フジテレビは発生から30年を迎えた地下鉄サリン事件を題材にしたドキュメンタリードラマ「1995~地下鉄サリン事件30年 救命現場の声~」を21日午後9時から放送する。患者の救命対応に当たった実在の医師をモデルに、津田健次郎が主演を務める。原因がサリンだと分からない中での手探りの治療を、独自取材に基づきドラマ化した。
「当時、丸ノ内線沿線に住んでいて、舞台稽古に行こうとしたら駅が閉鎖されていた。家に帰ってテレビを付けたらすごいことになっていたのでよく覚えています。日本のその後を象徴するような事件のドラマに加われるのは、本当にありがたい」。津田は、一言一言かみしめるように語る。
医師がモデルだけに、丁寧に役を作りこんだ。事件の資料映像を4~5時間分視聴。ストレッチャーはどう動き、患者にどんな声をかけるのか何度も見返した。「硫酸アトロピン」など専門用語の言い回しにも苦労し、現場で医療監修の医師に1シーンごとに確認した。「あとはバランス。医師として全てが初めての経験で混乱しますが、日々命と向き合い、緊急事態には慣れている。演じ方のバランスに悩みました」
看護師長を「婦長」と呼び、インターネットで調べ物ができないなど、演じながら30年の長さも感じた。「今、改めて事件の根源を考えるんです。バブルがはじけた後の空虚感みたいな。僕自身も持っているかもしれないし、今はより根深くなってきたような気もする。世の中に問いかける意義は大きいと思います」
フジの制作陣は「世代として事件そのものを知らなかったり、記憶が薄れていたりする。世代によって受け取り方は異なると思うが、改めて事件の記録をしっかり伝えるべきだと考えた」とコメントしている。(大森貴弘)