのペイン・痛み、あるいはその逆でワクワクでもいいです。「こういう環境になったらもっと私はワクワクできる」とか「メンバーが明るく楽しく自信を持って仕事に向き合うことができる」でもよいと思うんですが、ぜひ自分自身のペインや生きにくさに正直になっていただきたいと思います。
沢渡:ここからはまずは序章で、「ネガティブ・ケイパビリティとは何ですか?」の解説です。書籍にも書いてありますが、考える軸となる比較の図がありますので、簡単に見ながら次に駒を進めたいと思います。
ポジティブ・ケイパビリティ、ネガティブ・ケイパビリティの特性比較の図を序章でも示しています。左がポジティブ・ケイパビリティで、すぐに、効率優先。右がネガティブ・ケイパビリティで、じっくり答えを出していこう、焦るな。この行動の特性を示しています。
長いので2ページに分けているんですが、傳さんはこの表を見て、「ここが気になる」「ここ、アイタタタ」とか、あったりしますか?
傳:(笑)。気になると言えばどれも気になるところはあるんですが、「対話」ですかね。対話って、意外とするようでしない。1on1とかの機会があっても、対話になっていないとかね。
あと、対話というものをしている実感がなかったり。「そういうものに時間を取ること自体が面倒くさい」とか「時間がかかるから」ということで、なんか敬遠されがちな組織はけっこうあるんじゃないのかなと思います。
沢渡:おっしゃるとおりですね。1on1ブームですけれども、対話らしきものは行われているが、実際は一方的に自分たちの組織の「べき論」を押しつけるだけ。あるいは個の主張をしているだけのような場もあるわけで、対話らしきものは行われているが、結局は何も解決しないし、不快感しか残らないし、一方的な押しつけしかないよねという職場はたくさんあると思うんですね。まさにおっしゃるとおりです。
では、対話って本当にできているんだろうか? そもそも対話を成り立たせるためには能力開発しなければいけないのではないか? このような次なる問いが立つのではと思います。
ちなみにみなさんに注意いただきたいのが、決めつけている図ではないということです。この図は私たちが400以上の組織を見て、「ポジティブ・ケイパビリティが優位と思われる行動特性はこっちじゃないかな?」「これはネガティブ・ケイパビリティではないかな?」と、便宜上たたきとして当てはめているだけです。
人によっては「いや、むしろこっちは逆なんじゃない?」というところはあると思っています。これはまさに「余白重視」と書きましたが、余白を持ちながらみなさんなりの意味付けをする行為です。建設的なクリティカルシンキングでの、「いや、これはもしかしたら違うんじゃない?」といった意見や議論も大歓迎です。
この図はあくまでも二項対立をあおるものでもなければ、決めつけるものでもないです。ただ、「どちらかに偏りすぎていて、うまくいっていないのではないか?」という問いを立ててほしいと思います。
沢渡:次のページもいきましょうかね。ポジティブ・ケイパビリティが優位な組織、ネガティブ・ケイパビリティ優位な組織で、このような違いもあるのかなと思います。傳さん、こちらはいかがですか?
