02.幼馴染はギャルでお触りOKな……ツンデレ?

「——今日もダメだったかぁ」


 笑いながらやってきたのは、金髪に褐色の肌のギャル。


 スポーツ女子らしい引き締まった身体で、柚葉ほどではないが、出るところは出て、引っ込むところは引っ込んでいる。


 そのバランスの良さは、まさに「ギャルという名の完成形」だった。


 その少女は久瀬くぜ美夜みや

 周斗と同じ二年で、水泳部に誘った張本人。


 小学校からの幼馴染で、一部の連中からは「みゃーこ」という妙なあだ名で呼ばれている。


 今日はもう泳ぐつもりがないのか、タオルで頭を拭きながら近づいてきた。


「美夜、俺は悔しい」


 周斗は拳を握りしめる。


「あとちょっとで柚葉先輩に手が届きそうなのに……」


 美夜はジト目で周斗を見る。


「スポ根みたいな流れにしようとしてるけど、あんたがやってんの、ガチの犯罪だからね?」


 バッサリと切り捨てられた周斗は「犯罪なもんか」と反論する。


「柚葉先輩からの許可はもらってるぞ」

「それ、どう頑張っても泳げないあんたが可哀想だから、しゃーなしでしょ?」


 美夜は腕を組み、呆れたように首を振る。


「ほんと、あんたって昔っからスケベだよね……」

「違うぞ、美夜」

「なにが違うの?」

「男はだいたいスケベだ。ムッツリかガッツリ、そのどちらかしかない」


 堂々と言い張る周斗に、美夜は「はぁ……」と深いため息を吐いた。


「……自分はガッツリだから、ムッツリよりマシって言いたいわけ?」

「そうは言ってない。本質はみんな同じスケベ、ブラザーだってことさ」

「あっそ……」


 美夜は呆れ顔を見せながらも、どこか微妙に頬が赤い。

 そういう話題に興味がないわけではないことは、周斗もよく知っている。


「……てかさー」

「なんだ?」

「そんなにおっぱい触りたいんだったら……あたしの、触らせてあげよっか?」


 一瞬、時が止まった気がした。


「……いいの?」

「いや、よくはないけど、あんたがどうしても触りたいなら……」


 美夜の言葉は、どこか含みがある。


 たしかに、柚葉先輩ほどではないが、美夜の胸もなかなかの大きさと形の良さを誇っている。小さいころから一緒に過ごしてきて、彼女の成長を間近で観察してきた周斗としても、美夜の胸にまったく興味がないわけではない。


 だが——


「いいや、やっぱりダメだ!」


 周斗は大きく首を振った。


「……え? なんで?」

「俺は、努力して手に入れたいんだ。その先にある達成感が大事っていうかさー……」

「だから!」


 美夜はバシッ! とタオルで周斗の頭を叩く。


「スポ根の流れならいいセリフだけど、あんたがやろうとしてること、ただ柚葉先輩のおっぱい触りたいってだけだからね!?」

「俺は……なんと言われようと構わない!」


 何事も、初志貫徹。自己実現こそが人生の醍醐味。

 ……要するに、開き直ったスケベは、国家権力以外、誰にも止められないということだ。


 とはいえ、美夜の提案を完全拒否するのも、なんだか申し訳ない気がする。せっかくの申し出だし、彼女なりの優しさもあるのかもしれない。


 周斗は少し考え、こう付け加えた。


「……じゃあ、先輩の次に触らせてもらうよ」

「バカーーーッ!」


 美夜の叫び声が、室内プールに響いた。


 そして、バシッ! バシッ! とタオルで連続攻撃を繰り出したあと、更衣室へと去っていった。


 周斗は赤くなったところをさすりながら、遠ざかる美夜の背中を見送った。


 と、そこへまた——


「——あーあ、またみゃーこ先輩のこと怒らせちゃった」

「…………」

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