エルニーニョ現象の”残り香”が2024年の猛暑の原因だったのか。北太平洋に溜まり続ける熱によって2025年の夏も暑くなるのか?
冬の季節予測は、とくにむずかしい!
JAMSTECでは、大気海洋結合大循環モデル「SINTEX-F」を使って、季節予測を行っています。これは、このあと数ヵ月の日本や世界の天候がどうなるかを、予測するものです。 ちなみに2024年11月に発表した、この冬(2024年12月〜2025年2月)の季節予測では、日本の気温は例年より高くなると予測されています。降水量については、東日本の一部では降水量が平年より多く、九州・沖縄地方では降水量が平年より少なくなる見込みだと予測しました。 ラニーニャ現象が発生しているのに、今年の日本の冬は、平均すると例年より暖かくなると予測されています。ラニーニャ現象は天候に影響をあたえる要素の一つであって、必ず日本が厳冬になるわけではないんです。 しかも冬の季節予測は、夏の予測よりもむずかしいと言われています。 ──どうして、冬の予測のほうがむずかしいんですか? 季節予測には、エルニーニョ現象やラニーニャ現象といった海面水温の変化が大きな影響をあたえます。これらは熱帯太平洋で起きる現象ですから、日本の天候に対して「南側」から影響をあたえているわけです。 ところが日本の冬の天候は、シベリアからの寒気の流入など、「北側」から大きな影響を受けます。こういった北側からの影響は予測がむずかしいため、結果的に冬の季節予測もむずかしくなってしまいます。
北太平洋に熱が溜まっている
──今年(2025年)の夏は、また暑くなるんでしょうか? 残念ながら、2025年の夏も暑くなると予想されています。ただし、2024年よりは少しマイルドになるような気がしています。 2024年は大気に熱を放出するエルニーニョ現象が春まで発生していて、その影響が夏になっても続いていたことを紹介しました。一方、2024年の冬は、エルニーニョ現象ではなくラニーニャ現象が発生しており、それが2025年の春頃まで続くと予想されています。 ラニーニャ現象は、エルニーニョ現象とは逆に、大気から海に熱を吸収する現象です。そのため地球全体として、2024年ほどは暑くならないのではないかと思います。 ──それを聞いて少しだけ安心しましたが、2025年も例年よりは暑くなりそうなんですね。 日本の天候を考えるときに、熱帯太平洋で発生するエルニーニョ現象やラニーニャ現象も大事なんですが、もっと直接的な影響をあたえるものとして、北太平洋の海面水温があります。 実は北太平洋の海水は、ここ5年ほどずっと温かい状態が続いており、今後も続くと考えられています。日本周辺の海が、湯たんぽのようにずっと温かい状態なんです。そのため、日本を含め、北半球は基本的に2025年も暑くなると考えられています。 2024年はこの北太平洋の“湯たんぽ”に、熱帯太平洋のエルニーニョ現象が重なったことで、地球全体がかなり暑くなりました。 2025年はエルニーニョ現象ではなく、大気から熱を吸収するラニーニャ現象がおきている分だけ、気温は少し下がるのではないかというのが私の見解です。
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