傳:そうですね。もともとのネガティブ・ケイパビリティでよく言われる、「答えはやがて現れる」という不確実性に対するもやもやみたいなものって、なかなか耐えにくい人がけっこう多いのかなと思います。
沢渡:ありがとうございます。おっしゃるとおりですね、すぐに答えが出せない、すぐに解決できないのは気持ち悪い。こういう感情は「あって当たり前さ、にんげんだもの」だと思うんですね。とりわけ、すぐに成果を出すことが正義の畑で育った人たちほど受け入れ難いと思うんですが、まずはそこは違うという考えを受け入れていく。
もう1つ別のベクトルがあると思っていて、すぐに答えが出せない状態を楽しむ、という発想も大事だと僕は思うんですね。この書籍の中でも後半で出てくるかな? 偶然の出会いや偶然の発見を楽しもう、大切にしようということを、実は僕が今書いている別の書籍でも説明しているのです。
私たちも経験があると思うんですが、何か仕事に取り組んでみて、もともと計画された答えはまだ出ていないのだが、意外な収穫があったことってあると思うんですよね。「こういうやり方もある」と、わかったり。
例えば、最初は20代の若手に向けて作った商品があったとして、蓋を開けたら50代に売れた。別にこれは失敗でも何でもなくて、向き不向きがわかったという事実です。このような、「意外な収穫を楽しんでいく」発想で、さまざまなバリエーションの答えを楽しむ文化、行動も育んでいきたいです。
これはイノベーションの話にも当てはまります。イノベーションって予定調和では面白みがないし、計画どおりやるだけでは生まれにくい。人のエンゲージメントも上がりにくいという調査結果もあったりします。
沢渡:意外な発見や意外性によって、人のモチベーション、エンゲージメント、あるいは世の中の人たちを感動させるものが生まれる。イノベーションや新規事業とネガティブ・ケイパビリティは実は相性がいい。本書ではそのような説明もしています。
このような特性の比較もしつつ『「すぐに」をやめる』の第1部では、「ネガティブ・ケイパビリティ欠乏症」がもたらす職場のもやもやと、なぜそれが問題なのかをストーリーと解説でつづっています。
ストーリーは、まずはみなさん自身が「えっ、これって問題なんだ?」と思えるものもあると思いますが、ぜひ読みながら「おやっ?」と思ってほしいんですね。あるいは周りの人たちに「おやっ?」と思うきっかけを作ってほしいんです。
そのくらい私たちは悪気なく、ポジティブ・ケイパビリティ重視の行動、思考にまみれてしまっている。そこを、まずは1回「おやっ?」と思う。自分たちのやり方をメタ認知、客観視することが大事だと思っています。第1部では打ち手は書かずに、事象と、なぜそれが問題になり得るのかの問いを立てるところにとどめて書いています。
傳さん、いかがでしょう? これを見て、「ここが気になる」「一番グサッと来る」「ここが読ませどころ」みたいなものがあれば、いくつかわちゃわちゃ(トークを)やっていきましょう。
傳:やはり5つ目の「テレワーク原則禁止」は、ちょうどこれも2024年の秋か冬ぐらいに大手(企業)さんの話で話題になって。
沢渡:そうですね。
傳:ちょうど本の編集しながらのタイミングだったと思うので、「あぁ」と思いながら読んだ記憶があります。
沢渡:ありがとうございます。「テレワーク原則禁止! 副業なんてもってのほか」という5つ目のストーリーは、まさに「ネガティブ・ケイパビリティがなさすぎではないか?」という視点で書いています。
もちろん、そのような文化を完全に否定するわけではなく、組織のフェーズや回しているビジネスモデルによっては合理性がある部分もある。あるいは対面でやったほうが、確かに短期的な成果が出しやすい部分があるのも承知の上です。
沢渡:一方で、「大切なものを失いすぎていませんか? チャンスを逃していませんか?」という話もここでしています。特にこの「テレワーク原則禁止、副業禁止」を大都会や東京などの企業でやられすぎると、どんどん地方に人が来なくなる。
例えば地方在住や、地方に移住してそこからフルリモートワークなりハイブリッドワークで能力を発揮する人たち。(この人たちが)東京の企業に対して能力も発揮しながら地域に足を置くことによって、アフターファイブや副業で地域の企業の課題解決を手伝ったり。あるいは地域にいることによって、地域にお金が落ちる部分は多分にありますから。
このように、まさに両輪を回す。都市と地方の両輪を回している方が、せっかくテレワークや副業で盛り上がってきたのに、(東京の)自社の成果を出すためだけに、また東京に人と能力を全部かき集められる。
