「世界一流エンジニアの思考法」を読んで① 英語の学び方の欠点に気づく
海外のマーテク、アドテクのスタートアップと十数年仕事をしていますが、大抵は、その会社の創業者や、事業開発責任者との仕事ばかりで、エンジニアと仕事をすることは、ほぼなかったけれども、それでも、何回かは、チームを作って一緒に仕事をした事があって、僕にはない、彼らの能力や人生観に圧倒されるばかりだった。そんな経緯から「世界一流エンジニアの思考法」(牛尾剛著:文藝春秋刊)を手にした。正月休みに読み、大きな気づきや、自分の仕事に参考になることが多々あったので、数回に分けて感想を述べてみたい。
作者の牛尾さんは、マイクロソフトの本社シアトルで、シニアソフトウェアエンジニアとして働いている。こんな経歴の紹介から始まると、自分とは縁遠いエリートだと思いがちだが、冒頭の自己紹介で興味深いことを披露される。
正直にいうと、私は「一流エンジニア」ではない。
なにも謙遜しているわけではなく、がちの「三流」だ。もちろん将来的には「一流」になれるように努力を重ねているが、すごく実力があってこのポジションを得たわけではなく、偶然と小さなチャレンジの積み重ねによってここにいる。
さらにはこういうことも告白している。
実は大人になってからADHDと診断された私は、自分の不器用さや
記憶力の低さ、頭の中で思考が乱れ飛んでまとまらず、ぐったりして疲れてしまう感覚に、長年悩んでいたものだ。だから、どうやったら不得意なことでも効率よく人並みのことがでいるのか、仕事の生産性を上げる方法を意識的に研究してきた。
このようなバックグラウンドを持った人だったので、読み始めから、深い共感を覚え、エンジニアの人の著作だと言うバリアは消えて、一気にのめり込んで読み進めていった。
この本の中で、大変参考になった点の一つは、勉強方法だ。僕は、仕事の関係から、英語を使っているのだが、より滑らかに話したいと思っていて、日々スピーキングの勉強をしていて、その勉強方法が、本当に最適か、考えこむこともある。また、脱炭素に関する仕事も一昨年から、始めていて、このテーマに関する体系的な知識を必要としているのだが、この領域が経済、金融、技術、自然科学等、さまざまな分野を横断していて、フランス文学を大学時代勉強していた自分には、基礎を身につけることすら非常に難しくて大変苦労しているので、なにか良い勉強方法はないかと日々思っていたところ、非常に参考になった学び方が二つあったので、今回は、それについて取り上げてみたい。
どんなに頭がいい人でも理解には時間がかかるものなのだ。頭のいい人が理解が早いように見えるのは、そうやって時間をかけて基礎を積み重ねているので既に理解していることに関して頭のメモリにコンテキスト(文脈)が載っているからだ。
私は、理解というものは最初から完璧にはできなくて徐々に身についていくイメージを持っていた。しかも、私は「とにかく生産性を上げなければ」「どうやったら早いくできるだろう」と常に焦燥感にかられ、アウトカム(成果)を出すことに集中してきた。
しかし、皮肉なことに「早くできるように頑張る」ということが最終的な生産性をむしろ下げていたように思う。
「理解は時間がかかるもの」として、急がず、徹底的に理解する習慣をつけていくと、自分の人生でかつて経験したことがないことが起こった。以前はメモを取りまくっていたコードリーディングもゆっくり理解することで100% 挙動が理解できているし、その確信がある。
デバック(プログラムのバグ取り作業)のときも少ないログをゆっくり観察して、従来読み飛ばしていたようなログの他の項目も見ることで、圧倒的に試行錯誤が減って問題を一直線に解決できるようになってきたのだ。
僕は、この章を読み、すぐに自分の英語の勉強の仕方の欠点に気づいた。大学受験をしたこと、大人になって仕事で英語を使うようになったこと、そしてサバイバル英語を矯正しようと思って、英検一級を取得したこと、それぞれの努力は意味あったのだけれども、それでも、たとえば新しく出会ったアメリカ人と仕事をして、100%話している内容を理解し、自分が言いたいことを100%英語で伝えられているか?といったら、程遠い。そのギャップを埋めるために日々英語の勉強をしているのだけれども、その勉強方法は、改善するための最良の方法なのか?自分でも疑問に思うところがあったのだけれども、牛尾さんのこの気づきに関する文章を読んだ時に、まるで、自分の勉強方法の間違いを指摘されたようなショックを受けた。そうなのだ。音読をやったり、シャドーイングをやったりしてたとしても、きちんと発音できているのか?キチンと理解できて発話しているのか?きちんと聞き取れて、同じように発音できているのか?と振り返ると、なんとも、雑で、いい加減な勉強をしてきたのだ。そのことにはっきり気づいたのだ。
この気づきを得たのは、著者の牛尾さんが、こんな例えを披露してくれているからだ。
バークリー音楽大学で一流ミュージシャンたちにギターを教えているトップギタリスト、トモ藤田はうまくギターが弾けていない人の癖について、レッスン動画でこう言ったのだ。
「リズムが詳しくわかっていないので、なんとなくできているだけ」
そこで彼が勧めた練習は、多くのギター教本に載っている王道の方法だ。ギターを置いて、両手をつかって、アクセントをつけながら、ものすごくゆっくりの添付から、三連符の頭、真ん中、お尻、それぞれにアクセントをつけて手を叩くこと。
僕は英語の勉強方法を一気に変えて、インタビュー記事の音源を、まずはゆっくり聴いて、全ての単語を正しく発音できるようになった後に、ノーマルのスピードでシャドーイング、音読をするようになった。地味な勉強方法だけれども、続けていけば何かが変わっていくと感じている。
次回も、牛尾さんから学んだ、他の学び方について書いてみようと思う。


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