以前、ブログ「誠実かつ迅速に業務を遂行しよう!」でご紹介した弁護士が解決できなかった2件の案件うちの1件が、このほど受託から4か月かかってようやく解決しました。

 

 事案の概要は、東京都内で一人暮らししていた依頼者の亡叔父の妻が7年前に亡くなり、本籍が依頼者の住所と同一だったためか警察からの通報により、依頼者の親族が東京に行って、火葬やアパート退去の清掃・家財道具等の処分を行い、遺骨は当町に埋葬しました。これらで約100万円の費用がかかりました。

 

 遺産として100万円以上の預金がありましたが、被相続人は14人兄弟姉妹の末子で子がなく、相続人は甥・姪等と思われました(依頼者は相続人ではありません。)。しかし、依頼者は相続人が誰なのか、どこにいるのかさえ分かりませんでした。
 そこで、6年前に弁護士に依頼して、「相続人を探して葬儀費用等を請求するとともに、預金通帳を引き渡す」旨の契約書を交わしました。
 しかし、受託した弁護士は、大半の戸籍を収集したようでしたが、その先が進みませんでした。6年間待ち続け、しびれを切らした依頼者はあきらめて、当事務所に相談したものです。

 

 受託した弁護士は現在は独立して遠方に事務所を構えていたため、収集した戸籍を送付してもらいました。送付された手書きの簡単な相続関係説明図と戸籍を調べたところ、不足の戸籍が相当数ありました。
 弁護士なので、当然に相続人とコンタクトをとっていたものと思い、何か理由でもあって6年間も解決できなかったのか尋ねたところ、コンタクトは全くとっておらず、「他の仕事が忙しくて手が回らなかった」との返答でした。決して低いとは云えない着手金を受け取っているので、無責任極まりない弁解に憤りを覚えました。

 

 被相続人は14人兄弟姉妹の割には相続人が少なく、弁護士は相続人を3人と特定していました。しかし戸籍を収集してから6年も経っているので、念のため再度戸籍を取り寄せてみたところ、うち2人がこの間に死亡していて相続人は5人になりました。相続人らは被相続人の甥・姪の子又は孫等に当たるので、相続人間の面識は全くないと思われました。
 契約書どおり、「相続人を探して葬儀費用等を請求するとともに、預金通帳を引き渡す」方法では、相続人が葬儀費用等を支払った上、面識のない相続人らが煩雑な預金の相続手続きをすることになるので、協力が得られるとは到底思えませんでした。それどころか、もし相続人全員が相続放棄すると、さらに費用がかかり手続きも煩雑になります(ブログ参照「相続財産管理人選任ならず 予納金100万円也!」)。

 そこで考えたのが、相続人から依頼者へ有償で相続分を譲渡してもらう「相続分譲渡」による方法でした。通帳はみずほ銀行の東京都内の支店でしたが、青森支店に相続分譲渡による方法で預金の払い戻しはできるのか問い合わせたところ、当初、担当者は何のことか分からなかった様子でした。少し経って、当行では相続分譲渡による払い戻しをしたことがないので、実際に手続きがされてみないと分からないとの回答でした。

 

 相続分の譲渡は認められているので、依頼者に、通帳の残高から葬儀費用等要した費用を控除し、残額を各相続人に法定相続分に応じて支払う旨の相続分譲渡案を提案しました。この方法では、相続人らは印鑑証明書を取得する程度の負担で相続分を受け取ることができるので、応じてもらえるものと思いました。
 依頼者から各相続人に、事情説明と相続分譲渡の伺い文書を送付したところ、5人全員から相続分譲渡に応ずる旨の回答があり、相続分譲渡証書と印鑑証明書を送付してもらいました。

 

 ひととおり書類が揃ったので、みずほ銀行青森支店に確認してもらうため送付したところ、さらに本店の相続専門部署へ送付され、一部不足の戸籍があり追送しました。その結果、銀行の了解が得られ、このほどようやく預金の払戻し手続きが完了しました。

 

 今回用いた相続分譲渡ですが、預金の相続なので可能でしたが、相続登記の場合は容易ではありません。相続分の譲渡はさかのぼってすることができないので、このように複雑で数次に渡って相続が発生している場合は、複数の相続登記を経なければなりません。

 

 件の弁護士がどんな人物なのか気になってネットで検索したところ、インタビューに応えている記事があり、「休みの日は寝たりテレビを見たり、のんびり過ごすことが多い」には腹立たしさを覚えました。6年間も待ち続けた依頼者の気持ちを考えるなら、少し休日を返上してでも業務を遂行すべきです。
 言葉が過ぎるかもしれませんが、契約書に記載された委任事項を履行することなく、単に戸籍を収集するだけで不相応な着手金を受け取る行為は詐欺に等しいと思います。

 

 ちなみに私は、弁護士の着手金以下の報酬で本案件を受託しました。地域のお役に立ちたいとの思いにより事務所を開業したので、依頼者が笑顔になれればそれで満足です。

 

P.S.
 後日、みずほ銀行から依頼者の通帳に払い戻しした預金が振り込まれ、各相続人への振込を完了した依頼者が、報酬等の支払いをするために当事務所を訪れました。

 「私の感謝の気持ちなので、どうか受け取ってほしい」と、何と請求額より数万円も多い金額を差し出しました。私は「金儲けするために事務所を開業したのではないので」と、請求額を超えた金額の受け取りを固辞しましたが、「どうしても受け取ってほしい」と引き下がりませんでした。そのうち6年間のつらかった思いがこみ上げてきたのか瞳が潤んできたことを察し、これ以上無下に断るのも申し訳ない気持ちになり、ありがたく受け取ることにしました。

 

Comment





   

Calendar

S M T W T F S
      1
2345678
9101112131415
16171819202122
23242526272829
3031     
<< March 2025 >>

Archive

Mobile

qrcode

Selected Entry

Comment

  • 旧みちのく銀行の(根)抵当権抹消登記
    A
  • 旧みちのく銀行の(根)抵当権抹消登記
    管理者
  • 旧みちのく銀行の(根)抵当権抹消登記
    A
  • 連帯債務者の一方の死亡による抵当権変更登記
    管理者
  • 連帯債務者の一方の死亡による抵当権変更登記
    太田宜邦

Link

Profile

Search

Other

Powered

無料ブログ作成サービス JUGEM