地方創生2.0と言われている文脈において、私たちも浜松、豊橋、愛知県設楽町、中山間地ほか地方都市で事業展開や共創を実践している立場においても、この風潮にはイエスとは言えない。その思いも込めて筆を走らせました。
「自社の目先の成果を出す上では、自社さえ良ければいいのかもしれないけれども、ここから先のさまざまな社会課題、あるいは本人のウェルビーイングや地域の経済成長を考えた上でも正解なんですか?」という問いも立てながら、ネガティブ・ケイパビリティの観点で物申しています。
ちょうどこの週末に私はFacebookとXで次のような書き込みをし、反響を得ました。(今後)地方創生ブームになると、地方創生の補助金に群がる東京のコンサル企業などがいっぱい出てくると思うんです。
かたやそういう会社の中には、「原則出社に戻します。テレワークは禁止。地方の人は辞めていただくか、あるいは東京に転居いただくか」など身勝手なことをやっている会社もあります。もうね、そういう会社に地方創生の仕事を発注しちゃ絶対にダメだと思いますよ。(視聴者の中に)行政の方がいらっしゃれば、みなさんも正しい見る目を持ってくださいね。
傳:言っていることとやっていることが一致しない、みたいな。
沢渡:そうですね。
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傳智之氏(以下、傳):これまでどおりで大丈夫? 職場に新たな風を吹き込むための「ネガティブ・ケイパビリティ」入門。本日はご参加いただきありがとうございます。進行は技術評論社の傳が担当します。よろしくお願いします。
開始前に注意事項を2点ほどお伝えします。1つ目、SNSでの投稿は可能なのでぜひお願いします。ハッシュタグはイベントページにも記載している「#すぐにをやめる」でお願いします。
2つ目。質問はSNSではなく、YouTube Liveのコメント欄にお願いします。最後に質疑応答の時間を設けますので、その時にピックアップして沢渡さんに聞いていきたいと思います。時間や質問の内容によってはすべてにお答えできない可能性もありますが、できる限りピックアップしていきたいと思いますので、よろしくお願いします。
では、沢渡あまねさんをお迎えします。沢渡さん、よろしくお願いします。
沢渡あまね氏(以下、沢渡):傳さん、ありがとうございます。
傳:よろしくお願いします。
沢渡:よろしくお願いします。みなさん、こんにちは。「沢が渡る」と書いて沢渡あまねと申します。今日は昼休みのランチタイム、ウキウキWatching……古いな。その時間を使っていただいて、「すぐに」をやめるネガティブ・ケイパビリティについて、みなさんと一緒に意味付けしていきたいと思います。傳さん、よろしくお願いします。
傳:こちらこそよろしくお願いします。今日は緊急開催ということで、今までにないぐらい短い期間で応募したんですけれども。
沢渡:そうですね。すぐにやっちゃいましたね。
傳:「タイトルと違うんじゃないか」というお叱りを受けそうですが、そのあたりの種明かしはこの後にあるかなと思います。本を出す時には、某テレビ局の事件がちょうど起こるとはぜんぜん思っていなかったですからね。
沢渡:そうですね。そういう意味ではさまざまな業界や分野において、過去の成功法則でやり続けるとか、その延長線上ですぐに答えを出すとか、今までのやりやすいやり方にしがみついてしまうのはいろんな危険性を孕むということを、私たちも重々承知している昨今かなと思います。
傳:そうですね。今までも折に触れてそういう声が上がっていたと思うんですが、なんだかんだで先送りしてきたのが一気に爆発したような感じになって。良くも悪くも2025年の初っ端からああいう事件で大きく報道されたということは、ある意味2025年が転機になるのかなという期待も含めて、ちょっとおもしろい年になりそうですよね。
沢渡:おっしゃるとおりですね。
沢渡:組織の体質はなかなか変わらないけれども、とはいえ、その体質に巻き込まれすぎてしまう私たち一人ひとりもキャリアのリスクを背負うということも、今日はお話しできたらと思います。
傳:そうですよね。組織と言うとすごく大きな話ですが、実は構成する一人ひとりにとってもぜんぜん無視できない話なので。
沢渡:そうですね。
傳:そういったところで、当事者としての自分の感覚もちょっと見つめ直していただくために、今日はお話しいただければなと思います。
