盛り上がっているのは関西だけや! という〝やっかみ〟も聞こえてくる日本シリーズの関西決戦。でも59年ぶりの珍事。生きているうちに二度と見られないかもしれないから、思い切り盛り上がりたい。そんな頂上決戦と並行して、ドラフト指名選手との交渉が始まっている。指名あいさつ、仮契約、そして正式契約&入団発表、というのが一般的な流れ。阪神もシリーズの合間を縫って各地区の担当スカウトが指名選手の元を訪れ、ごあいさつ。指名した瞬間から、入団は決まっているから、互いに満面の笑顔で握手して…という、セレモニーがトラ番にも公開され、記事になっている。
タイガースが継続中の偉大すぎる(?)ドラフト記録をご存じか? 実は12球団の中で最も長く、指名選手が全員入団しているのだ。つまり、入団拒否選手を12球団で最も長く〝輩出〟していないのが、阪神なのだ。最後に拒否したのは1977年秋のドラフト会議の池田親興(高鍋高=4位指名)。ただ池田は法大、日産自動車を経て6年後に2位指名で阪神に入団する数奇な運命をたどっている。
あれ?! 78年秋のドラフト会議で江川卓が拒否しているじゃないか? と思われた方がいるかも。どうしても巨人に行きたかった「怪物・江川」は法大4年時の77年、クラウン1位指名を蹴って野球留学。そして1年後のドラフト前日の〝空白の一日〟を利用して巨人と契約。でも、これが無効と判断され、ドラフトでは阪神が敢然と指名した。
拒否を姿勢を貫いた江川サイドだったが、江川がいったん阪神に入団して、その後、巨人とトレードするという、とんでもないシナリオを、当時のコミッショナーが「強い要望」として発令。これにより、江川は阪神の入団発表を行い、すぐに巨人・小林繁とのトレードに発展する。つまり、江川は阪神に入団したことになっているのだ。