沢渡:おっしゃるとおり。「染まったら負け」みたいな部分もありますからね。
傳:そうですね。いいところは大事にしつつ、染まってはいけないところはちゃんとする。そのあたりのお話を楽しみにしています。では、さっそくスライドをよろしくお願いします。
沢渡:よろしくお願いします。今日は、まずはみなさんにすごく大事なメッセージからお伝えしたいと思うんですが、それがこちらです。
「すぐにをやめる」と言っておりますが、この本は決して「すぐやる」を否定するものではございません(笑)。すぐやることももちろん大事ですし、すぐやらなければ事業も成り立たない。ビジネスパーソンとしていいキャリアを描けないわけで、すぐやるのもめちゃめちゃ大事という前提です。
とはいえ、すぐやるだけにまみれてしまうのはリスクです。このメッセージをみなさん自身に刻み込んでいただきたいですし、この本を対話のツールとして周りの人と一緒に使って景色を合わせていくために、その考え方(ネガティブ・ケイパビリティ)もインストールしてほしいと思います。実際、この場も緊急開催ですぐやっているわけですからね(笑)。
傳:そうですね(笑)。
沢渡:何事も両輪が大事という前提でお話をしていきたいと思います。
沢渡:今日、一番伝えたいのはここなんですね。某テレビ局の話も出ましたが、「モーレツ×内向き」。みんながモーレツで、さらには内向き。
いわゆる社長のイエスマンばかりで、自分たちの組織の在り方や振る舞い方を疑おうともしない。猪突猛進。これは経営リスクですよ。このメッセージを私は一番声を大にして伝えたいと思います。
経営リスクっていうと、「それって企業経営者だけの問題だよね。イチ担当者では何にもできないじゃないか……」って、我々は思考停止、行動停止に陥りがちなんですが、ここでの経営リスクは2つあるんです。
1つ目が、文字どおり組織経営のリスクですね。組織のガバナンスやコンプライアンスや成長だとか、そういう話です。もう1つが、私たち一人ひとりの自分の経営リスク。すなわちキャリアのリスクですね。人生100年時代、より良いキャリアを作っていく、紡いでいくためのリスクになる。
そのような組織体質にまみれてしまうと、悪気なく染みついたあたりまえの仕事の仕方やコミュニケーションの仕方を見直す機会がない。そして、他者を傷つけてしまう。誰とも共創できず、良い転職や異動もできなくなる。この2つの(リスクの)話をしていきたいと思います。
みなさんそれぞれの聞いている立場としては、経営者の方もいらっしゃれば、経営者に提言する人、個人としてなど、さまざまな方がいると思います。なので、ぜひこの2つのリスクを思い浮かべながら、ここから先の話を聞いていただけたらと思います。
沢渡:簡単に自己紹介をしますと……しなくてもいいかな? どうしましょう。ググッていただければと思うんですが、沢渡あまねと申します。今、世の中をお騒がせしている自動車会社、NTTデータ、大手製薬会社を経て、私自身もさまざまな職種を越境。そういう意味では、さまざまな体質、企業体質に触れてきました。
現在は静岡県浜松市の法人、あまねキャリア代表。愛知県設楽町の一般社団法人ダム際ワーキング協会の代表として、その他複数の企業の顧問やアドバイザーとして、これまで400以上の組織や地域の景色を変える、組織開発・地域開発の取り組みをしてきている人間です。
法人として仲間と一緒に組織作りをしているわけですが、私たちあまねキャリアという会社は組織開発を生業としています。組織開発とは何かというと、「より良い組織を自分たちの手で作っていくこと」と、定義しています。
組織って目的語が大きくなると、それが「業界」や「地域」にもなります。私たちは静岡県浜松市、お隣の豊橋市を中心に全国に組織開発を展開していますが、まさに自分たちの地域に、今日お話しするネガティブ・ケイパビリティをどう取り入れていくかという観点でも、ここから先のお話を聞いていただけたら非常にうれしく思います。
組織開発にはさまざまな手法がありますが、私たちのミッションは、景色を変えて組織を変える。そのために「越境」、さらには互いに潰し合う・削り合うのではなくて、「共創」。越境と共創で組織を変えていく。このような考えをミッションとして全国に伝えていっています。
ふだんはこのような講演や対談の場への登壇であるとか、メディア出演、さらには自社でやっております「組織変革Lab」という、組織を変えていきたい仲間が集まるオンラインプログラムを展開しています。
私たちが事業を展開している浜松では、「越境学習の聖地・浜松」という企業間のコミュニティであったり、お隣の豊橋市では「あいしずHR」という、愛知や静岡におもしろい景色、新しい仕事や文化を作っていこうという取り組みもしています。
沢渡:私はダムが大好きでして、ダム際でさまざまなイノベーション、コミュニケーション、ワーケーションを行う「ダム際ワーキング」も展開しています。まさに自らも景色を変えていく取り組みをしています。
最近では2024年11月に、これからダムができる愛知県設楽町に一般社団法人ダム際ワーキング協会という協会も発足しました。和歌山県、静岡県川根本町、愛知県設楽町、ほかの行政も仲間にしながら、法人会員も募りながらコトを興しています。
ダムのある中山間地で、越境学習、新規事業創造、実証実験。あるいはアートワークなど新しい共創の取り組みを、私たちの手でみなさんと一緒にやっていこうという文化創造や事業創造活動です。
ちなみに静岡県内では、大井川鐵道およびモビリティを展開するヤマハ発動機と、私たちあまねキャリアがコラボレーションで中山間地のモビリティの実証実験を昨年行いました。
ダム際ワーキング協会に加入している川根本町のみなさん、さらに沿線の島田市のみなさんと一緒に、鉄道×e-Bike(電動アシスト自転車)でどんな共創が生まれるだろう? どんな景色が生まれるだろう? といった共創の実証実験です。
和歌山県で「#ダム際ワーキング✕#キャリア教育ワーケーション」というプログラムを毎年開催しているんですが、2025年も島田由香さんと一緒に開催しますので、ぜひ続きは和歌山に来ていただいて、一緒にみなさんのお悩みを解決できたらと思います。
とはいえダムに行くのはいきなりハードルが高い方は読書からということで、読書ワーケーションという文化創造活動も行っています。読書ワーケーションは「愛知県豊橋市発祥で全国の文化に」ということで、企業や行政も巻き込みながら立ち上げた文化創造活動です。
ワーケーションなんて言うと、「目先の成果が出るの?」みたいな野暮なことを言われることもあるのですが、そこで出会った人たちと関係構築しながら未来の成果を生んでいったり、新しい事業が生まれるなどの変化と成果を私たちも日々生み続けています。
「そんな私たちだよ」ということで、今回のネガティブ・ケイパビリティの話に駒を進めていきたいと思います。傳さん、こんな感じでいいですか?
傳:OKです。
沢渡:あらためてキーメッセージをリフレインします。「モーレツ×内向きは経営リスク!」。みなさんが所属する、関わっている組織のリスク。さらには私たち一人ひとりの自分の経営リスク、イコールキャリアのリスクだよということです
「自分たちは大丈夫?」と、今日はそれぞれ自分たちのやり方、文化、働き方、マネジメントの仕方などを俯瞰、メタ認知していただきたいなと思います。
ネガティブ・ケイパビリティの逆である、ポジティブ・ケイパビリティという言葉があります。「とにかく短期的な成果を生みなさい。すぐに成果を出しなさい」。組織文化の問題というと「大企業やいわゆるJTC(Japanese Traditional Company)や官公庁だけの話だよ」と思われる方もいらっしゃると思います。
組織文化の問題は大企業のみならず、急成長スタートアップこそ要注意だったりします。もうあらゆる組織・業界が他人事ではないんですね。ネガティブ・ケイパビリティ、ひいては組織文化の在り方をアップデートし続けるという所作そのものをどう取り入れていくか。そんな耳で聞いていただきたいと思います。
まずは「ネガティブ・ケイパビリティとは何ですか?」という話をしていきたいと思います。この書籍『「すぐに」をやめる』は、大きく3つのパートで構成されています。序章で「ネガティブ・ケイパビリティって何ですか? それ、おいしいの?」という話をします。
そして第1部では、主にネガティブ・ケイパビリティがないことによって起こる職場の問題を、大企業からスタートアップから行政から、さまざまな組織に置き換えた「あるある」と、何が問題かの話をします。
そして第2部では、そこをどう解決していくか。ネガティブ・ケイパビリティの呼吸をみなさんが持っているのであれば、周りの人にどう波及していくのか。その戦略と具体策について書いています。傳さん、こんな構成ですよね?
傳:はい、間違っていないですね(笑)。まさにそのものです。
沢渡:ありがとうございます。
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